花笑みの庭で

ゆきりん(安室 雪)

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  学校の正門では拓哉が彩音を待ち伏せていた。

「あ、拓哉久しぶり、元気だった?」

 さっきまでの暗い気持ちを切り替えて明るく言う。

「お前、開口が1番がそれかよ」

 教室に向かいながら、はぁ~っとため息を吐く拓哉、どした?

 「何かあったの?」

 斜め右上のを見上げながら聞く。

「何かじゃね~よ!スマホ見てんだろ、折り返すとかメールするとか何かあるんじゃねぇの?てか、ライブ帰りの事忘れたのかよ?!」

 にゃ?

 ライブ帰り?

 う~ん?

 はっ、拓哉にキスされたんだった!!

「あ、あはっ、拓哉もイタズラ好きだよねぇ?」

 色々あって忘れてたっ。

 教室に着いたから逃げるように女友だちの元に逃げてしまった。

 後ろからは刺さるような視線を感じるけど、だって拓哉はバンドメンバーの1人としか見れないし。

 はう~っ、今日は朝から色々疲れちゃったよ。まだお昼前なのに。

 次の登校は卒業式。

 担任から色々言われるが耳に入って来ないなぁ~。

 「彩音~、終わったよ。帰りながらカラオケ行く?」

 仲良しグループに声を掛けられるが、気分じゃないから断る。

 するとまた拓哉に捕まってしまった。

「で、まあ、例の件は置いといてやる」

 例の件とはキスだと思われる。

「新曲作り、詰めていかないか?お前、作りたいって言ってただろ?」

「う~ん、今日は気分じゃない」

 家に帰って寝転がりたい。

「じゃあさ・・・、スゲー車」

 何か言いかけた拓哉が、道の横に止まってる車に呟く。

 はうっ、その車はっ!

「彩音、待ってた。乗って」

 アヤトが窓を下げて声を掛けてくる。

「あ、いや、う」

 今はアヤトの顔でも見たくない気分なんだけど。

「美緒子さんも心配してるから、とりあえず会社に行くぞ。早くっ!」

 急かしてくるけど、乗りたくない。

「あんた何?」

 ムッとしながら拓哉が会話に入ってくる。

「君は関係ないから」

 と言いながらアヤトは車から降りてきて、彩音を助手席に押し込める。

「彩音をどうするんだよ!?」

 今まで見た事のない怒った顔のアヤトに、怒鳴っていた拓哉も一歩怯む。その間に運転席に回り込んだアヤトはさっと車を出した。

 拓哉はその車が走り去った後を茫然と見ながら、誰だアイツと呟いていた。


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