上 下
20 / 37

19

しおりを挟む
 昼食の終わり時間ギリギリに食堂に行くと、かなり騎士達はまばらだった。

 「あれ?ジュリアちゃん、遅いお昼だね。それに何だか疲れてる?」

 「うん、2人の部屋に洗濯しに行ったらジオン様が熱で倒れてて。お医者さんに診てもらったり何やかんや忙しくて。一旦お昼しに来た」

 「そうなんだ、大変だったね」

 「うん。で、お医者さんからご飯はお粥を食べさせてって言われてるんだけど。鍋って貸してもらえるかな?お米は買いに行こうと思ってるんだけど」

 「ジュリア、コレ持ってけ。鍋は急がんからその内返せ」

 パタさんが鍋と小分けになった米・卵・刻んだネギと塩を渡してくれる。

 「えっ、パタさん、ありがとうございます」

 「さすがに作って配達はしてやれないからな。作って食わせてやれ」

 「はいっ!」



 
 昼食を食べ終わった足でジオン様の部屋に向かい、ネギ卵雑炊を作ってジオン様の部屋に向かった。

 しまった、取りお皿がない。

 マグカップでいいかな?鍋で食べるよりもいいよね?

 「ジオン様、お腹空きませんか?お粥食べましょう」

 グッタリ寝ていたジオン様に声をかけると、ゆっくりと目を開けるが、視点があっておらず、ぼ~っとしている。

 「まずはお水飲みますか?」

 目の前にお水入りマグカップを差し出すと、ジオン様はゆっくりと飲み干した。そのお陰か少しアタマがスッキリした様だ。

 「すいません、お皿がなかっかので、マグカップにお粥が入ってます」

 お水が入っていたマグカップを受け取り、お粥入りマグカップを渡す。案外持ち手があっていいかもしれない、と思ってしまう。

 ジオン様は熱いお粥を『フーフー』と冷ましながら食べている。ソレを見て、一気に忘れていた事を思い出してしまった。

 うわぁ!ジオン様とキスしちゃったよ!?

 ジオン様は覚えてる?

 それとも熱のせいで覚えて無い?

 お粥を食べ終わったジオン様はベッドに潜り込もうとしたので、慌てて薬を飲ませる。そして着替えを渡し部屋を出る。

 数分後、着替えの回収をして洗濯箱に入れる。ラルク様の部屋の掃除が半端になっていたので終わらせて、洗濯が終わるまでは共有スペースのソファーで紅茶を飲む。

 頭の中はずっとジオン様の唇の感触がフワフワと残っていた。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】二度目の人生に貴方は要らない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:255pt お気に入り:4,701

異世界ライフは山あり谷あり

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,307pt お気に入り:1,552

仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:887pt お気に入り:307

ひとりぼっち獣人が最強貴族に拾われる話

BL / 完結 24h.ポイント:3,239pt お気に入り:1,923

契約結婚しましょうか!~元婚約者を見返すための幸せ同盟~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:35,607pt お気に入り:734

処理中です...