上 下
190 / 197

地底人

しおりを挟む


 (この物語はフィクションで、科学的証拠は一切ありません)





 地底人。この世界には地底人とういう種族が存在していた。

 その名の通り、地下に住んでいる。

 遠く昔のある時、彼らは地下に住み始めた。


 その理由は、なんだったのだろうか。

 その答えは、意外や意外。止むをえなかったからだった。





 そう、時は、地上から恐竜が消滅した日のことだった。


 山からたくさんの溶岩が流れてくる。

 それは、大量なだけでなく、多くの期間噴火が続いたのだ。

 百年くらい、溶岩が流れてくる時期があった。


 それによって、生命は多く死んだ。

 最初の犠牲だけならば、まだ軽傷だっただろう。


 大小さまざまな生き物たちは、その溶岩から逃げる。

 恐竜、虫、小動物、人、あらゆる動物が、多少の犠牲を出しながら、逃走していく。

 そして、、ついに噴火が止まり、再び平穏が訪れるのかと思っていたが、、

 いかんせん、

 それは、地球という惑星が、ゆがんでしまうほどの災害だった。

 その災害によって、いろいろな事象が重なり、結果的に地球の重力が数倍に増えることになる。


 そうなると、困るのは巨大な生物だった。

 その時期の生き物は、重力による体の支えが現代と比べ弱かったのだ。

 それゆえに、体を大きくしても、重力によって潰れる心配がない。

 つまり巨大であればあるほど有利だったのだ。

 ティラノサウルスなどの不安定な体も、現代よりも軽い重力があるからこそ成り立つものだった。

 故に、恐竜などの、体の大きな生物は、数倍になった地球の重力に耐え切れず死滅した。


 これが、この世界の恐竜絶滅の理由だ。


 だが、、今でも生き残っている恐竜はいた。


 それは、意外なことに、逃げ遅れた恐竜だった。


 ある恐竜の集団たちは幸運だった。

 その恐竜は、洞窟に住み着く習性をもつ種族。

 その噴火が起こった日も、洞窟で過ごしていたのだが、その出入り口が溶岩でふさがれたのだ。

 幸いなことに、その洞窟は広大で、エサも豊富だったので、彼らは災害の最中、そしてその後も、何百何千年といきのこることができた。

 そして、、その進化の過程の中で、偶然にも文化、知性を獲得した種族が現れたのである。

 その姿は、偶然にも人型に体格は逃げいるが、恐竜を祖先にもつことからして、鱗や、牙などといった特徴がある。(さすがに多少退化はしているが)

 それこそが、地底人と呼ばれることになる種族だった。


 つまり、、彼らは地上から地底に潜ったわけではない。


 彼らが住んでいた地上が、その高さのまま地底になってしまっただけのことなのだ。

 人と地底人は、距離的にも遠い。ゆえに何千年というときを、一切関係せずに過ごしていた。



 だが、そして、、彼らは独自の言語で、話していた。

 彼らは地底人の中でも、科学的、合理的に考えるタイプのチームだった。

 彼らは議論している。

 自分たちが、当たり前だと思っていることへの疑問。

 そう、例えば・・・なぜ空は岩で覆いつくされているのか。

 その『空』の向こうには何があるのか。


 岩を掘ることは、彼らの宗教的法律的に硬く禁止されている。

 何故ならば地盤沈下を恐れているからだ。

 彼らの歴史の中で、何度か大量に地底人が死んでしまった地盤沈下が起こっており、それがDNAレベルでも刻み込まれているのだ。


 だが、、それでも好奇心は止められない。


 いずれ、彼らは地上へと旅立つときが来るだろう。



しおりを挟む

処理中です...