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第二章 王城
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リオネルはケイセルの指示通りに王弟妃とソフィアとダンスを踊り、ユクシーの元へと戻ってくる。
「もうそろそろ良いだろ」
「お疲れ様です」
今日の夜会で、リオネルにわざわざダンスを申し込むような令嬢はいないが、いつもは踊らないリオネルを見て誘いがあるかもしれない。
リオネルはユクシーを促してついて来るように指で示す。
「流石に庭に出て休憩とはいかないからな」
今は早くユクシーと二人きりになりたい。
人払いをした休憩室のソファに、リオネルがぐったりと体重を預ける。
「どうぞ」
本来ならいるはずの部屋付の侍女はいないので、ユクシーが果実水をグラスに注いでリオネルへと渡す。
「本当に疲れた顔をしてますね」
「いつもはダンスなんて踊らないからな」
誰とも結婚するつもりはないと早々に宣言したリオネルは、夜会といえどダンスをすることもしない。
「リオネル様が踊ってる姿に、皆見惚れてました」
「そんなことはない。珍しいものを見ていただけだ。ユクシーは見惚れてくれなかったのか?」
グラスを受け取ろうとするユクシーの手をリオネルは掴んで引き寄せる。
「ちょっと…リオネル」
ユクシーを膝に抱えあげ、リオネルは脇にあるテーブルへとグラスを置く。
「重いですから、離して下さいっ」
ユクシーがリオネルの膝の上から下りようとするが、リオネルはガッチリとホールドしていて離してくれない。
「ユクシーの兄の言う通りにこなしたんだから、ご褒美があってもいいだろ」
そう言って、ユクシーの首元にリオネルが顔を埋める。
「装飾…当たりませんか?」
「……たしかに邪魔だな」
リオネルがユクシーの首元を止めるボタンを一つ二つと外していく。
「ダメですってっ!」
慌ててリオネルの手を押さえるが、ユクシーの首元は肌蹴られてしまう。
「別に何もしないから」
そうは言いつつ、ユクシーの首にリオネルの唇が当たる。
「この後ユクシーと一緒にいられないなんて…」
いたずらなリオネルの手が、ユクシーの太腿をさわさわと撫でる。
ユクシーは這い上がってくる快感を感じないように歯を食いしばる。
「もう…そろそろ戻らないと…」
そうユクシーは言うが、リオネルは離れない。
それどころか、ユクシーに回した腕に力がこもる。
「離れたくない…」
絞り出したかのようにつぶやかれる言葉。
「ユクシーがいなくなれば、俺は一人だ……嫌だ…離れたくない」
「リオネル様…」
ユクシーの胸を引き裂くように訴えてくるリオネルの声。
この王城はリオネルには安息の場所は無い。
誰もここには味方はいないのだ。
「今から離宮に一緒に戻ろう」
無理だってリオネルはわかっている。
王城では部屋で寝ているだけでも緊張を強いる。
ユクシーだけがリオネルの安らぎだ。
「今だけ。今だけ我慢して下さい。家に戻って、リオネル様の側にいる権利をもぎ取ってきます」
幼子をあやすように、リオネルの背中をユクシーがゆっくりと撫でる。
「一緒に街に出て買い物するんでしょう?楽しみにしてるんですけど」
少しでもリオネルの心が軽くなるように。
「兄上に頼んで王太子主催の夜会にも来ます。また、僕にお揃いのチーフを用意しておいて下さい」
「ユクシー…」
顔をあげたリオネルが、ユクシーに口付けする。
「んっ…」
歯列を割り舌を絡めてユクシーの口をリオネルは堪能する。
ユクシーが快感に震えてリオネルの服を掴んだところでようやくキスから解放される。
「もう…」
濡れたユクシーの唇をリオネルが指で拭う。
「戻ろうか」
満足そうに笑うリオネルに、ユクシーは口を尖らすのだった。
「もうそろそろ良いだろ」
「お疲れ様です」
今日の夜会で、リオネルにわざわざダンスを申し込むような令嬢はいないが、いつもは踊らないリオネルを見て誘いがあるかもしれない。
リオネルはユクシーを促してついて来るように指で示す。
「流石に庭に出て休憩とはいかないからな」
今は早くユクシーと二人きりになりたい。
人払いをした休憩室のソファに、リオネルがぐったりと体重を預ける。
「どうぞ」
本来ならいるはずの部屋付の侍女はいないので、ユクシーが果実水をグラスに注いでリオネルへと渡す。
「本当に疲れた顔をしてますね」
「いつもはダンスなんて踊らないからな」
誰とも結婚するつもりはないと早々に宣言したリオネルは、夜会といえどダンスをすることもしない。
「リオネル様が踊ってる姿に、皆見惚れてました」
「そんなことはない。珍しいものを見ていただけだ。ユクシーは見惚れてくれなかったのか?」
グラスを受け取ろうとするユクシーの手をリオネルは掴んで引き寄せる。
「ちょっと…リオネル」
ユクシーを膝に抱えあげ、リオネルは脇にあるテーブルへとグラスを置く。
「重いですから、離して下さいっ」
ユクシーがリオネルの膝の上から下りようとするが、リオネルはガッチリとホールドしていて離してくれない。
「ユクシーの兄の言う通りにこなしたんだから、ご褒美があってもいいだろ」
そう言って、ユクシーの首元にリオネルが顔を埋める。
「装飾…当たりませんか?」
「……たしかに邪魔だな」
リオネルがユクシーの首元を止めるボタンを一つ二つと外していく。
「ダメですってっ!」
慌ててリオネルの手を押さえるが、ユクシーの首元は肌蹴られてしまう。
「別に何もしないから」
そうは言いつつ、ユクシーの首にリオネルの唇が当たる。
「この後ユクシーと一緒にいられないなんて…」
いたずらなリオネルの手が、ユクシーの太腿をさわさわと撫でる。
ユクシーは這い上がってくる快感を感じないように歯を食いしばる。
「もう…そろそろ戻らないと…」
そうユクシーは言うが、リオネルは離れない。
それどころか、ユクシーに回した腕に力がこもる。
「離れたくない…」
絞り出したかのようにつぶやかれる言葉。
「ユクシーがいなくなれば、俺は一人だ……嫌だ…離れたくない」
「リオネル様…」
ユクシーの胸を引き裂くように訴えてくるリオネルの声。
この王城はリオネルには安息の場所は無い。
誰もここには味方はいないのだ。
「今から離宮に一緒に戻ろう」
無理だってリオネルはわかっている。
王城では部屋で寝ているだけでも緊張を強いる。
ユクシーだけがリオネルの安らぎだ。
「今だけ。今だけ我慢して下さい。家に戻って、リオネル様の側にいる権利をもぎ取ってきます」
幼子をあやすように、リオネルの背中をユクシーがゆっくりと撫でる。
「一緒に街に出て買い物するんでしょう?楽しみにしてるんですけど」
少しでもリオネルの心が軽くなるように。
「兄上に頼んで王太子主催の夜会にも来ます。また、僕にお揃いのチーフを用意しておいて下さい」
「ユクシー…」
顔をあげたリオネルが、ユクシーに口付けする。
「んっ…」
歯列を割り舌を絡めてユクシーの口をリオネルは堪能する。
ユクシーが快感に震えてリオネルの服を掴んだところでようやくキスから解放される。
「もう…」
濡れたユクシーの唇をリオネルが指で拭う。
「戻ろうか」
満足そうに笑うリオネルに、ユクシーは口を尖らすのだった。
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