花笑みの庭で

ゆきりん(安室 雪)

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 翌朝、母・美緒子に連絡して午後から会う事になった。午前中はアヤトの病院に行く。昨日、彩音が帰る時には意識が戻っていなかったが、その後戻ったようだ。

 病室をノックし、中に入る。

 中には等々力さんがいた。

「彩音ちゃん、いらっしゃい。座って座って」

 椅子を勧められる。等々力さんは

「また、後から顔出すから」

 と病室を出て行く。

「アヤト、ありがと。私は怪我しなかったのに、ごめんなさい」

「何で彩音が謝る?事故だから仕方がないだろ?それより、血液もらったんだってな。ありがとうな」

「うん。でも、何でアヤトも同じ血液なの?数千人に1人って聞いてるのに」

「何だ、まだ美緒子さんから聞いてないのか?」

「うん。午後から聞く事になってる」

「そっか。じゃあ、美緒子さんから聞いてもらった方がいいかな」

 真剣な目で見つめられる。

「彩音、悩んだら俺の所に来い。全部、俺が受け止める」

 な?とニッコリ笑いながら頭をポンポンしてくれる。

「あら?彩音ちゃんも来てたの?」

 美緒子が病室に入ってくる。

 何だか会いたいような、まだ会いたくてなかったような・・・。

「うん」

「丁度いいわ、ここで話すわ」



 そして、美緒子は話しはじめる。

 美緒子には6歳離れた姉がいた。当時、父の会社が傾きかけたが姉と結婚する事で援助するという資産家が現れた。所謂政略結婚だが、父は喜んで受け入れ姉を差し出した。義父は最悪だったが、旦那となった人はとても優しくいい人だった。姉の嫁ぎ先の屋敷に遊びに行くうちに、美緒子も姉の旦那さんが良い人で安心した。旦那さんには双子の弟がおり、美緒子とも仲良くしてくれた。姉夫婦にはすぐに子供が出来、それがアヤトだった。美緒子と弟はゆっくりと恋人になったが、美緒子の父は新しいコネを作りたいと思い、美緒子に縁談を押し付けた。実家に嫌気がさした美緒子は、姉夫婦の勧めもあり家を出て、姉夫婦の所に同居する事にした。そして、彩音を身ごもった美緒子は弟と結婚した。彩音の父はアヤトの父と双子。血液型も同じなので、アヤトと彩音は同じ血液型でも不思議ではない。

「いとこ?」

「そう」

 そして、事件は起こる。アヤトが熱を出し、翌日に彩音も高熱を出した。アヤトよりも幼く、しかも熱がかなり高かった為、丁度出掛ける姉夫婦・彩音の父・彩音の4人で病院に向かっていた所、その車が居眠り運転の車に前から突っ込まれ事故にあった。運転していた姉は即死、後ろに乗っていた兄・夫病院に運ばれたが傷が深く瀕死の状態で、珍しい血液型で血が足りず失血死だった。唯一助かったのは後部座席で2人に守られた彩音だけだった。その後遺症でパニックになると彩音は倒れてしまうらしい。

「私が病気にならなければ・・・」

「そうじゃないのよ、彩音。事故なのよ」

 義父は激怒し、美緒子と彩音を屋敷から追い出した。しかし、既に帝王学を学んでいたアヤトは株や投資でかなりの資産を築いていた為、執事に頼み祖父に内緒で、美緒子達の住まいや生活の資金を出した。小学校高学年ではあり得ない預金額だったようだ。そして、美緒子にも株や投資を教えたが、理解が出来ない様なので、アヤトが売買のタイミングをメールで知らせ、美緒子はそれに従い売買し生活費を得ていた。スマホが普及したので売買しやすい時代になっていたから出来るワザだ。

「あ、パソコンでお仕事って」

「アヤトにもらった色々設定してあるパソコンだったのよ。スマホももちろん使ってたけどね」

「兄妹じゃないんだ、良かったぁ~。あ、でもアヤト、あの女の子は?」

「は?女の子?」

「テレビの中に入ってたDVD見ちゃったんだけど。結婚の約束してた子」

 ぶっ。と2人が笑う。

「はいはい、邪魔者は退散します。アヤト、無理強いはダメよ。あと、まだ子供もダメよ。いいわね?」

「最後のは・・・、保証しかねます」

「じゃあ、連れて帰るわよ?」

「分かりました、努力します。後2年」

「頼んだわよ」

 と美緒子は病室を出ていく。



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