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木森林木林

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恐怖について

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 恐怖について


 恐怖というものは、感情の中で最も自身がコントロールしにくい感情である。


 感情のことをそもそも考えると、つまるところ、記憶だと私は思っている。


 生命が地球で誕生してから、過去のあらゆる出来事をシンプル化して、想起してしまうのが感情。

 いいことがあったら喜び、駄目なことがあったら悲しみ怒る。それは過去に、あらゆる生物が経験した記憶をまとめて凝縮させたもの。

 例えば、怒りは大量のカロリーを消費して、現在のパフォーマンス上げる効果があるが、しかし、現代において怒りがマイナスになることもあるだろう。

 過去の遺伝子情報の記憶がスキルとなっている。いうなれば慣性的に受け継がれたものの一つが感情。

 ここまで書いて適切な言葉を思いついた。そう、パブロフの犬のようなものだ。

 人ひとりにおいても、何か一定のパターンから、感情や行動を実行させ、それが癖になっていることがある。感情とはそれの上位バージョン、何世代も経て受け継がれたパブロフの犬のようなものなのだろいう。それが僕の考えだ。

 だが、人は感情をある程度操ることができる。

 例えば、ぐっと感情を押し殺したり、無視したり、別のことを考えたりといった風にだ。感情とは、精神的なスキルゆえに、精神面が発達した人にとっては感情を少し操ることはそう難しいことではない。

 しかし、その中で最も操りにくいのが恐怖だと思う。

 恐怖は、元々は危険を回避するためのものだ。過去の記憶が感情となったと述べたが、過去の生命が敵や災害から逃げる際のパブロフの犬が、恐怖というものなのだろう。

 ゆえに、それは最優先される。自身の命よりも、喜びを優先するものもいただろうが、それは生き残りにくかったのだ。ゆえに恐怖がいちばん操りにくい。


 だが、結局のところ、現代で恐怖こそがいちばんの敵だといえるのではないか。

 人の武器の一つとして、本能にしたがうのみでなく、理性、合理性から今までとは違う選択をしたり、行動パターンを変化したりすることがあげられると思うが、しかしこの恐怖によってその選択の自由度が狭まっていると感じる。


 伝統。悪しき風習。昔はそれでよかったかもしれないが、しかし今となっては時代遅れであり、不幸な人を増やすだけになってしまったその伝統は、即刻捨て、変化するべきものだろう。理性的に考えれば。

 しかし恐怖がそれを阻害する。やめたらダメなのではないか。怒られるのではないか。偉い人に、偉い存在に、神様に、起こられるのではないか。

 無論、そう恐怖しているものは実際にそういった存在にあっているわけでも、声を聴いているわけでもない。

 ただ恐ろしいから。もしかしたら神的な者がいるとして、もしかしたらその伝統は必要ないからやめろと言っているかもしれないが、しかし恐怖心からやめることは不可能なのだ。

 この例に限らず、理性よりも恐怖という本能をとることが今の世界で多く起こり、多くの悲劇を生んでいるのだろう。

 未来への恐怖、新しいことを始めるための恐怖、継続する恐怖、あらゆる恐怖に支配されている。

 元々は、危険を回避するための感情であった『恐怖』が、人に牙をむいているのだ。

 だが、前述でいった通り、人は感情を支配することができる。

 恐怖とは、記憶でしかない。記憶ならば人であればコントロールすることが可能。

 恐怖の下に人がいるのではなく、恐怖の上に人がいる。

 恐怖は人に使える為の道具であり、パートナーなのだ。


 



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