転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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13章

懐かしき旅路

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 商会で調味料を中心に大量購入した私達は、その日のうちに出発。
 出る直前になってブラン団長達に挨拶してなかったことを思い出し、ベーネさんに伝言をお願いしておいた。

 転移の練習にもなるし、転移しようと思ったら、グレンからブーイングが入った。
 外で魔物を狩りながら向かいたいらしい。
 そのため、私はグリネロ、ジルはクーヴェの背に乗り、グレンは自分の羽で低空飛行、ネラース達はジャレながらはしゃいでいる。

「懐かしいねぇ」
『そうねぇ』
「今日のご飯どうしようかな~。何か希望ある?」
〈肉だな!〉
『!』
「うわ!」

 私とクラオルが話していると、グレンが私のすぐ後ろに上からドン! と腰を下ろした。

「んもう! ビックリしたじゃん! グリネロ、ごめんね?」
『大丈夫だ』
〈魔物がいない〉
「前回も王都出たときはしばらくいなかったでしょ?」
〈違う。前回は魔力が漏れてて逃げられていた。今日は魔力も抑えているのにいない!〉
「あ、そうだっけ?」
〈グリネロ、飛ばせ〉
『承知』
「え? ええええええええ!!!」

 グレンが言うと、グリネロが猛ダッシュ。

「うそでしょぉぉぉ!?」
〈セナ、舌噛むぞ〉

 グレンが後ろから支えてくれてるから吹き飛ばなくてすんでるけど、これ私だけだったら間違いなく手綱掴んでブーラブラだよ!
 風圧でほっぺはブルブル。風が目に染みて涙がちょちょ切れていく。
 ちょっとしてからクラオルとグレウスが声も上げず、必死に私の髪の毛を掴んで飛ばされないように耐えているのに気が付いた。

「っ! だめぇぇぇ! すとっぷぅぅぅぅ!!」
『!』
「うぶっ!」

 私が叫ぶと、グリネロが土ぼこりをあげながらズザザーっと滑る。
 速いスピードから一気に止まったため、私はグリネロの首に勢いよくぶつかって鼻を強か打った。
 車は急に止まれない……車じゃないけど。
 後ろからジルが「セナ様ご無事ですか!?」と追ってきた。

〈どうかしたのか?〉
「どうかしたじゃないよ! クラオルとグレウス飛んでっちゃったらどうするの! それに目撃されたら面倒でしょ! ちゃんと考えなきゃダメでしょ!?」
〈すまん……〉
『申し訳ない……』

 私が怒ると、途端にしょんぼりするグレンとグリネロ。
 ちょっと口調がキツかったかと後悔に襲われる。

「魔物狩りながら向かうんでしょ? また森に寄ってもいいし。ただでさえグリネロ速いから、魔物がいても通り過ぎちゃうよ」
〈それもそうか〉

 納得してくれたところで、再び出発。
 グレンが指示を出す前くらいのスピードになった。それでも競馬場の馬より速い気がするんだけど……競馬を目の前で見たことはないから自信はない。イメージよ、イメージ!
 まだちょっと肩を落としたままのグレンに思いきり寄りかかり、下から見上げると、グレンはフッと笑顔を零した。

「ねぇ、グレン。夜ご飯、お肉はわかったけど、何系のお肉がいいの?」
〈ふむ。ここのところ宿の料理だったからな……シラコメが食べたい〉
「じゃあ、定食系か丼系だね」

 私がすぐに思いつくものはほとんど食べている。私もいつもとちょっと違うものが食べたい。
 こういうときこそ、レシピアプリだよね!
 レシピで検索をかけていると、クラオルに呼ばれた。

『主様、そろそろ暗くなってくるわよ』
「じゃあ寝るところ決めないとだね」

 マップをチェックすると、以前泊まった巨石群の近くだった。
 ニヴェスに魔馬車くらいのスピードでって頼んでたけど、二日の行程を半日で済ませるとは……グリネロさん、どんだけ飛ばしたのよ……

 グリネロに巨石群へ向かうようにお願いして、私は再びレシピをチェック。
 いい料理を発見したところで、ちょうど到着した。

「ご飯作るから、みんなは遊んでて」
〈セナ、リバーシ!〉
《私は針刺すやつがいい!》
「はいはい。ちょっと待ってね」

 ボールやダーツ、吹き矢にリバーシを渡すと、みんなは早速遊び始めた。

『主様、何作るの?』
「ふふふ。今日はタコライスだよ!」
『たこ? たこってたこ焼きに入ってるやつよね? 前に食べた煮物のこと?』
「あぁ~、あれもたこなんだけど、今日の料理にはそのたこは入れないんだよ」
『ふーん?』
「何か手伝えることはありますか?」

 手伝いを申し出てくれたジルにレタスの千切りをお願いして、私はタコミート作り。
 いつも沖縄老舗メーカーのレトルトを買っていたから、私も作るのは初めて。

 レシピにはカレー粉入りバージョンと、なしバージョンがあった。
 ただ、シュグタイルハン国でカレーが出まくったため、今回はなしバージョン。ケチャップとウスターソースがあってよかった!

 作る材料も思っていたより少ないし、工程も簡単。
 グレンがいっぱい食べるし、ネラース達や、グリネロとクーヴェもいるため、タコミートは寸胴鍋二つ使う。余る分にはいい! 足りないのが困る!
 フードプロセッサーで肉ひき肉を作るのは、クラオルに頼んじゃった。
 ひき肉を混ぜた調味料で味付けすると、辺りにはいい香りが広がっていく。

「よし! あとは盛り付けだけだよ!」

 私が声をかけた途端、素早くテーブルに寄ってくるみんなに笑ってしまう。
 みんなで席に着いていただきます。

「ん~! 超久しぶりのタコライスうま!」
〈セナ、おかわり!〉
「え!? 早くない? 私まだ二口しか食べてない……」
〈ダメなのか?〉
「いや、大丈夫だよ。お皿ちょうだい?」

 丼におかわりをよそって渡すと、山盛りのタコライスを見て、グレンは満面の笑みを浮かべた。
 ちょっと甘めなタコライスはみんな気に入ったみたいで、クラオルやプルトンまでおかわり。
 デザートにスイートポテトパイを食べたら、それぞれマッタリ。

「懐かしいねぇ。ガルドさん達探すのに出発したてだったんだよね」
「セナ様……後悔しておりますか?」

 ジルがあんまりにも不安そうに聞いてくるから、それだけで何を伝えたいのかわかった。

「ふふふ。もう、ジルってば何言ってるの? そんなワケないでしょ? いつも助けてもらってるのに」
「ならよかったです……」
「それにね、多分だけど、ジルがいなかったら旅は上手くいってなかったと思うよ? 私はちっちゃいし、グレンは他の人に偉そうだからね。ジルのおかげでバランスが取れてるんだよ」
「そ、そうなのですか……?」
「そうなの! ジルは大変だっただろうけど……生まれてきてくれて、生きててくれて、一緒にいてくれてありがとう。大好きだよ」

 ジルに自信を持って欲しくて、抱きついてお礼を伝える。
 ジルは震えながら、私をギューッと抱きしめた。
 小さく嗚咽を漏らすジルの背中をポンポンとしながら落ち着くのを待っていると、グレンから視線を感じた。
 チラチラと窺ってくる姿は、何か期待しているように見える。

「ふふふ。もちろんグレンも大好きだよ。いつもありがとうね」
〈うむ!〉

 グレンは満足そうに頷き、ジルの頭をクシャクシャと撫でた。
 前よりも兄弟感が増してる気がして微笑ましい。
 グレンって実は面倒見いいよね? あのドラゴン達にも慕われてたし。

 ジルが落ち着いたところで、みんなで雑魚寝。
 これも久しぶりだ。
 幸せを感じながら瞳を閉じた。


 
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