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「何だ美緒、ケーキか。買ってきてやるぞ」
寝起きで低い声の葉月さんが言う。
「自分で選んで食べたいケーキを食べたいのっ。外にくらい出させてよっ」
キッと葉月さんを睨むが、返事は無かった。
朝食を、食べ終わり仕事に向かう葉月さんがリビングで振り返る。
「美緒、土曜日に出かけるぞ。俺と一緒なら外出させてやる」
うっ。
1人で出かけたい。
でも、これを逃したら外に出る機会無くなるかも。
「・・・。お願いします」
不本意ながら、そう答えるしか無い。
そして、その週末。
美緒は久々に外に出た。ベランダから日の光を浴び、風にも当たっていたが、やはり外に出るのとは違う。と言っても、地下の駐車場から車に乗り、道路上を移動しているから完全に『外』では無いのだが。
「どこか行きたい所はあるのか?」
「産婦人科」
「は?孕んだのか?」
葉月さんは、丁度信号で止まったので美緒の肩に手をかけ聞いて来る。
「・・・、ピルが欲しい」
「それは却下だ。他には?」
凍りつきそうな声で返事をされる。
「他は何も」
聞き入れてもらえず、美緒は落胆する。
車はお洒落な店の駐車場に入る。美緒は車から降り、久しぶりの地面を踏みしめ、深呼吸する。やはり外はいい。もう、何日ぶりかの外だ。
車から降りた葉月は、助手席から降りた美緒の腕を掴む。
「逃げませんよ?鎖が無くても」
そう、脚の鎖も外されているのだ。当たり前の事だが、嬉しい。
葉月はいわゆる『恋人繋ぎ』をして、指を絡めてくる。美緒はそんな繋ぎ方をするのは初めてだった。いつかは恋人と、そんな手繋ぎデートをしたいと思っていたのに、まさかの葉月さん。そして、夢の中の葉月さんとも、こうやって手を繋いで歩いた事が頭をよぎる。
「あ、あの、葉月さん。逃げないので手を離して下さい」
恥ずかしいし、恋人じゃない葉月さんとは手を繋ぎたくない。いやまあ、身体は散々繋がってしまっている間柄だが、美緒の意思では無いし。
「却下だ」
憮然とした口調で返される。
そしてそのまま店内へと脚を踏み入れる。
寝起きで低い声の葉月さんが言う。
「自分で選んで食べたいケーキを食べたいのっ。外にくらい出させてよっ」
キッと葉月さんを睨むが、返事は無かった。
朝食を、食べ終わり仕事に向かう葉月さんがリビングで振り返る。
「美緒、土曜日に出かけるぞ。俺と一緒なら外出させてやる」
うっ。
1人で出かけたい。
でも、これを逃したら外に出る機会無くなるかも。
「・・・。お願いします」
不本意ながら、そう答えるしか無い。
そして、その週末。
美緒は久々に外に出た。ベランダから日の光を浴び、風にも当たっていたが、やはり外に出るのとは違う。と言っても、地下の駐車場から車に乗り、道路上を移動しているから完全に『外』では無いのだが。
「どこか行きたい所はあるのか?」
「産婦人科」
「は?孕んだのか?」
葉月さんは、丁度信号で止まったので美緒の肩に手をかけ聞いて来る。
「・・・、ピルが欲しい」
「それは却下だ。他には?」
凍りつきそうな声で返事をされる。
「他は何も」
聞き入れてもらえず、美緒は落胆する。
車はお洒落な店の駐車場に入る。美緒は車から降り、久しぶりの地面を踏みしめ、深呼吸する。やはり外はいい。もう、何日ぶりかの外だ。
車から降りた葉月は、助手席から降りた美緒の腕を掴む。
「逃げませんよ?鎖が無くても」
そう、脚の鎖も外されているのだ。当たり前の事だが、嬉しい。
葉月はいわゆる『恋人繋ぎ』をして、指を絡めてくる。美緒はそんな繋ぎ方をするのは初めてだった。いつかは恋人と、そんな手繋ぎデートをしたいと思っていたのに、まさかの葉月さん。そして、夢の中の葉月さんとも、こうやって手を繋いで歩いた事が頭をよぎる。
「あ、あの、葉月さん。逃げないので手を離して下さい」
恥ずかしいし、恋人じゃない葉月さんとは手を繋ぎたくない。いやまあ、身体は散々繋がってしまっている間柄だが、美緒の意思では無いし。
「却下だ」
憮然とした口調で返される。
そしてそのまま店内へと脚を踏み入れる。
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