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五億年ボタンの世界
しおりを挟むある昼休み、同僚と話をしていた。
「あーあ、何が面白くてこんな仕事しているんだろうなー」
「まあまあ、気楽に行こうよ。どうせ死ねば皆なくなるんだし」
「え?そんなっ怖いこと言うなよ・・何か悩み事でもあんのか?」
「ちげーよ。っていうかセリフ的にそれはこっちのセリフだ。まあともかく、見なければ内も同じなら、死んだらこの世界もなかったことになるんだよ」
「ふーん、たまには哲学的なことをいうじゃないか。なんかの作品の影響か?」
「そうなんだよ。哲学少女てっちゃんのなんたらかんたら」
彼が言うに、そのアニメの影響らしい。いわゆる種でリンガーのネコだとかそういう奴だ。
そして、彼はこう話を結んだ。
「まあ、自分がいなくなるから、世の中に何かを残したいよね」
「ん?」
何か違和感がある。数秒考えてやっとわかった。
「自分が死んだら全て終わりなのに、なんで残したいんだ?」
「え?」
「死んだら全てが無くなるんだろう?だったら、残そうが残すまいが、同じじゃないか」
「・・・いやー、でもなー。まあ確かにそうだけど・・自己満足ってやつかなぁ」
いわば・・五億年ボタンの世界なのかもしれない。この世は。
いくら苦労して何かを残しても、全部リセットされる。
不老不死ならばこの悩みとも無縁なのになぁ
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