指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 「ライ様、こんにちわ~」

 挨拶しながら昨日案内された部屋に入る。すると、机の上に積んである本の隙間から

「やあ、優。もうそんな時間なの?お昼まだなんだ。優は食べた」

 お腹をさすりながら聞いてくる。

「はい。食べて来ました」

「そっか、じゃあ俺の分はココに運んでもらおうかな」

 ライ様は紙に何か書き『厨房のおばちゃんに』と言うと、式になり紙は飛んで行った。

「名前じゃ無くても大丈夫なんですね?」

「ああ、大丈夫だ。名前の方がちゃんとイメージ出来るからいいんだけど、名前を知らない場合やその場所にいる誰でもいい場合もあるだろう?名前を知らない場合は顔を思い浮かべればいいし、その場所にいる誰でもいい場合は、その場所とのっぺらぼうみたいな人間を思い浮かべればいいよ。早速やってみる?」

 ライ様から紙とペンを渡される。

 う~ん、『練習です。ちゃんと届いたらお返事下さい』でいいかな?

「アレク様に」

 紙がパタパタ折り畳まれ、ふわふわ飛んでいく。

「名前の場合、どこにいるか分からなくても大丈夫なんですか?」

「ああ。式が気配を探して届けてくれるからね」

 ふ~ん、すごい。

 メールが紙で飛んで行く感じかな?でも、届くと人が喋るし。と思っていると、式が来た。

『優、ちゃんと届いたよ。ちゃんと頑張ってる様だね。おやつを差し入れするね』

 優しい微笑み付きでアレク様は話す。

「合格だね、優。午後いっぱいかかるかなと思ったんだけどな」

 サンドイッチをパクパク食べながらライ様は話す。

「あ、優にも紅茶とお菓子を頼んだからどうぞ」

 お茶とマドレーヌを差し出してくれる。

「わぁ、いただきまぁす」

 美味しいっ!

「ライ様、ありがとうございます。美味しいですっ」

 幸せっ。

 やっぱり美味しいモノ食べてる時が一番だよねっ。すると、またお茶が運ばれて来る。アレク様からのおやつだ。

「ぷぷっ、2倍になってしまったね」

 運ばれて来たのはまたもやマドレーヌ。

 美味しいからいいのだ。



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