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 しばらくしてジュリアの部屋がノックされる。

 「ジュリア、俺」

 扉が開けられる。

 「さっき鍵借りたままにしたんだ。食事、貰って来たんだ。食べるだろう?」

 「ありがとう、ジオン様」

 しかしこの部屋にはトレーを置く机なんて無い。ジオン様は身体を起こしたジュリアのベッドの上にトレーを置いた。

 「机が無いから仕方ないよな。こぼさない様に気をつけろよ」

 ジュリアはもそもそと食べ始める。打撲なので胃袋は普通に元気だ。手が痛いのでいつもよりはゆっくりだが、普通通りに食べきる。その間にジオン様はヤカンでお湯を沸かして紅茶を入れてくれた。自分の分も淹れた様だ。

 「でだ、ジュリア。犯人を捕まえようと思う。しばらくは王宮の警護がココも巡回する。手紙や張り紙の筆跡を確認中だ。しかし、部屋から出る際には気をつけてくれ。階段は後ろを一旦確認してから降りろ。わかったな?」

 「うん、わかった」

 「明日は誰かが飯を持って来るからか部屋からは出るなよ」

 「えっ、悪いし」

 「い~から、甘えとけ。じゃあな。あ、鍵閉めろよ」

 ジオン様は一旦トレーを廊下出し、ジュリアを扉まで運んでから頭を撫でで扉を閉めた。ジュリアは鍵を閉め、ゆっくり・ゆっくり歩きベッドに入った。

 ううっ、この距離歩くだけでもツライ。



 翌日起きたジュリアは身体がかなり痛かったが、無理に起き上がり、室内をゆっくり歩きまわった。そして湿布を剥がしシャワーを浴びる事にした。

 朝からのんびりシャワーなんだけど、腕上げると痛いかも。

 ベッドに座り髪を拭いていると扉がノックされる。

 「ジュリア、俺」

 扉を開けに行くと、

 「ラルク様っ!?」

 てっきり・・・

 「ジオンだと思ったでしょ?残念~っ、ジオンは鬼ごっこしに行ったから」

 「は?」

 「朝から張り紙してるヤツがいてね~。すぐに捕まると思うよ?しっかし、ジュリアちゃん、ジオンに濡れた髪なんて見せたらダメだよ~、色っぽいって襲われるよ?」

 「えっ!おそっ!?」

 「か~わいいっ!!じゃあね、鍵閉めてよ」

 トレーを置いてラルク様は去って行った。
 


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