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木森林木林

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不当で正当な殺人

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 契約。法律。それは世の争いを最小限に防ぐために、今やなくてはならないもの。

 そして、それは、常に金の欲望がバックボーンにあるものがほとんどだ。

 金さえあれば、罪をもみ消すことが、暗黙の了解でさえある。資本主義が苛烈になるにつれ、法の番人でさえ、金の力に屈するのだ。

 悪魔と契約が結び付けられるのも、それが原因なのかもしれない。どんなに生来の性質が善人でさえ、金が、そして契約が絡むと悪人にもなるのだ。

 例を挙げるのならば、戦争だ。

 決断するのは、権力が上の人間。だが、実行するのは下の人間。

 下の人間も人間であることには変わりないのだから、それが不当かどうかは分かるはずだ。

 だが、契約、あるいは集団行動、妄信によって、いとも簡単に下の者を操ることができる。

 実行犯が、「それはダメだよ!」と、行動することはできる。だが、しかし、金やそれにかけてきたリソースが、決断を鈍らせるのだ。

 また、別の例を挙げるのならば、世の中の犯罪は、ほとんど金欠、あるいは金のさらなる欲望のために行われるものだろう。

 つまり、金が契約を生み、契約が罪を生む。

 ならば、、金という概念が、最初から無ければ?

 古代の人の集団には、上も下もなかったという。そこにあるのは、現代にもある信頼感による取引だ。

 金に頼らず、その信頼感による物々交換のみを発展させた世界があれば、世界は平和になるのかもしれない。

「というわけで、神様である私は、ディストピアで、金で何もかもが不当に捻じ曲げられるこの世界を、巻き戻そうと思う。生まれる予定の人の記憶は、巻き戻し前のと地続きになるように保持させるが、唯一金という概念が意識されないように調整する。」

 というわけで、もう一度やり直しになった世界は、神様の言う通り、平和な世界になった。

 少なくとも、金に関係する犯罪が無くなった。金に関係する犯罪がほとんどだったので、それを処理するためのシステムが不要になり、それで浮いたエネルギーで化学や娯楽などと言った発明が発達した。

 だが・・そう、巻き戻し前の記憶が地続きになっているということは、つまり、前の世界を認識できるということである。

 ゆえに・・この世界で最も多い殺人は・・

「おお!!●●●が生まれたぞ!!前の記憶によると、この子は将来とてつもない大物になるんだ!!」

「・・・ちょっといいですか?●●●に用事があるのですが」

「え?ちょっと?!やめろ!!」

 その赤ん坊は前の世界で、多くの人を苦しめたのだ。

 なら・・この犯罪は、正当だろうか?不当だろうか?
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