黒猫は愛されたい

ゆきりん(安室 雪)

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 透がパチリと眼を覚ますと、見知らぬ男が隣に寝ていた。危うく叫びそうになったが、何とか堪える。

 多分、この部屋の主だよな?

 酒くさっ!

 少し離れようと思ったが体が動かない。まだ力が入らないのか?と思ったが、男に抱きしめられているからだとわかる。

 寝返りを打ちたかったが、諦めもう1度眠る事にした。

 

 次に目が覚めると隣には誰も寝ていなかったが、ギターの弦を弾く音が聞こえる。

 ベッドから起きがり、ヨロヨロしながら音のする方に向かって行く。が、途中で立ちくらみがし倒れてしまう。

「大丈夫かっ!?」

 音を聞きつけ直ぐに扉が開く。

「お前、まだ体調良くないんだろ?寝てないと」

 心配そうな声にお姫様抱っこされ、リビングに連れて来られる。綺麗に片付けられていて、ごちゃごちゃしているのはソファー周辺だけだ。

「あー、今曲作ってるからな。それより、どうした?」

「お腹すいた・・・」

「お?あ、そうだな忘れてた。何食べたい?」

「何でも、食べれれば」

 タブレットを操作し、注文する。

 俺まだタブレットで食事の注文できるレベルじゃないのに、この人は普通にするんだ。部屋も透は1LDKだがこの部屋はもっと広そうだ。

 「あのっ!お世話になってすいませんっ!俺、黒崎 透って言います。あなたは?」

 「ああ、俺はリク。気にしないでいいよ、黒猫ちゃん」

「俺、黒崎ですけど・・・?」

「黒猫決定なの、文句ある?」

「いえ、無いです・・・」



 しばらくして料理が届いた。胃に優しそうなお粥があったり煮物・サラダ・ステーキ・スープ、どれもそれなりの量があり2人分だとわかる。

「じゃ、食べようか」

 テーブルに着くと、箸とスプーン、取り皿を渡してくれる。

「いただきまぁす」

 まずは胃に優しいお粥から食べ始め、煮物・ステーキも食べる。どれもこれも美味しく、熱々で食が進む。

 デザートの杏仁豆腐を食べた所でリクさんから夕方に、一旦総務に行くと告げられる。

「ま、今回の件の事情聴取だな」

「やっぱり話さないとダメですよね」

「社内の案件っぽいからな」

 はぁ~っ、とため息をつき、時間までは寝てたいと伝える。再びお姫様抱っこされ、ベッドに運ばれる。自分で歩けると言っても聞き入れてもらえなかった。




 どれ位時間が経っただろう?

 ボソボソと話し声が聞こえ、寝室のドアが開く。

「黒猫、起きてるか?」

「だから、黒崎君だって教えたでしょ!」

「本人も納得してるからいいだろ」

 いえ、納得してません。

 首を横に降る。

「事情聴取はここでする事になったから、黒崎君話してくれるかな?言いにくい事は分かってるんだけど、今後また、黒崎君に起こるかも知れないし、他の子がなるかも知れないから」

 自分だけだったら我慢すればいい話だが、他の子も同じ目に遭うかと思うと、ゾッとする。自分は男だから、まあ、犬に噛まれたと思って諦めるが、女の子だったら・・・。そう思うと話さないずにはいられなかった。



 音楽番組収録後、メンバーから急遽雑誌の撮影が入ったと教えられ、教えたメンバー2人と透は地下に停めてあった黒のワンボックスに乗った。着いたのはスタジオから比較的近くの廃墟だった。雑誌の撮影にしては暗く気味が悪い建物でメンバーを振り返ると後ろからはガラの悪そうな男が何人かいた。不穏な雰囲気を感じ逃げようとしたがすぐにつかまり殴られた。引きづられて行った先には大きなベッド、照明、カメラなどがあり、一層恐怖心を煽った。服を脱がされ、暴れれば殴られる。そして複数人にマワされたのだ。しかも、録画されている。

「途中で『今日は男か』って言ってたからもしかしたら、女の子も同じ目に遭ってるかも知れない。俺は男だけど、女の子だったら・・・、お願いします。犯人を捕まえて下さいっ!」

 ベッドの上で頭を下げる。

 リクがベッドの端に腰掛け、透を抱きしめる。

「よく話してくれたね。とりあえずはメンバー2人を吊るし上げるよ。会社のメンツに関わるからね。それと、多分『リン』は解散になると思う。残りのメンバーと今後は相談だね」

 泉はそれだけ言って部屋を出て行く。



 部屋に残ったリクは

「黒猫、まだ怖いか?」

 抱きしめながら聞いてくる。

「もう大丈夫、リクさんや泉さんが守ってくれてるから」

「俺だけに守られておけ」

「え!?」

「あ、心の声がダダ漏れてしまった。黒猫、嫌な記憶は上書きしたくないか?俺ならお前を大事に愛してやる。どう?」

「え、どうと言われても・・・」

「お前が望む事なら何でも叶えてやりたい。甘やかしてやりたい。俺の事しか考えられない様に抱きたい。ダメか?」

「ダメかって・・・」

 顔を真っ赤にしてしまう。お前って言われて何だかキュンときた。

「お前、その顔は反則でしょ。肯定と見なすよ」

 そう言って唇を柔らかく食み、首筋に降りて行く。

 「あっ・・・」

 黒猫は長い夜、甘く喘がされ愛されるのだった。




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