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 翌朝、身体は少しまだ打撲が痛かったが、気持ちは元気だった。

 うふっ。

 ジオン様が私の事好きって!!

 シャワー浴びて仕事に向かう準備をする。

 髪にはもちろん『Z』が付いているヘアゴムだ。

 食堂に向かう途中、後ろからの足音が気になり振り返ると、侍女のお仕着せを着た女性が2人、ジュリアを睨みつけた。

 「大した怪我じゃなかったのね」

 「もう一度落ちてみたら?」

 逃げようとするが、ジュリアの身体はまだ走れる状態では無い。足も打撲して動かすだけでもうっすら痛いのだ。

  右腕と左腕をそれぞれ引っ張られ階段近くまで後ろ向きに連れて行かれる。

 「もう戻って来れないといいわね?」

 女の声にジオン様の声が怒りながら言う。

 「誰がだ!?」

 「キャッ!?」

 そう、彼女らは前を向いていて後ろから見張っていたジオン様に気づいていなかったのだ。

 「ふざけた真似してんじゃね~よ、俺の彼女にっ!!」

 「「えっ!?」」

 侍女2人は声を上げた。

 「ラルク様に付きまとってるんじゃ?」

 「はあ?逆だっ!!兄がジュリアに付きまとってるんだ!!」

 「な~んだ、じゃあいいわ」

 2人はその場を去ろうとする。

 「よくね~よ!」

 2人はジオン様に連れて行かれた。

 「ジュリア!!今日も休めっ!!すぐに部屋に行くからな!!」

 ジオン様が遠くで叫んでいる。

 恥ずかしい・・・。

 しょうがないから今日も休む事にしよう。




 部屋に戻るとラルク様がいた。

 「ラルク様、おはようございます。2人とも朝からどうしたんですか?」

 「ジオンが、絶対にジュリアちゃんは今日出勤するって言って。止めに来たんだけど、犯人捕まえちゃったみたいだね。良かったよ、あの2人が階段から突き落とした犯人だろうね?同じ場所なんだろ?」

 「ええ、あの階段です」

 「良かったよ、今回は無事で」

 ラルク様が頭をポンポンとしてくれる。

 「俺の彼女に触らないでくれる?」

 ジオン様が息を切らせながら走って来た。

 「お前ね、そんなに心が狭いと『束縛がキツイ』って嫌われるぞ?」

 「ジュリアは嫌わないから大丈夫だよっ!」

 ジュリアの腰をギュッと引き寄せ、ラルク様から引き離した。

 「ジュリアちゃん、逃げたかったらいつでも俺の所に逃げておいで?」

 「逃げないし、やらね~よっ!!」

 苦笑いしてラルク様は去って行った。




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