7 / 13
見捨てられる姉
「お金を貸してほしいの」
家を訪れたミゼスの一言に、ギャレンは驚いた。
「か、金……ですか?」
「えぇそうよ。お金」
「どうして突然……」
「理由なんてどうでもいいじゃない。ね?」
ミゼスはギャレンの腕に絡みつき、頬にキスをした。
「お金はどうにもなりません……。僕は次男ですから、好き勝手使うことはできないんです」
「でも、頼み込めばなんとかなるでしょう?」
「そんなこと……」
「ねぇお願い……。私、あなたのことが好きなの」
ギャレンが、ミゼスの体を振り払った。
突然の出来事に、ミゼスは目を見開く。
「……無理なものは、無理なんです。どうしてお金が必要なのですか? 誰かに弱みを握られているのであれば、父上と相談します。真実を教えてください」
ギャレンの情緒は、大変不安定だった。
婚約者を裏切ってしまい、ミゼスの誘惑に堕ちてしまった自分自身への罪悪感。
そして……。将来への不安。
冷静に考えれば、伯爵家の身分で、侯爵家の令嬢を裏切ったことは、重罪と言えてしまう。
いつ制裁を下されるか。それを考えるだけでも眠れない日々を過ごしていた。
「……リズに奪われたのよ」
ミゼスは大きな嘘をついた。
「リズが、私にあなたを奪われたことに腹を立てて、全ての資産を奪ったの」
そんなことが起こりうるはずがない。
これほど見え透いた嘘に騙されるギャレンではなかった。
「……リズは、そんなことはしませんよ」
婚約者であるギャレンは、嫌というほどリズの性格を理解していた。
非常に冷静で、誰に対しても厳しい。
もし婚約者を奪われたら、資産を奪うだなんてことはせず……。
――もっと酷い目に遭わせるだろう。
自分が婚約者としての価値が低いとしても、リズならやるはずだ。
そんな確信があった。
「そもそも、ミゼス様は……。奪われるほどの資産をお持ちでしたか?」
「なんですって……?」
ミゼスはギャレンを睨みつけた。
「私は侯爵家の長女よ? それはもう莫大な資産を持っていたわ」
「それは侯爵家の資産であって、あなたの資産ではないはずです!」
「黙りなさい! 良いからお金を貸しなさいよ! まともにお茶会も開けないの!」
とうとうミゼスは、本性を現した。
ギャレンはすっかり冷めきって、目の前のわがままな令嬢の誘惑に負けた自分に、嫌気がさした。
「もう帰ってください。僕は疲れました……」
「は、はぁ? なによそれ。一方的すぎるじゃない!」
ギャレンの合図で、執事が二人現れ……。
ミゼスは無理矢理、伯爵家から追い出されてしまった。
「なんなのよ……! 絶対に許さないわ! あいつ!」
「……どうなさいましたか?」
門の外で倒れていたミゼスに、話しかけたのは……。
「……リズ!」
家を訪れたミゼスの一言に、ギャレンは驚いた。
「か、金……ですか?」
「えぇそうよ。お金」
「どうして突然……」
「理由なんてどうでもいいじゃない。ね?」
ミゼスはギャレンの腕に絡みつき、頬にキスをした。
「お金はどうにもなりません……。僕は次男ですから、好き勝手使うことはできないんです」
「でも、頼み込めばなんとかなるでしょう?」
「そんなこと……」
「ねぇお願い……。私、あなたのことが好きなの」
ギャレンが、ミゼスの体を振り払った。
突然の出来事に、ミゼスは目を見開く。
「……無理なものは、無理なんです。どうしてお金が必要なのですか? 誰かに弱みを握られているのであれば、父上と相談します。真実を教えてください」
ギャレンの情緒は、大変不安定だった。
婚約者を裏切ってしまい、ミゼスの誘惑に堕ちてしまった自分自身への罪悪感。
そして……。将来への不安。
冷静に考えれば、伯爵家の身分で、侯爵家の令嬢を裏切ったことは、重罪と言えてしまう。
いつ制裁を下されるか。それを考えるだけでも眠れない日々を過ごしていた。
「……リズに奪われたのよ」
ミゼスは大きな嘘をついた。
「リズが、私にあなたを奪われたことに腹を立てて、全ての資産を奪ったの」
そんなことが起こりうるはずがない。
これほど見え透いた嘘に騙されるギャレンではなかった。
「……リズは、そんなことはしませんよ」
婚約者であるギャレンは、嫌というほどリズの性格を理解していた。
非常に冷静で、誰に対しても厳しい。
もし婚約者を奪われたら、資産を奪うだなんてことはせず……。
――もっと酷い目に遭わせるだろう。
自分が婚約者としての価値が低いとしても、リズならやるはずだ。
そんな確信があった。
「そもそも、ミゼス様は……。奪われるほどの資産をお持ちでしたか?」
「なんですって……?」
ミゼスはギャレンを睨みつけた。
「私は侯爵家の長女よ? それはもう莫大な資産を持っていたわ」
「それは侯爵家の資産であって、あなたの資産ではないはずです!」
「黙りなさい! 良いからお金を貸しなさいよ! まともにお茶会も開けないの!」
とうとうミゼスは、本性を現した。
ギャレンはすっかり冷めきって、目の前のわがままな令嬢の誘惑に負けた自分に、嫌気がさした。
「もう帰ってください。僕は疲れました……」
「は、はぁ? なによそれ。一方的すぎるじゃない!」
ギャレンの合図で、執事が二人現れ……。
ミゼスは無理矢理、伯爵家から追い出されてしまった。
「なんなのよ……! 絶対に許さないわ! あいつ!」
「……どうなさいましたか?」
門の外で倒れていたミゼスに、話しかけたのは……。
「……リズ!」
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
醜い私は妹の恋人に騙され恥をかかされたので、好きな人と旅立つことにしました
つばめ
恋愛
幼い頃に妹により火傷をおわされた私はとても醜い。だから両親は妹ばかりをかわいがってきた。伯爵家の長女だけれど、こんな私に婿は来てくれないと思い、領地運営を手伝っている。
けれど婚約者を見つけるデェビュタントに参加できるのは今年が最後。どうしようか迷っていると、公爵家の次男の男性と出会い、火傷痕なんて気にしないで参加しようと誘われる。思い切って参加すると、その男性はなんと妹をエスコートしてきて……どうやら妹の恋人だったらしく、周りからお前ごときが略奪できると思ったのかと責められる。
会場から逃げ出し失意のどん底の私は、当てもなく王都をさ迷った。ぼろぼろになり路地裏にうずくまっていると、小さい頃に虐げられていたのをかばってくれた、商家の男性が現れて……
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。
妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる
ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。
でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。
しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。
「すまん、別れてくれ」
「私の方が好きなんですって? お姉さま」
「お前はもういらない」
様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。
それは終わりであり始まりだった。
路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。
「なんだ? この可愛い……女性は?」
私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。
私から全てを奪おうとした妹が私の婚約者に惚れ込み、色仕掛けをしたが、事情を知った私の婚約者が、私以上に憤慨し、私のかわりに復讐する話
序盤の村の村人
恋愛
「ちょっと、この部屋は日当たりが悪すぎるわ、そうね、ここの部屋いいじゃない!お姉様の部屋を私が貰うわ。ありがとうお姉様」 私は何も言っていません。しかし、アーデルの声を聞いたメイドは私の部屋の荷物を屋根裏部屋へと運び始めました。「ちょっとアーデル。私は部屋を譲るなんて一言も言ってないです」
「お姉様、それは我が儘すぎるわ。お姉様だけこんな部屋ずるいじゃない」「マリーベル。我が儘は辞めてちょうだい。また部屋を移動させるなんてメイド達が可哀想でしょ」私たちの話を聞いていた義理母のマリアは、そう言うと、メイド達に早くするのよと急かすように言葉をかけました。父の再婚とともに、義理の妹に私の物を奪われる毎日。ついに、アーデルは、マリーベルの婚約者ユーレイルの容姿に惚れ込み、マリーベルから奪おうとするが……。
旧タイトル:妹は、私から全てを奪おうとしたが、私の婚約者には色仕掛けが通用しなかった件について
·すみません、少しエピローグのお話を足しました。楽しんでいただけると嬉しいです。
完璧な妹に全てを奪われた私に微笑んでくれたのは
今川幸乃
恋愛
ファーレン王国の大貴族、エルガルド公爵家には二人の姉妹がいた。
長女セシルは真面目だったが、何をやっても人並ぐらいの出来にしかならなかった。
次女リリーは逆に学問も手習いも容姿も図抜けていた。
リリー、両親、学問の先生などセシルに関わる人たちは皆彼女を「出来損ない」と蔑み、いじめを行う。
そんな時、王太子のクリストフと公爵家の縁談が持ち上がる。
父はリリーを推薦するが、クリストフは「二人に会って判断したい」と言った。
「どうせ会ってもリリーが選ばれる」と思ったセシルだったが、思わぬ方法でクリストフはリリーの本性を見抜くのだった。
私と婚約破棄して妹と婚約!? ……そうですか。やって御覧なさい。後悔しても遅いわよ?
百谷シカ
恋愛
地味顔の私じゃなくて、可愛い顔の妹を選んだ伯爵。
だけど私は知っている。妹と結婚したって、不幸になるしかないって事を……