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井上桃子

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リセットケース1 尾方 俊介②

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「戻りました~」

「おっ尾方暑いのにご苦労様!戻ってきて悪いんだが
会議室に来てくれるか?」

「はい、わかりました、荷物置いたらすぐ行きます」

帰ってきてすぐに呼ばれるとか、ついてない

=====================

「部長なんですか?」

「尾方は、もううちの会社何年目か?」

「3年目ですね」

「そろそろ慣れてきただろうから、1つ仕事を任せたいと思ってな」

「ありがとうございます!」

「今度、うちの支店が九州に進出しようと話が出ていてな
それならばと、尾方を推薦していたんだ」

「俺なんかでいいんですか!ありがとうございます」

(うわぁ~マジかよ、、、田舎に転勤とかマジでヤダ)

「尾方なら行ってくれると期待してたんだ!喜んでくれてよかった
九州に出店は、わが社でもはじめての試み、しかも九州っていうのは
独特でな、地域によって少しづつ文化が違うが、何より酒が飲めるやつを
行かせたかったんだ、酒の席で仕事がまとまることが多いからな」

「すごいですね、、」

「尾方は、今時珍しく、取引先との食事や会社の飲みにも積極的だからな
満場一致で、尾方に頼みたいと思ったんだ」

「ほかにも九州転勤の人は、いますか?」

「尾方をリーダーに、井上、横溝、倉田を尾方のサポートメンバーに考えている」

「同期と新人は、わかりますが倉田さんは、私より5年も先輩ですよ!
倉田さんがリーダーの方がよくないですか?」

「倉田はな~優秀なんだが、社交性がない、一応倉田にもリーダー案は出したが
尾方がいいだろうと言われたんだ、だから心配するな」

(、、、、、めんどくせー!あの先輩押し付けやがった!)

「そういうことでしたら、若輩ながら頑張らせて頂きます!」

「尾方!応援してるぞ!困ったことがあったら、うちのチームはいつでも
助けるからな!頑張れよ!地方を経験すると出世も早いぞ!」

(はぁ~今時出世とか、どうでもいい)

「はい、部長に鍛えられた自分を九州でぶつけてきます!」

「尾方、、(涙目)お前は本当に良い部下だ!」

最近の若い社員は、出世よりも今の自分を優先するため
利便性の良い地域に住み趣味を楽しめる環境を好む

飲み会にはついてこず、定時出社、定時帰社と有休もきっちり申請してくる

ただ、若い社員たちは優秀な人材が多く
文句を言おうものなら、パワハラ、モラハラで

50代の石井部長は、ここ5年ほど新入社員と上からの圧で胃薬が手放せないでいた

そんな中、尾方は昔ながらのやりかたでも文句一つ言わないので部長にひどく気に入られていた

新規参入でまだまだ開拓出来ていない地域に入社3年目の社員を
送るのは、新しい挑戦であったが、石井部長のたっての願いで

この辞令が通ってしまったのだった



尾方にとっての小さな悲劇の始まりだった
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