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魔王のシステム

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「魔王が現れたぞぉおおおおおおおおおお!!」

「何ぃ?!」

 魔王、そうこの世界において、その存在を知らぬものはいない。


 魔王は百年に一度、人類の中に現れる。

 彼は人類を滅ぼすために魔力を蓄え、

 そして同時に勇者も現れ、それをうちほどぼすためにいるのだ。

 


 それから数年、勇者は旅を続けて、ついに魔王を討伐した。

「やった・・!!やったぞ・・!」

 しかし、、その勝利は、幾度も人類の歴史の中で繰り返してきたこと。

 世界を救うための無数の勝利の中の一つにすぎない。





 この魔王と勇者の繰り返し続けてきた戦い。

 その理由は、意外なところからだった。

 まだ、魔王や勇者のシステムはなかったころの世界。


 そのころ人類は、人同士で戦う戦争を続けていた。

 戦争。それは悪。

 倫理や道徳という、見方で善にも悪にもなるタイプの悪とは違う。

 自然現象的な、、また別の言い方をすればDNA単位の悪だ。

 戦争は、経済的には潤うのかもしれないが、当事者はストレスを抱えトラウマを生む。


 それによって、狂ってしまう人や、新たな病が生まれ、出生率は低下し自殺者も増加する。

 戦争とは、確実に人類をむしばんでいくゆがんだ文化だった。。

 まだ勇者と魔王が現れなかった頃、この世界では戦争が盛んにおこなわれていた。

 資本主義的に、戦争が一番儲かるのならば、今どんな犠牲を出そうとも戦争をしなければならないのだ。


 痛みをリーダーが理解しておらず、またその権限も絶対的に高い時、戦争は必ず起きてしまう。


 だが、それに対し、DNA単位でその解決をしたのが、勇者と魔王のシステムだ。


 憎悪、そして希望を、魔王と勇者に全てあずけることによって 、無用な戦争が発生しないようになったのである。


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