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人口増加

人口が減少している問題は、ひとまず決着はついた。



　ひとまず、というのは、当面の問題は、という意味だ。



　具体的に言うならば、物理的な問題。



　働き手の減少は、効率の良いシステムや機械を作ることで対処できた。コンビニの自動化や農作物のロボット生産、AIによるシステム作成の大幅な簡略化など。



　人型ロボットや、重機型ロボットによって、少ない人数で大きな効率を得ることができた。



　だが、そうやって一次産業をロボットによって行わせることにより、もはや食料などといった生きるために必須の資源はほぼゼロ円となった。いわば、経済と切り離された資源。、蛇口を捻り水を出すかのごとく、食料を生産できた。食料以外の住居などといったものも同様である。



　それは、犯罪率、自殺率の低下に一際一躍買ったのだ。だが新たな問題が生まれる。経済的に金を回すものとして、それらは使用できなくなった。



　なら何が取って代わったのかというと、データ的なもの、娯楽的なもの、趣味的なものだ。



　いくらAIが発達したと言っても、そういった三次産業において、必須の要素がある。それは、観客だ。



　いくら大量に質のいい娯楽を作ったとしても、それを見てくれるものが少なければ、正当な評価が付けられない。需要に対し供給が少なすぎたのだ。





　この問題は、意外なある方法によって解決された。



　それはAIを擬似的に人格を与えて評価、プレイさせるのである。



　これまでのAIは、データを集めて自身を改善させる機能はついていたものの、あくまでツール的なものだった。



　だが、データ産業の視聴数、プレイ人数を増やし、正当なひょうかを出すために、擬似的な観客を作り出したのだ。



　それらはデータ収集するごとに個性を出し始める。



　ゲームが好きだったり、絵画が好きだったり、アニメが好きだったり、



　ブログやツイッターを始めたり、才能があったり、全てに好意的だったり逆に悪意しかない落ちぶれたAIもあった。



　中には有名な個体やアイドル的なものも出てきた。ユーザーはAIに対し概ね好意的だった。



　人権を付与しようとする動きさえあり、それに対して特に反対も出なかった。





　だが、忘れてはならない。彼らは魂なきプログラムに過ぎない。


　人間らしく振舞っていたとしても、それは、単なるプログラム、電気信号の動きにすぎない。



　ならば・・人は違うのだろうか？ヒトの脳も電気信号でしかないではにか。


　所詮、魂の存在など、自分自身が自分自身に対してのみしか証明できないのだ。