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資金源
北の国に辿り着いたリズは、早速伯爵家に向かった。
「やぁやぁ。リズ様。お久しぶりです」
「えぇ。一年ぶりくらいでしょうか」
ジオマーク伯爵家の令息、ヴェリク・ジオマークが、ワインを一気に飲み干した。
昔から酒が強く……。ミゼスと仲が良い。
「まさかミゼス様ではなく、リズ様がいらっしゃるとは。大変驚きました」
「申し訳ございません。どうしても話さなければいけないことがありまして」
「なんでしょうか」
ヴェリクは長い髪を指で撫でながら、リズと向き合っている。
あくまで余裕であることを示すための態度だった。
リズもそんなことは承知している。
「……先にお尋ねしましょう。お姉様との関係は、本当にご友人ですか?」
「もちろん」
「お姉様は……。どこから手に入れたのかわからない大金を、常に持ち歩いています」
ヴェリクの眉が、ピクリと反応した。
それをリズが見逃すはずもない。
「どうやら、図星のようですね」
「図星? 何のことだろう」
誤魔化すように、ワインを飲むヴェリク。
しかし、グラスを持つ手が少し震えていた。
「別に、意中の相手に金を渡すことは、何も悪いことではありません。税に関しての問題はありますが、お互い貴族なので、おそらく見逃されるでしょう」
「……ははっ。そうですか」
「ですが、お姉様は振り向くことはありませんよ」
「なるほど?」
ヴェリクは身を乗り出して、リズの話を聞いている。
「それは一体、どのような理由で?」
「お姉様は誰とも婚約していませんでした……。つい先日までは」
「……先日までは?」
「はい。……しかし今は、私の婚約者を奪い、新たな関係を結ぼうとしている最中です」
「なんと……」
ミゼスは、リズがヴェリクとのことを知らないと思っている。
だから、告げ口をされる可能性も考えていなかった。
ところが、復讐の機会をうかがっていたリズが、知らないはずもなかったのだ。
「……それは困ったね」
ミゼスに金を送る、あるいは直接渡すことで、それなりに関係を進展させてきたと考えていたヴェリクは、戸惑いの表情を見せた。
「たしか、次にお金を送る日は……。三日後だったかしら」
「……」
「お辞めになった方がいいでしょう。その金は、私の婚約者と美味しい食事をするために使われるでしょうから」
「……ふぅ」
ヴェリクはグラスを置き、手を組んで伸びをした。
本来マナー違反だが、そんなことを言っていられる心理状態ではないのだろう。
「正直、金目当てだろうなとは思っていたんだ」
「なるほど?」
「僕は顔が良いわけでもない。向こうは侯爵家だ。どうして僕なんかと親しくしてくれるんだろう……。そう思わなかったわけじゃない」
ヴェリクは悔しそうな表情を浮かべ、手を忙しく膝の上で動かしている。
「ありがとうございます。リズ様……」
「えぇ。こちらこそ――」
仕事を終えたリズは、国に戻ることにした。
「やぁやぁ。リズ様。お久しぶりです」
「えぇ。一年ぶりくらいでしょうか」
ジオマーク伯爵家の令息、ヴェリク・ジオマークが、ワインを一気に飲み干した。
昔から酒が強く……。ミゼスと仲が良い。
「まさかミゼス様ではなく、リズ様がいらっしゃるとは。大変驚きました」
「申し訳ございません。どうしても話さなければいけないことがありまして」
「なんでしょうか」
ヴェリクは長い髪を指で撫でながら、リズと向き合っている。
あくまで余裕であることを示すための態度だった。
リズもそんなことは承知している。
「……先にお尋ねしましょう。お姉様との関係は、本当にご友人ですか?」
「もちろん」
「お姉様は……。どこから手に入れたのかわからない大金を、常に持ち歩いています」
ヴェリクの眉が、ピクリと反応した。
それをリズが見逃すはずもない。
「どうやら、図星のようですね」
「図星? 何のことだろう」
誤魔化すように、ワインを飲むヴェリク。
しかし、グラスを持つ手が少し震えていた。
「別に、意中の相手に金を渡すことは、何も悪いことではありません。税に関しての問題はありますが、お互い貴族なので、おそらく見逃されるでしょう」
「……ははっ。そうですか」
「ですが、お姉様は振り向くことはありませんよ」
「なるほど?」
ヴェリクは身を乗り出して、リズの話を聞いている。
「それは一体、どのような理由で?」
「お姉様は誰とも婚約していませんでした……。つい先日までは」
「……先日までは?」
「はい。……しかし今は、私の婚約者を奪い、新たな関係を結ぼうとしている最中です」
「なんと……」
ミゼスは、リズがヴェリクとのことを知らないと思っている。
だから、告げ口をされる可能性も考えていなかった。
ところが、復讐の機会をうかがっていたリズが、知らないはずもなかったのだ。
「……それは困ったね」
ミゼスに金を送る、あるいは直接渡すことで、それなりに関係を進展させてきたと考えていたヴェリクは、戸惑いの表情を見せた。
「たしか、次にお金を送る日は……。三日後だったかしら」
「……」
「お辞めになった方がいいでしょう。その金は、私の婚約者と美味しい食事をするために使われるでしょうから」
「……ふぅ」
ヴェリクはグラスを置き、手を組んで伸びをした。
本来マナー違反だが、そんなことを言っていられる心理状態ではないのだろう。
「正直、金目当てだろうなとは思っていたんだ」
「なるほど?」
「僕は顔が良いわけでもない。向こうは侯爵家だ。どうして僕なんかと親しくしてくれるんだろう……。そう思わなかったわけじゃない」
ヴェリクは悔しそうな表情を浮かべ、手を忙しく膝の上で動かしている。
「ありがとうございます。リズ様……」
「えぇ。こちらこそ――」
仕事を終えたリズは、国に戻ることにした。
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