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私は千春との会話から、そのあとずーーーっと考え込んでしまった。
他の人って、こんな気持ちにならないの?
家に独りきりになった時とか、パパやママのこと考えて胸を締め付けられたり、会いたい会いたい会いたい会いたい!!! ってなったり、パパの顔を思い浮かべてにやにやしたりしないの?
私って変なのかなあ?
変なの、かなあ……。
「変じゃないよ。それが好きってことなんだよ」って千春の声が聞こえてきそうだった。でも千春の言う「好き」は、恋愛とかに使う「好き」なんでしょ?
「え、私ってパパのこと好きなのかなあ!」と私はベッドに寝転がり、枕を抱きしめごろごろしながらそう叫んでみた。
「パパのこと、好きなのかなあ……」
「じゃあさあ、想像してみて?」私は枕に顔を埋め、千春との会話を思い出していた。「もし愛衣奈のお父さんが、他の女の人と手を繋いで歩いてたらどうする? 目の前でキスとかされたらどうする?」
「え、いやだ」
「どうしていやなの? だって、彼女とかいてもおかしくないし、彼女とならそれくらいしても当然だよ?」
「え、わかんないけどそんなの絶対にいやだ!」どうして千春はそんなイジワルなことばかり言うのだろう。その時私はそう思った。
でも……、でも、どうしていやなのだろう。
「それが嫉妬って言うんだよ」
「嫉妬?」
「ヤキモチよ。自分のものだと思ってる人のことを、誰かに取られそうになった時に感じる気持ち」
私のもの……、そうよ、だって、パパは私のものだもん。
ほんとに、そうなのかなあ。
私が知らないだけで、パパに彼女がいたらどうしよう。
例えばあのお店の木崎さんとか、綺麗だったし、上品で、年齢的にもパパにぴったりだ。私みたいに気が弱くて不器用でどんくさくて泣いてばかりで甘えん坊で何のとりえもないつまらない女子高生より、ぜったい木崎さんの方がいいに決まってる。
ずっとずっとパパは私だけのものだと思ってた。
でも、パパみたいに素敵な男の人が、いつまでもこんな色気のない子供のために独りでいるなんて考えられない。
私はだんだん自分の情けなさに涙が出てきた。
悲しくて悲しくて仕方なくなってきた。
パパにもし彼女が出来たらどうしよう。
パパがどっか行っちゃったらどうしよう。
そう考えたら息ができないくらいに胸が苦しかった。
なんだろう、この気持ち。
私って、パパのことどう思っているんだろう。
そんなこと今まで考えたことも無かったよ。
ただ目の前にいたらドキドキして、いつでも甘えていい存在だと思っていた。
私だけのパパだと思っていた。
でも、なんだかそうじゃないのかなあ。
十七歳と三十六、それって恋愛していい歳なんだ。お互い好きになっていい歳なんだ。でも親子は? 好きになっていいの? よくないよね……。
千春が羨ましい……。
私のパパに対するこの気持ちってなんなんだろう?
ずっと違和感を持ってきた。
千春に言われる前から、友達が自分のお父さんを好き、って言うのと、私がパパのことを好き、って言うのとは、なんだか少し違うような気はしていた。
私って……、私って……。
パパの顔を思い浮かべると、なんだか胸が締め付けられた。
なんだか心細い。
寂しいよう……。
パパ、パパ、帰って来てよ。
どうしたらいいのかわからないよ。
あれ? 私、泣いてる……。
自分の体が自分のものじゃないみたい。
自分の心が自分のものじゃないみたい。
「パパ……、私、パパのこと好き」そう声に出して言ってみた。
その声は私の耳に届き、鼓膜から脳へ、脳から心へ伝わってきた。
言ってみて、わかった。
これ、私の本心だ……。
私、パパのこと好きなんだ。
どうして今まで気づかなかったんだろ。
これから、これからどうしたらいいんだろう。
どうしてこんなに悲しいんだろう。
苦しい苦しい苦しい……、こんなに苦しいなら知らなきゃよかった。
私は枕に顔を埋め、声を上げて泣いた。
他の人って、こんな気持ちにならないの?
家に独りきりになった時とか、パパやママのこと考えて胸を締め付けられたり、会いたい会いたい会いたい会いたい!!! ってなったり、パパの顔を思い浮かべてにやにやしたりしないの?
私って変なのかなあ?
変なの、かなあ……。
「変じゃないよ。それが好きってことなんだよ」って千春の声が聞こえてきそうだった。でも千春の言う「好き」は、恋愛とかに使う「好き」なんでしょ?
「え、私ってパパのこと好きなのかなあ!」と私はベッドに寝転がり、枕を抱きしめごろごろしながらそう叫んでみた。
「パパのこと、好きなのかなあ……」
「じゃあさあ、想像してみて?」私は枕に顔を埋め、千春との会話を思い出していた。「もし愛衣奈のお父さんが、他の女の人と手を繋いで歩いてたらどうする? 目の前でキスとかされたらどうする?」
「え、いやだ」
「どうしていやなの? だって、彼女とかいてもおかしくないし、彼女とならそれくらいしても当然だよ?」
「え、わかんないけどそんなの絶対にいやだ!」どうして千春はそんなイジワルなことばかり言うのだろう。その時私はそう思った。
でも……、でも、どうしていやなのだろう。
「それが嫉妬って言うんだよ」
「嫉妬?」
「ヤキモチよ。自分のものだと思ってる人のことを、誰かに取られそうになった時に感じる気持ち」
私のもの……、そうよ、だって、パパは私のものだもん。
ほんとに、そうなのかなあ。
私が知らないだけで、パパに彼女がいたらどうしよう。
例えばあのお店の木崎さんとか、綺麗だったし、上品で、年齢的にもパパにぴったりだ。私みたいに気が弱くて不器用でどんくさくて泣いてばかりで甘えん坊で何のとりえもないつまらない女子高生より、ぜったい木崎さんの方がいいに決まってる。
ずっとずっとパパは私だけのものだと思ってた。
でも、パパみたいに素敵な男の人が、いつまでもこんな色気のない子供のために独りでいるなんて考えられない。
私はだんだん自分の情けなさに涙が出てきた。
悲しくて悲しくて仕方なくなってきた。
パパにもし彼女が出来たらどうしよう。
パパがどっか行っちゃったらどうしよう。
そう考えたら息ができないくらいに胸が苦しかった。
なんだろう、この気持ち。
私って、パパのことどう思っているんだろう。
そんなこと今まで考えたことも無かったよ。
ただ目の前にいたらドキドキして、いつでも甘えていい存在だと思っていた。
私だけのパパだと思っていた。
でも、なんだかそうじゃないのかなあ。
十七歳と三十六、それって恋愛していい歳なんだ。お互い好きになっていい歳なんだ。でも親子は? 好きになっていいの? よくないよね……。
千春が羨ましい……。
私のパパに対するこの気持ちってなんなんだろう?
ずっと違和感を持ってきた。
千春に言われる前から、友達が自分のお父さんを好き、って言うのと、私がパパのことを好き、って言うのとは、なんだか少し違うような気はしていた。
私って……、私って……。
パパの顔を思い浮かべると、なんだか胸が締め付けられた。
なんだか心細い。
寂しいよう……。
パパ、パパ、帰って来てよ。
どうしたらいいのかわからないよ。
あれ? 私、泣いてる……。
自分の体が自分のものじゃないみたい。
自分の心が自分のものじゃないみたい。
「パパ……、私、パパのこと好き」そう声に出して言ってみた。
その声は私の耳に届き、鼓膜から脳へ、脳から心へ伝わってきた。
言ってみて、わかった。
これ、私の本心だ……。
私、パパのこと好きなんだ。
どうして今まで気づかなかったんだろ。
これから、これからどうしたらいいんだろう。
どうしてこんなに悲しいんだろう。
苦しい苦しい苦しい……、こんなに苦しいなら知らなきゃよかった。
私は枕に顔を埋め、声を上げて泣いた。
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