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第2話 転生せず幽霊になった件
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ということで俺氏、幽霊になった件。
案外すんなり受け入れて既に数日経っており、俺は色々と検証しているのだ。
まず一つ目。
『工事現場の皆さんやっほーーっ! 今から裸踊りしま~~っす!!』
工事現場にいる作業員たちにそう叫ぶが、一切反応せずに各々が駄弁っている。
検証で分かったことの一つ目。それは、死んで幽霊になった俺は生きている人間から認識されなくなったことだ。
うん、くっそ寂しい! 今にも泣きそうだぜ!!
次に二つ目。
俺はこのゴーストタウン化しつつある街から出られなくなった。
隣町に行こうとすると、謎の透明な壁に阻まれて通れないのだ。
ここからは俺の考察になるのだが、これは人為的なものが原因だと考えている。
この街は「呪われたゴーストタウン」とかとも呼ばれているし、街の端の所々にお札や盛り塩が置かれていた。
これが結界になり、幽霊になってここに迷い込んだ者たちは捕らわれの身になった……という考察だ。
三つ目。
壁はや人は透過できるが、地面には潜れない。
幽霊っぽい透過技術だが、なぜか地面だけは透過されなかった。
俺の幽体の中心にある暖かい〝熱〟と同じようなものを地面から感じたので、ソレのせいだろう。
この謎の熱のことを、俺は勝手に〝霊力〟と名付けた。
霊力が込められたところは透過ができない。
二つ目に気が付いたことも、霊力が籠った結界で出られないということだと納得もした。
『壁抜けできるし、誰からも見られない……だからなんだ! 俺は暇なんじゃ~~い!!』
この霊体になったのなら筋トレは無意味だろう。
殆ど何も残ってないこのゴーストタウンから出られなく、探索してもつまらない。
とても暇なのだ。
風邪をひいて眠ろうにも眠れず、ゲームしようにも悪化するからと怒られて何もできない時間のように。
努力するのが好きだが、幽霊が努力をして何になる?
日本三大怨霊の仲間入りでも目指すか? いや、普通に嫌だな……。
『暇つぶしは唐揚げ屋のおばちゃんと工事の観察くらいだな……』
唐揚げ屋のおばちゃん……。
そういえば、死んで幽霊になった日におばちゃんの様子を見に行ったが、いつもより元気がなさそうだった。
俺が神隠しに遭ったと察したのだろう。
死亡現場に俺の死体は転がっていなかったし、忽然と消えたように見えたと思う。
唐揚げ百個も頼んで消えたのは本当に申し訳ない。
というか、俺を殺したあの顔面渦潮野郎はどこに行ったのだろうか?
今の俺と同じ幽霊っぽかったが、あれは幽霊でも別の類な気がする。
俺が彷徨い歩く害のない〝亡霊〟ならば、アイツは人に危害を成す〝悪霊〟だ。
次会ったら一発ぶん殴ってやる。
……悪霊で思い出したが、この街には俺以外にも幽霊がたくさんいる。
昨日俺を襲った顔面渦潮野郎はいないが、個性的な幽霊がだらけだ。
黒い靄に包まれている霊や地面を這って移動する下半身のない霊、他にも色んな悍ましい奴らが蔓延っている。
今のところ、全員人を襲う様子はない。邪悪な者は夕暮れや夜に出てくるのだ。
強く悍ましくなれば、力を付ければ……。生きている人間に干渉できるようになるのだろうか?
あぁ、なんで幽霊が人にちょっかいをかけるか、改めてわからされた気がするな。
『…………さみしいなぁ』
誰からも気が付いてもらえず、気が付いてもらえるのは言葉が殆ど通じない化け物。
こんな孤独が何年、何十年、何百年と続いたら頭も体も歪んでいくだろうに。
『あーやめやめ! 幽霊気分を満喫して気分紛らわそう!』
俺は壁をすり抜けながら移動をし、工事をしている従業員たちが集まる場所まで移動した。
汗水垂らして働く彼らを、俺はぼーっと眺めて溜息を吐く。
何もできないため、俺はただただそこに居るだけだ。
生前はかなり努力していたので、工事現場の力仕事も難なくできただろうに。
今の俺は何もできやしない。
……何も。何もできない。
好きだったことも、努力も、何もかも……。
心が黒い液体に沈みかけていたその時、俺を嘲笑うかのような声がどこからか聞こえてきた。
その声の主を探すと、頭上で吊り下げられている鉄骨に乗っているのが目視できた。
全身真っ黒な靄な小さな霊だが、スクラッチアートのように笑っている目と口が見える。
見た目と言動からして、子供の霊だろうか。
いや、ちょっと待ってくれ。
あの霊、吊り下げられてる位置をずらして作業員たちの真上まで動かしてやがる!
『鉄骨を落とす気かアイツ! おいみんな! 早く逃げろ!!』
『きゃははは! あ、ソ、ぼ!』
作業員たちに幽霊である俺の声は届かない。
子供の霊はボルトをいじり始めていて、終いにはブチッと千切れて落下し始める。
『おいおいマジかよ!?』
落とした。明らかに殺そう倒している。
殺意があったのか? いや、遊びたいだけなのか!?
(どうする! どうする!? いや、なにもできねぇよ!! でも何かしなくちゃ……何か、なにかぁ!!)
我武者羅に走り出したところで、実体のない俺に何ができる? 何もできやしないだろう?
そんな声が内側から聞こえてくる。
うるせぇ知らねぇ! なんとかすんだよ! 俺が!!
俺はもう、目の前で誰も消えてほしくないから努力し続けたんだ。
死んだからなんだ。死んでるから何もしない? 何もできない? 仕方ない?
甘えんじゃねぇよ俺……!!
『なんか……なんか起きろぉおおおおおお!!』
体の内側にある霊力を自分の手のひらに籠め、それを落下している鉄骨にかざす。
そして、ドッゴォォオオンッ!! と轟音を立てて、鉄骨は落下する――……ことはなかった。
「な、なんじゃぁこりゃああ!?」
「ひっ、ひぃいいいい!」
「鉄骨が……浮いてやがる!?」
落下ていた鉄骨は、作業員たちにぶつかる寸前でピタリと止まり、浮遊していた。
作業員たちが恐怖で逃げると、俺に安堵がやってくる。それと同時に、鉄骨は地面に落ちた。
これは、この現象はもしや――〝ポルターガイスト現象〟!?
大量の鉄骨。一トンは優に超えていただろう。
数秒とはいえ、それら全てを持ち上げるなんて人間では到底できやしない。
……えっ?
これ、俺がやったの!?
案外すんなり受け入れて既に数日経っており、俺は色々と検証しているのだ。
まず一つ目。
『工事現場の皆さんやっほーーっ! 今から裸踊りしま~~っす!!』
工事現場にいる作業員たちにそう叫ぶが、一切反応せずに各々が駄弁っている。
検証で分かったことの一つ目。それは、死んで幽霊になった俺は生きている人間から認識されなくなったことだ。
うん、くっそ寂しい! 今にも泣きそうだぜ!!
次に二つ目。
俺はこのゴーストタウン化しつつある街から出られなくなった。
隣町に行こうとすると、謎の透明な壁に阻まれて通れないのだ。
ここからは俺の考察になるのだが、これは人為的なものが原因だと考えている。
この街は「呪われたゴーストタウン」とかとも呼ばれているし、街の端の所々にお札や盛り塩が置かれていた。
これが結界になり、幽霊になってここに迷い込んだ者たちは捕らわれの身になった……という考察だ。
三つ目。
壁はや人は透過できるが、地面には潜れない。
幽霊っぽい透過技術だが、なぜか地面だけは透過されなかった。
俺の幽体の中心にある暖かい〝熱〟と同じようなものを地面から感じたので、ソレのせいだろう。
この謎の熱のことを、俺は勝手に〝霊力〟と名付けた。
霊力が込められたところは透過ができない。
二つ目に気が付いたことも、霊力が籠った結界で出られないということだと納得もした。
『壁抜けできるし、誰からも見られない……だからなんだ! 俺は暇なんじゃ~~い!!』
この霊体になったのなら筋トレは無意味だろう。
殆ど何も残ってないこのゴーストタウンから出られなく、探索してもつまらない。
とても暇なのだ。
風邪をひいて眠ろうにも眠れず、ゲームしようにも悪化するからと怒られて何もできない時間のように。
努力するのが好きだが、幽霊が努力をして何になる?
日本三大怨霊の仲間入りでも目指すか? いや、普通に嫌だな……。
『暇つぶしは唐揚げ屋のおばちゃんと工事の観察くらいだな……』
唐揚げ屋のおばちゃん……。
そういえば、死んで幽霊になった日におばちゃんの様子を見に行ったが、いつもより元気がなさそうだった。
俺が神隠しに遭ったと察したのだろう。
死亡現場に俺の死体は転がっていなかったし、忽然と消えたように見えたと思う。
唐揚げ百個も頼んで消えたのは本当に申し訳ない。
というか、俺を殺したあの顔面渦潮野郎はどこに行ったのだろうか?
今の俺と同じ幽霊っぽかったが、あれは幽霊でも別の類な気がする。
俺が彷徨い歩く害のない〝亡霊〟ならば、アイツは人に危害を成す〝悪霊〟だ。
次会ったら一発ぶん殴ってやる。
……悪霊で思い出したが、この街には俺以外にも幽霊がたくさんいる。
昨日俺を襲った顔面渦潮野郎はいないが、個性的な幽霊がだらけだ。
黒い靄に包まれている霊や地面を這って移動する下半身のない霊、他にも色んな悍ましい奴らが蔓延っている。
今のところ、全員人を襲う様子はない。邪悪な者は夕暮れや夜に出てくるのだ。
強く悍ましくなれば、力を付ければ……。生きている人間に干渉できるようになるのだろうか?
あぁ、なんで幽霊が人にちょっかいをかけるか、改めてわからされた気がするな。
『…………さみしいなぁ』
誰からも気が付いてもらえず、気が付いてもらえるのは言葉が殆ど通じない化け物。
こんな孤独が何年、何十年、何百年と続いたら頭も体も歪んでいくだろうに。
『あーやめやめ! 幽霊気分を満喫して気分紛らわそう!』
俺は壁をすり抜けながら移動をし、工事をしている従業員たちが集まる場所まで移動した。
汗水垂らして働く彼らを、俺はぼーっと眺めて溜息を吐く。
何もできないため、俺はただただそこに居るだけだ。
生前はかなり努力していたので、工事現場の力仕事も難なくできただろうに。
今の俺は何もできやしない。
……何も。何もできない。
好きだったことも、努力も、何もかも……。
心が黒い液体に沈みかけていたその時、俺を嘲笑うかのような声がどこからか聞こえてきた。
その声の主を探すと、頭上で吊り下げられている鉄骨に乗っているのが目視できた。
全身真っ黒な靄な小さな霊だが、スクラッチアートのように笑っている目と口が見える。
見た目と言動からして、子供の霊だろうか。
いや、ちょっと待ってくれ。
あの霊、吊り下げられてる位置をずらして作業員たちの真上まで動かしてやがる!
『鉄骨を落とす気かアイツ! おいみんな! 早く逃げろ!!』
『きゃははは! あ、ソ、ぼ!』
作業員たちに幽霊である俺の声は届かない。
子供の霊はボルトをいじり始めていて、終いにはブチッと千切れて落下し始める。
『おいおいマジかよ!?』
落とした。明らかに殺そう倒している。
殺意があったのか? いや、遊びたいだけなのか!?
(どうする! どうする!? いや、なにもできねぇよ!! でも何かしなくちゃ……何か、なにかぁ!!)
我武者羅に走り出したところで、実体のない俺に何ができる? 何もできやしないだろう?
そんな声が内側から聞こえてくる。
うるせぇ知らねぇ! なんとかすんだよ! 俺が!!
俺はもう、目の前で誰も消えてほしくないから努力し続けたんだ。
死んだからなんだ。死んでるから何もしない? 何もできない? 仕方ない?
甘えんじゃねぇよ俺……!!
『なんか……なんか起きろぉおおおおおお!!』
体の内側にある霊力を自分の手のひらに籠め、それを落下している鉄骨にかざす。
そして、ドッゴォォオオンッ!! と轟音を立てて、鉄骨は落下する――……ことはなかった。
「な、なんじゃぁこりゃああ!?」
「ひっ、ひぃいいいい!」
「鉄骨が……浮いてやがる!?」
落下ていた鉄骨は、作業員たちにぶつかる寸前でピタリと止まり、浮遊していた。
作業員たちが恐怖で逃げると、俺に安堵がやってくる。それと同時に、鉄骨は地面に落ちた。
これは、この現象はもしや――〝ポルターガイスト現象〟!?
大量の鉄骨。一トンは優に超えていただろう。
数秒とはいえ、それら全てを持ち上げるなんて人間では到底できやしない。
……えっ?
これ、俺がやったの!?
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