パパに恋しちゃダメですか!?

Hiroko

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 その週の土曜日、梨花と香奈子と結衣を呼んで、私の家でお料理パーティーをすることになった。もちろん、泊まりで。
「えーーー、愛衣奈こんなとこに住んでるの!?」と梨花たちはマンションのエントランスを入った辺りからはしゃぎ出した。
「すっごーい、これってタワーマンションってやつ!?」
「何階まであるの!?」
「うわーーー、エレベーター分かれてる!」
「愛衣奈の部屋、何階!?」
「愛衣奈のお父さん何してる人!?」と質問が矢継ぎ早に飛び、私はガイドのようにその質問に答えていった。
 パパさんが出張に行ってから、なんだか気分の沈みがちだった私にとってはみんなが来てくれたことがすごく嬉しかった。
「ねえねえ買い物行こ!」
「あ、映画観たい私!」
「あ、それいい! DVD借りて夜にみんなで上映会!」
「怖いの駄目よ!?」
「お菓子買い込もうよ!」
「あ、ねえねえ、お酒飲みたい私」
「えーーー、でも売ってくれないんじゃない?」
「愛衣奈なら大丈夫だよ、大人っぽいし」何て言いながらみんなの視線が私に集まる。
「わかったよ」そう言いながら私は苦笑い。
「やったあ!」とみんなで笑い合った。
 家に荷物を置くと、さっそくみんなで買い出しに出た。まずはみんなでレンタル屋に寄り、多数決で二本の映画が選ばれた。そのあとスーパーに行って買い出しをし、一週間は生きていけそうなほどの食料を買い、最後にコンビニに寄って外でみんなが見守るなか、私はビールや酎ハイの缶をいくつか買った。
「え、で、どんな料理作るの?」と香奈子が聞くと、「こないだ買った料理の本持って来たよ!」と梨花がカバンから「365日のお弁当」の雑誌を取り出した。
「わあ、すごい!」
「わかりやすい!」
「これ可愛い!」
 などと買い物の後に献立を決めると言う不手際をよそに、不器用な四人で手際悪く料理を進めていった。
「わあ、すごーい!」
「できたあ!!!」
「美味しそう!」
「何気にうまくできたよね!」
 などと言ってテーブルに並べられたのは、ちらし寿司、エビフライや唐揚げを始めとした揚げ物各種、豆腐の和風サラダに温野菜、ローストチキンにポトフと言った、色とりどりの料理たちだった。
「これなら梨花のお父さんも大満足じゃない!?」
「うんうん、みんなありがとう! でもこれ私一人でも作れるかな……」と梨花は笑いながら涙目だ。
「てかこれ四人で食べきれるかな!」
「まずそこだ!」
「あっ!」
「え、なになに?」
「お箸足りなくない?」
「え、ほんと。菜箸じゃ寂しいよね」
「あ、じゃあ私、買ってくるよ」と私は洗った手を拭きながら言った。
「え、いいよいいよ愛衣奈は。いろいろやってくれてるし。私買ってくる!」そう言って香奈子が表に出ようとしたら、「あ、じゃあ私もついて行ってあげる!」と言って梨花も一緒に出て行った。

 結衣と二人、洗い物を片付けながら待つこと十五分、ガヤガヤと話し声を響かせて香奈子と梨花が帰って来た。
「ねえねえ、そこで男の子拾ってきたー!!!」と香奈子の声。
「えっ、男の子?」
「拾って来たってなによ!?」と結衣と二人、顔を見合わせた。
「おじゃましまーす」と聞きなれた男の子の声。現れたのは弘斗だった。
「ちょっと愛衣奈、弘斗と同じマンションだったの!?」と梨花が聞いた。
「ばったりエレベーターで乗り合わせてさ、びっくりしちゃった!」と香奈子が言った。
「幼稚園一緒だってことは聞いてたけど、マンション一緒だとは思わなかった!」
「てか幼馴染なの?」
「マンション一緒っつっても、階も違うし、めったに顔合わすこともねーんだがな。よっ、愛衣奈」と弘斗が顔を出して言った。
「てかこうやって家の中で間近で見ると、やっぱすごい背が高いね」と結衣が言った。
「ねえちょっとちょっと、二人並んで立ってみてよ!」と梨花に言われ、私と弘斗は三人の前で並んで立った。
「うわー、なんだか芸能人カップルみたい!」
「似合いすぎ!」
「これで街中歩いたら、みんな振り向くんじゃない?」と三人にはやし立てられた。
 まあ確かに弘斗はルックスもいいし背も高い。私が誰かを見上げるなんて、パパ以外にほとんどない。そんなことを思いながら上目遣いに弘斗を見た。弘斗が近い。しかも私服で私の家の中。なんだかちょっぴり恥ずかしかった。















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