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呆れる妹
「……なるほど?」
ワグナー侯爵家のとある一室。
ミゼスとリズが、睨み合っている。
その様子を、ギャレンが戸惑いながら見つめていた。
「私がギャレンの悪口を言っているから、婚約を解消させたい。そうおっしゃるのですね?」
「その通りよ。私はギャレンを大切にするわ」
「……なんだか、頭がおかしくなりそうです」
逆恨みも、とうとうここまで来たか……。と、リズはため息をついた。
どうしても自分から、何かを奪い取らないと気が済まなかったらしい。
ギャレンに目を向けると、申し訳なさそうな顔をしている。
「ギャレン。私がそのようなことを言うとでも?」
「……リズはいつも厳しいから」
「はぁ……」
「ほら見なさい。この通りよ。さっきお父様にも話したの。ギャレンの婚約相手は私にするべきよって」
「お父様は、なんと?」
「ただ笑っていたわ。つまり了承したっていうことね」
ミゼスが愉快そうに笑った。
「ギャレン。あなたに尋ねます。……お姉様は、未だに結婚相手が見つかっていない。その理由がわかりますか?」
ギャレンは首を横に振る。
侯爵家の令嬢であり、容姿も悪くないミゼスにどうして婚約相手がいないのか……。
その理由は、単純明快だった。
「お姉様の性格が、悪いからですよ」
「なっ……」
はっきりとした物言いに、ギャレンは困惑する。
しかし、ミゼスは意外にも冷静だった。
「あなたはいつもそれを言うわね。もう聞き飽きたわ」
「飽きるほど言わせないでください。金で友人を集め、奴隷をバカにして……。そんなあなたに、寄り添う人間など、一人もいなくて当然です」
「あぁそう。でもいいわ。これからはギャレンが側にいてくれるもの。ね?」
「ギャレン。どうなのですか?」
「うぅ……」
ギャレンは優柔不断だった。
伯爵令息である彼の婚約は、政略結婚に近い。
特別、リズが好きというわけでもなかったのだ。
容姿だけで言えば……。ミゼスの方が優れていることは間違いない。
「……僕には、判断できません」
「呆れました。あなたの婚約者は私ですよ? 答えなんて一つに決まっているというのに」
「これでわかったでしょう? ギャレンは私が好きなの」
「もう、勝手にすればいいです」
そう言って、リズは部屋を出た。
ミゼスは勝ち誇ったような表情を浮かべ、その背中を見送っている。
――これが、自身の侯爵令嬢としての地位を失うきっかけとなることも知らずに。
リズはそのままの足で、父であり侯爵家当主の、ダンテ・ワグナーの部屋へと向かった。
ワグナー侯爵家のとある一室。
ミゼスとリズが、睨み合っている。
その様子を、ギャレンが戸惑いながら見つめていた。
「私がギャレンの悪口を言っているから、婚約を解消させたい。そうおっしゃるのですね?」
「その通りよ。私はギャレンを大切にするわ」
「……なんだか、頭がおかしくなりそうです」
逆恨みも、とうとうここまで来たか……。と、リズはため息をついた。
どうしても自分から、何かを奪い取らないと気が済まなかったらしい。
ギャレンに目を向けると、申し訳なさそうな顔をしている。
「ギャレン。私がそのようなことを言うとでも?」
「……リズはいつも厳しいから」
「はぁ……」
「ほら見なさい。この通りよ。さっきお父様にも話したの。ギャレンの婚約相手は私にするべきよって」
「お父様は、なんと?」
「ただ笑っていたわ。つまり了承したっていうことね」
ミゼスが愉快そうに笑った。
「ギャレン。あなたに尋ねます。……お姉様は、未だに結婚相手が見つかっていない。その理由がわかりますか?」
ギャレンは首を横に振る。
侯爵家の令嬢であり、容姿も悪くないミゼスにどうして婚約相手がいないのか……。
その理由は、単純明快だった。
「お姉様の性格が、悪いからですよ」
「なっ……」
はっきりとした物言いに、ギャレンは困惑する。
しかし、ミゼスは意外にも冷静だった。
「あなたはいつもそれを言うわね。もう聞き飽きたわ」
「飽きるほど言わせないでください。金で友人を集め、奴隷をバカにして……。そんなあなたに、寄り添う人間など、一人もいなくて当然です」
「あぁそう。でもいいわ。これからはギャレンが側にいてくれるもの。ね?」
「ギャレン。どうなのですか?」
「うぅ……」
ギャレンは優柔不断だった。
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特別、リズが好きというわけでもなかったのだ。
容姿だけで言えば……。ミゼスの方が優れていることは間違いない。
「……僕には、判断できません」
「呆れました。あなたの婚約者は私ですよ? 答えなんて一つに決まっているというのに」
「これでわかったでしょう? ギャレンは私が好きなの」
「もう、勝手にすればいいです」
そう言って、リズは部屋を出た。
ミゼスは勝ち誇ったような表情を浮かべ、その背中を見送っている。
――これが、自身の侯爵令嬢としての地位を失うきっかけとなることも知らずに。
リズはそのままの足で、父であり侯爵家当主の、ダンテ・ワグナーの部屋へと向かった。
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