転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
281 / 533
11章

腐呪の森【3】

しおりを挟む




 森の中心に差し掛かると、そこは幻想的な空間だった。
 キラキラと何かが空気中を漂っている光景に、惹かれるように足を進める。

 そこは直径三メートルほどの真っ白な泉を中心に開けていて、その泉の淵に一本だけ森の木々よりもはるかに背の高い木が生えている。その木にはカラフルな何かが実っているのが見える。
 煌びやかな鱗粉を撒きながら透き通る色とりどりの蝶々が優雅に舞い、白いスライムがあちらこちらでプルプルと体を震わせていた。

「なんかキレイだねぇ~。恐ろしくくさいけど……」

 反応がなくて近くにいたグレンを見上げてみると、般若のような顔をしていた。ジルとコルトさんも顔を歪ませている。あまりのくささに反応できなかったみたい。

 スライムも蝶々も私達に襲い掛かってくるわけではなく、私達の存在を気にもしていない。
 とりあえず鑑定をかけてみると……

「キャーー! やばーい! ここ最っ高!!」

 一気にテンションがぶち上がった私にみんなは目が点。
 エルミスだけはクスクスと笑いながら《どれが欲しいんだ?》と聞いてきた。

「全部だよ! 全部!」
《ククク。全部か。あるじよ、ウェヌスを呼べ》
「へ? ウェヌス?」
《あやつは万能だからな。早く終わらせられる》
〈セナ! 早く呼べ!〉

 エルミスの発言でグレンに急かされてウェヌスを呼ぶと、ウェヌスは現れた瞬間《ぐふぅ!》と腰を折って悶絶。
 眉間にシワを寄せながらも《セナ様のためならば……》と協力してもらえることになった。

「まず、ビネーガ蝶の鱗粉! 蝶々じゃなくて鱗粉ね!」

 みんなに指示を出して手伝ってもらう。私はスライムに手を突っ込んで核の確保。

 ビネーガ蝶の鱗粉はお酢の粉。しかも色によって種類の違うお酢だった。おかげで、穀物酢・もろみ酢・すし酢・黒酢・米酢・リンゴ酢とバリエーション豊か。
 なぜかワインビネガーやバルサミコ酢はなかったんだけど、これは酢があれば似たようなものが作れるから無問題。

 ココナタスライムは名前からナタデココが作れるんじゃないかと予想。これはアテがハズレたらいらないものなんだけどね。

 真っ白な泉はなんとヨーグルト! これは樽で確保したんだけど、パパ達にコテージと繋げて欲しいとお願いするつもり。

 最後は木に実ってたやつ。カラフルだとは思ってたけど、赤い豆や緑の不織布のパック、茶色い小ビンとそもそもが違う形と色だった。
 これも嬉しいことに、キムチの素・コチュジャン・甜麺醤テンメンジャン豆板醤トウバンジャン・タバスコ・メンマの粉……と色々と手に入った。
 しかも、酢が見つかったら作ろうと思っていたマヨネーズがビン詰め状態で存在していた。
 なぜかドリアンやブルーチーズもあったし、使わないだろう臭豆腐の素や豆腐餻の粉、後はよくわからないけどハカールの粉ってやつもあった。鮫に振りかけて使うらしいけど、日本では聞き馴染みがないから、海外の食べ物じゃないかな? ただ、恐らくくさい。だって粉がもうにおうもん!


 蝶々は鱗粉を全て採取されたため、弱ってフラフラ。スライムは数匹を残していなくなった。
 どどん! と生えていた木は実が全てもぎ取られて……全体的に寂しい印象になってしまった。

「なんか……追い剥ぎみたいだね……」

 さっきまでの幻想的な雰囲気がなくなった原因は私。ちょっと冷静になり、やりすぎたかなと反省――する間もなく、グレンに〈終わったなら去るぞ〉と急かされた。
 採取しまくったのににおいが変わらず……すぐにでもここから離れたいらしい。

「欲しい物は手に入れたから、転移で戻ろうか?」

 パパ達と会ったときに私が転移をできることを説明しておいたから、コルトさんをわざわざ眠らせる必要はない。
 頷いたコルトさんと一緒に馬車が置いてある入り口まで転移。
 私達が「ただいまー!」と馬車に入ると、ガルドさん達三人に驚かれた。
 一応プルトンには戻ることを報告しておいたんだけど、プルトンは驚かせようと黙っていたらしい。

「おかえりー! 昨日美味しいの見つけたんでしょー?」
「ふふふ」
「何だその含み笑いは……」

 私のニヤニヤ顔を見て、ガルドさんは眉間にシワを寄せた。

「ずっと欲しかった酢が手に入ったんだよ!」
「ス? よくわからんが、よかったな」
「うん! 今日はご馳走食べられるよ!」
「ホント!?」
「それは嬉しいですね」

 ガルドが顔を綻ばせて頭を撫でてくれている横で、ジュードさんとコルトさんがニコニコと笑っている。



 早速、私とジュードさんはコテージのキッチンへ。
 はしゃぐジュードさんに使い方を説明しながら、料理を作ること二時間。大量の料理が出来上がった。途中、味見をしたジュードさんが大興奮で、落ち着かせるのに苦労した。

 みんなを呼んで、ちょっと早いけど夜ご飯。

「順番に説明するね。コールスローサラダ、エビフライのタルタルソース、ツナマヨサンドイッチ、アンチョビピザ、エビとイカのシーフードピザ、オーク肉のマヨ味噌炒め、酢豚、チーズダッカルビ、白菜キムチ、キムチチャーハン、ニラチヂミ、麻婆茄子です!」

 ほとんどマヨネーズとキムチ料理。今回は酢を使ったのは酢豚だけ。他の料理は小出しにしていくつもり。
 私が指さしながら料理名を羅列すると、ガルドさん達はポカーンとくちを開けた。覚えきれないらしい。

「全部美味しいんだよー!」
〈食べてもいいのか?〉
「もちろん」
〈いただきます!〉
「召し上がれ~」

 グレンは早速オーク肉のマヨ味噌炒めに手を伸ばした。やっぱりお肉がいいらしい。
 一口ひとくち食べた後、バクバクと食べ始めたので気に入ったみたい。また〈シラコメは?〉とお米を求められた。
 グレンに触発されたガルドさん達も食べ始め、感想も言わずにがっついている。
 グレン達だけではなく、ガルドさん達もピザやキムチチャーハンをおかずに白米を食べていて、何でもおかずになるんだな……と肝心した。
 私には真似できない。焼きそばに塩むすびがギリギリだよ……

 今回はウェヌスも一緒。《あのにおいに耐えた甲斐がありました……》と噛み締めるように食べている。
 ポラルはキムチに大喜びで、フリフリとお尻を振りながら、ひたすらキムチ料理に夢中。

 たまにはみんなも飲みたいかな? とエールと日本酒も出した。
 みんな食べて飲んでと忙しい。炭酸でおなかがいっぱいになる……なんてことはないみたい。

『美味しいわ! 神達がまた食べたがるわね』
「よかった。今回はパパ達のは作ってないんだけど、お願いがあるから教会に会いに行きたいんだよね。そのときに渡そうかなって」
『あら! そうなのね。ガイア様に伝えておくわ』
「ありがとう」

 全部山盛りで出した料理はキレイに食べ尽くされ、お皿は空っぽ。
 食後はジュードさんが感動を熱弁。
 さらにおなかが落ち着いたころ、コルトさんからの森の出来事の報告が続き、夜は更けていった。

しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

4/10コミック1巻発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
2026/01/20追記 『魔王様、溺愛しすぎです!』のコミカライズ情報、解禁となりました! TOブックス様から出版、1巻が4/10発売予定です。 キャラクターデザインに『蒼巳生姜(@syo_u_ron)』先生! 以前表紙絵をお願いした方です(*ノωノ) 漫画家は『大和アカ(@asanyama)』先生です° ✧ (*´ `*) ✧ ° 連載については改めて発表させていただきますね_( _*´ ꒳ `*)_ 「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2026/01/20 1巻発売日(4/10)発表! ※2025/12/25 コミカライズ決定! ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」 魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。 ――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。 「ここ……どこ?」 現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。 救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。 「ほら、食え」 「……いいの?」 焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。 行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。 旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。 「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」 「ウチの子は天才か!?」 ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。 これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。 ※若干の百合風味を含みます。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。