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偽りの望み
しおりを挟むその世界では、その世界に一つだけの宗教があった。
その主たる活動内容は、ファンタジー的世界特有の、スターテス、レベル。それを最大限まで上げることで神と邂逅するという教義である。
実際、それは可能だった。
神、つまり創造主は、この世界を作り上げる際、レベルを一定以上上げることで、ごほうびとして願いをかなえてやるシステムを作ったのである。
そのためには、並大抵の努力では不可能だったが、この日、それに到達した信者が現れたのだ。
「ああ!神よ!!ようやくお会いできましたね!!」
「・・」
「えっと?」
神は、何か覚めたような目で彼を見ていた。
「で?」
「?」
「何がしたいんだ?お前は?」
「いえ・・、私はただあなたとともにいたいだけなんです!!」
「・・そうか。それがお前の望みか。なら望み通りにしてやろう」
「ありがとうございます!!」
そして、神は、神の人格を模した生命体と、その者がいる世界を創造した。
「これでずっと一緒ですね!!」
それを外側から見ている神。
「・・やれやれ。これで何人目だ?
見たところ、この世界は真なるこいつの欲望ではないというのに。俺と二人きりの世界なぞ、誰も望んでいないのに。
なぜこいつらは自分を騙すのだろう?努力した末にこんなあほらしいことをするのだろう?
これも、欲望を他者と共有する文化が悪いのか?いっそのこと壊してしまおうか。だが奴らの作り出したものを壊すのも大人げないしな」
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