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6〜颯&リョウ〜
名古屋のライブが終わって、またいつも通り仕事をしていると。
「颯さんっ、エビピラフにカレーかけないで下さいよっ」
リョウからクレームの電話が入る。
「あ?そんな事してないぞ?」
「証拠の写真、送りますよ」
送られてきた写真には、確かにエビピラフにカレー、ハンバーグにカレー、サラダにカレーがかかっている。
その夜、颯の部屋にリョウがたずねてくる。
「颯さん、俺以外にもやらかしてるんだって?」
「・・・」
「彩音ちゃんがプリン頼んだら、プリンにコーヒーゼリーが乗ってて、びっくりしたって」
「・・・」
「颯さん、恋煩い?」
「ばっ、んな訳あるかっ!」
すかさず反撃する。
「だって、名古屋から帰って来てからおかしいって聞いたよ?あの子じゃないの?抱きしめちゃった子」
俺は思わず、ふう~っと息を吐く。
「そうだとしても、2度と会わないヤツだ」
名前や連絡を知らないのだ。探しようが無い。
部屋を後にしたリョウは、ファンクラブの部署に行き、ファンクラブメンバーの名古屋のチケット取得状況で、颯の横は誰がいたのか確認する。この子だな。週末のファイナルにはーーー、2日とも来るのか。よしよし。
週末の土日はスノファクのツアーラスト。リョウから『もしかしたらあの子来るかも知れないよ~』と言われノコノコ来てしまった。
何やってるんだ、俺。
リョウに渡されたグッズTシャツを来て、会場に向かう。グッズ売り場を過ぎたあたりで、人とぶつかってしまう。
「きゃっ!?」
と、声を上げ、すぐに。
「ごめんなさいっ」
謝る声がする。
「いや、俺こそ」
あれ?この子、似てる。ま、他人の空似か。
リョウから配信されたチケットは、真ん中前から3列目。こんな席はファンに当ててやれよ。
席に座ると隣の女が話しかけてくる。さっきぶつかった子か?
「あの~、先週の名古屋のライブもいらっしゃいませんでした?アリーナの左の後ろ辺りの端」
「ああ、名古屋。行った」
「私、その時も隣だったんですよ、多分。ラストでこうやって手繋いだの覚えてませんか?」
あの子かっ!?話しながら、俺の手を掴みばんざいをする。
「あ、すいませんっ」
顔を赤らめ、下を向く。
「ぷっ、覚えてるよ。あの時もアンタそうやって人の手を取って、飛び跳ねてたもんな。今日はコケない様にな」
「その節は、すいません・・・」
上げた頭を再び下げる。
「あれ?前回はTシャツ着てなかった様な?今回は買ったんですね。いいなぁ、私は予算不足でタオルだけです」
「ふ~ん、着たい?」
「当たり前じゃないですか、羨ましいっ」
そんなに着たいか?だったら誰かに・・・、リョウでいいか。女性用のTシャツが今すぐ欲しい。とメールを打つ。ま、誰か持ってきてくれるだろうと思っていたら。まさかの。リョウ本人がやって来る。しかも、全色置いてさっさと帰っていく。この子、リョウとは気がついてないぞ?ま、普通は出る本人が会場にいるとは思わないだろう。
開演し、何曲目かでリョウがこっちに向けてタオルを投げる。ジャンプして受け取った、横の子は嬉しそうだ。何となく俺は嬉しくないが。ラストの手を繋ぐヤツ、今日もやりたいんだろうなと手を繋いでやる。すると嬉しそうに飛び跳ねるが、隣のヤツに押され、俺の方に飛んでくる。
「うわっ」
「ったく。アンタは毎回毎回・・・」
しっかり抱きとめてやる。コイツ本当に抱き心地がいい。
ライブが終わって部屋に帰ると、リョウから電話がくる。
「今日も抱き合ってたね~、颯さん。付き合っちゃうの?」
「ばっ、そんなんじよない!横から飛ばされてきたんだよ」
「ふ~ん?明日のチケット送ったからね、颯さん。ラストチャンス!頑張ってね」
そう言ってリョウは電話を切る。
どうしろって言うんだよ。
そして次の日のライブ終わり。俺の横でコケる事も飛んで来る事もなったが気がついたら抱きしめていた。離せられず、抱きしめていると、『帰りの新幹線に間に合わない』と言いはじめた。いい口実が出来た、連れて帰ろう。
俺の料理を美味そうに笑顔で食べる顔は可愛かった。ますます、気に入った。手元に置きたい、そう思った。同じベッドに入っても危機感が無いのか、すぐに寝息が聞こえてきた。思わず抱きしめたい衝動を抑え、何とか寝付く。
朝も美味そうに朝食を食べ、そして帰っていった。1人になった部屋は何だか寂しく感じた。俺はリョウに電話して、アイツの事を聞いた。そしてまた会いたいと。
「颯さん、それは本人に言わないと」
「もう、いないんだ。どうしたらいいんだ?」
「颯さん、後から部屋に行ってもいい?ちょっと色々聞きたいし」
「ああ、構わない」
そして、リョウが部屋に現れ、美奈子の囲い込み作戦が始まるのだ。
美奈子、次は逃がさない。
そしてその日がやってきた。そろそろなはずだ。
俺の部屋の扉が開く。
「美奈子、待ってた」
見つめながらそう言う。
「え!?颯さんの部屋?」
びっくりした顔で一瞬固まっている。そんな顔も可愛い。
「美奈子、逃がさないぞ?」
俺はニヤリと笑う。
「颯さんっ、エビピラフにカレーかけないで下さいよっ」
リョウからクレームの電話が入る。
「あ?そんな事してないぞ?」
「証拠の写真、送りますよ」
送られてきた写真には、確かにエビピラフにカレー、ハンバーグにカレー、サラダにカレーがかかっている。
その夜、颯の部屋にリョウがたずねてくる。
「颯さん、俺以外にもやらかしてるんだって?」
「・・・」
「彩音ちゃんがプリン頼んだら、プリンにコーヒーゼリーが乗ってて、びっくりしたって」
「・・・」
「颯さん、恋煩い?」
「ばっ、んな訳あるかっ!」
すかさず反撃する。
「だって、名古屋から帰って来てからおかしいって聞いたよ?あの子じゃないの?抱きしめちゃった子」
俺は思わず、ふう~っと息を吐く。
「そうだとしても、2度と会わないヤツだ」
名前や連絡を知らないのだ。探しようが無い。
部屋を後にしたリョウは、ファンクラブの部署に行き、ファンクラブメンバーの名古屋のチケット取得状況で、颯の横は誰がいたのか確認する。この子だな。週末のファイナルにはーーー、2日とも来るのか。よしよし。
週末の土日はスノファクのツアーラスト。リョウから『もしかしたらあの子来るかも知れないよ~』と言われノコノコ来てしまった。
何やってるんだ、俺。
リョウに渡されたグッズTシャツを来て、会場に向かう。グッズ売り場を過ぎたあたりで、人とぶつかってしまう。
「きゃっ!?」
と、声を上げ、すぐに。
「ごめんなさいっ」
謝る声がする。
「いや、俺こそ」
あれ?この子、似てる。ま、他人の空似か。
リョウから配信されたチケットは、真ん中前から3列目。こんな席はファンに当ててやれよ。
席に座ると隣の女が話しかけてくる。さっきぶつかった子か?
「あの~、先週の名古屋のライブもいらっしゃいませんでした?アリーナの左の後ろ辺りの端」
「ああ、名古屋。行った」
「私、その時も隣だったんですよ、多分。ラストでこうやって手繋いだの覚えてませんか?」
あの子かっ!?話しながら、俺の手を掴みばんざいをする。
「あ、すいませんっ」
顔を赤らめ、下を向く。
「ぷっ、覚えてるよ。あの時もアンタそうやって人の手を取って、飛び跳ねてたもんな。今日はコケない様にな」
「その節は、すいません・・・」
上げた頭を再び下げる。
「あれ?前回はTシャツ着てなかった様な?今回は買ったんですね。いいなぁ、私は予算不足でタオルだけです」
「ふ~ん、着たい?」
「当たり前じゃないですか、羨ましいっ」
そんなに着たいか?だったら誰かに・・・、リョウでいいか。女性用のTシャツが今すぐ欲しい。とメールを打つ。ま、誰か持ってきてくれるだろうと思っていたら。まさかの。リョウ本人がやって来る。しかも、全色置いてさっさと帰っていく。この子、リョウとは気がついてないぞ?ま、普通は出る本人が会場にいるとは思わないだろう。
開演し、何曲目かでリョウがこっちに向けてタオルを投げる。ジャンプして受け取った、横の子は嬉しそうだ。何となく俺は嬉しくないが。ラストの手を繋ぐヤツ、今日もやりたいんだろうなと手を繋いでやる。すると嬉しそうに飛び跳ねるが、隣のヤツに押され、俺の方に飛んでくる。
「うわっ」
「ったく。アンタは毎回毎回・・・」
しっかり抱きとめてやる。コイツ本当に抱き心地がいい。
ライブが終わって部屋に帰ると、リョウから電話がくる。
「今日も抱き合ってたね~、颯さん。付き合っちゃうの?」
「ばっ、そんなんじよない!横から飛ばされてきたんだよ」
「ふ~ん?明日のチケット送ったからね、颯さん。ラストチャンス!頑張ってね」
そう言ってリョウは電話を切る。
どうしろって言うんだよ。
そして次の日のライブ終わり。俺の横でコケる事も飛んで来る事もなったが気がついたら抱きしめていた。離せられず、抱きしめていると、『帰りの新幹線に間に合わない』と言いはじめた。いい口実が出来た、連れて帰ろう。
俺の料理を美味そうに笑顔で食べる顔は可愛かった。ますます、気に入った。手元に置きたい、そう思った。同じベッドに入っても危機感が無いのか、すぐに寝息が聞こえてきた。思わず抱きしめたい衝動を抑え、何とか寝付く。
朝も美味そうに朝食を食べ、そして帰っていった。1人になった部屋は何だか寂しく感じた。俺はリョウに電話して、アイツの事を聞いた。そしてまた会いたいと。
「颯さん、それは本人に言わないと」
「もう、いないんだ。どうしたらいいんだ?」
「颯さん、後から部屋に行ってもいい?ちょっと色々聞きたいし」
「ああ、構わない」
そして、リョウが部屋に現れ、美奈子の囲い込み作戦が始まるのだ。
美奈子、次は逃がさない。
そしてその日がやってきた。そろそろなはずだ。
俺の部屋の扉が開く。
「美奈子、待ってた」
見つめながらそう言う。
「え!?颯さんの部屋?」
びっくりした顔で一瞬固まっている。そんな顔も可愛い。
「美奈子、逃がさないぞ?」
俺はニヤリと笑う。
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