なんでも私のせいにする姉に婚約者を奪われました。分かり合えることはなさそうなので、姉妹の関係を終わらせようと思います。

冬吹せいら

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最悪の手段を選ぶ姉

「きっと彼女は、とんでもない方法を取ろうとするでしょう」

 ギャレンの部屋で、ミゼスの今後についての話し合いが行われていた。
 伯爵家もまた、ミゼスを敵に回した立場である。
 いつまたあの狂った令嬢が、伯爵家に押しかけてくるかわからない状況だ。 
 ……仲間は多い方が良い。
 リズは浮気した婚約者を利用することにした。

「とんでもない方法とは?」
「私やあなたを……。酷い目に遭わせるようなことが、この先起こるだろうと予測します」
「そんな……」
「怖いでしょう? でも大丈夫。幸いなことに、あの人には頭がありません」

 リズは笑いながら言った。
 どちらかと言えば、容姿と爵位だけで生き抜いてきたミゼスに対して、リズはきちんと学ぶべきことは学んできた過去がある。
 愚かな姉を罠にハメることくらい、簡単な話なのだ。

「先にこちらから仕掛けることも面白いですが、それでは世間的な評判が悪い……。ですので、向こう側のやる気を利用するのです」

 ギャレンは首を傾げている。

 リズが、自らの作戦を語り始めた。

 ◇

 そのころ、ミゼスは街を駆け回っていた。
 
 金を失ったミゼスに協力してくれる人間が……。全く見つからない。

 何度もお茶会に参加した貴族。
 裏取引を斡旋した商人。
 みんなこぞって、困った顔をするのだ。
 
 自分の魅力が、金によって生み出されたことを知る、最悪の機会となってしまった。

 それでもミゼスは諦めない。
 とうとう、闇組織の集まる集落へと足を踏み入れてしまった。

「これはこれは……。侯爵令嬢様じゃねぇか」

 すぐに、体格の良い男二人に呼び止められる。
 ミゼスは余裕をアピールするために、あえて笑ってみせた。

「良い話があるの。あなたたちより偉い人はいるかしら」
「ほう……面白いじゃねぇか」

 男に連れられて、ミゼスは大きな屋敷を訪れた。
 
 闇組織のボスと握手をして、対面する。
 手の震えを誤魔化すので精いっぱいだった。

「可愛いお嬢ちゃん。今日は一体どんな用事で?」
「……ボコボコにしてほしい人がいるの」
「ほうほう。そいつは誰だい?」
「私の妹――リズ・ワグナーよ」

 男たちがざわついた。

「なるほどね……。わかった。いくら用意できる?」
「いくらでも。……もちろん、ボコボコにした妹をどうしてくれてもいいわ」
「そいつはすげぇや」

 こうして、取引は成立した。
 侯爵令嬢が、闇組織と取引をするなど、あってはならないことだ。
 それでもミゼスには、これしか手段がなかった。

 そして――。

 ここまでの行動は……。リズに全て見抜かれている。
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