指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 銀はお城に近づくと大きな身体を斜めにし、下降をする。風圧で浮き上がりそうになる優をアレク様が片腕で抱きしめ防いでくれるが・・・っ!

 きゃ~っ!近い近いっ!

 アレク様に焦っているのに、その本人は。

「大丈夫だよ優、怖くないよ」

 と耳元で囁くから、ドキドキ・ゾクゾクする。今迄生きてきて、こんなに優しくされるのが初めてだからかな?頭クラクラしてきた。

 銀が地上に降り立つと、立派な厩舎から何人か人が出てくる。その1人に

「銀を頼む。ああ、向こうのグリフィンの世話は大丈夫だ」

 ノソノソと紅がやって来る。優が撫でると、手乗りグリフィンになり、周りを驚かせる。

「アレクサンドル様、あのグリフィンは・・・」

「ああ、危害は加えないから大丈夫だ」

 とだけ答えて、優と共に城内に入る。すれ違う人は皆、アレク様とその連れの子供、肩に留まっているぬいぐるみの様な生き物に目を見張る。

「優、今から会って貰うのはこの国で1番偉い方なんだ。大人しく話を聞いて質問されたら答えるんだぞ」

 そんな子供に言うように言わなくても・・・、あ、見た目子供でした。ホントの年齢話した方がいいのかな?でも、信じてもらえそうにないしな~、ま、いっか。もう少しこのままでも。

「はい、アレク様」

  いつの間にか目の前には大きな扉、門兵が立っているが、アレク様を見ると一礼し扉を開けてくれる。

「陛下、急な面会で申し訳ありません。内容は昨夜、式にて届けさせて頂いた通りです。この少女、優がフェアリー候補です」

 式?

「ほう、まだ幼いではないか。前回のフェアリーは20歳位だったと聞くが・・・」

「優は、火・水・風の魔力と、グリフィンを従えております」

「グリフィンかっ!希少なのに、グリフィンはどこにおる?って、この喋り方疲れるから辞めてい~い?いいよな~」

 いきなりラフな感じになる。確かに見た目まだ30歳位かな?銀色の髪を後ろで1つに括っついて、細マッチョ体型だ。身長は椅子に座ってるからわからないな。目は深いブルーだ。アレク様よりは年上そうだけど、陛下って言うからもっとおじいちゃんかと思った。

「で?グリフィンは、アレクの屋敷か?」

「いえ、優の肩に」

「は?アレはぬいぐるみじゃないのか?」

 陛下が優に近寄り、紅を凝視する。すると

「キーッ」

 いきなり紅が鳴き出す。

「グリフィンも子供なのか?」

 陛下は紅を触ろうとした手を引っ込める。

「建物の外に出れば元の大きさに戻ります。大体、銀と同じくらいで飛行も問題ありませんでした」

「ほう。しかし、どうしたものかな。今回の北極星のお告げ、聞いた?」

「いえ、まだです」

 アレク様が答えると陛下は苦笑いしながら言う。

『導かれし乙女、宝剣の呼びかけに応えし時、平和へと導かん。聖なる輝きにて浄化せしめん』

「その子がフェアリーだとすれば、後10年位は待つんじゃないか?まだ、乙女には程遠い」

 いえ、実際年齢は乙女をだいぶ過ぎてます。と優は内心で呟く。

「確かに、乙女にはまだ遠いですね。しかも、『宝剣の呼びかけ』の意味が分かりませんね」

「ああ、北極星のお告げを分析した魔導師達も分からないようだ」

「とりあえず、優はどうしますか?」

「お前はどうしたい?」

「折角のグリフィンがいるので、グリフィン騎士団見習いでもと思うのですが」

「まだ、子供だろう。騎士見習いは普通15歳からじゃないか。しかも女の子」

「そうなんですが、見習いになればグリフィンを扱う練習もできますし。日中も俺の目が届く範囲にいる事が可能かと」

「ふむ、それも一理あるな。もし、フェアリーじゃなかったにしても、グリフィン騎士団が1人増えれば助かるな」

 と、言う事で優はグリフィン騎士団見習いが決まったのだった。




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