なんでも私のせいにする姉に婚約者を奪われました。分かり合えることはなさそうなので、姉妹の関係を終わらせようと思います。

冬吹せいら

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捕らえられた妹

「なるほど。そう来ましたか」

 リズは両手足を縛られ、港の倉庫に閉じ込められていた。
 身動きの取れないリズを……。三人の男たちが見降ろしている。

「海を見ようと思っただけなのに、まさかこんな目に遭うとは思っていませんでした。何か、お気に障るようなことをしましたか?」

 淡々と尋ねるリズに、男たちが大声で笑った。

「俺たちは雇われの身なんでねぇ……。いやぁそれにしてもタイミングの良いこと! こっちがあんたを狙ってる時に、わざわざ人のいない港に足を運んでくれるなんて!」
「夜になると、海が見たくなるものです」

 あくまで余裕の表情で振る舞うリズ。
 
 ドアが開いた。

「……お姉様」

 現れたのは、ミゼスだ。

「良いざまね。リズ」

 ミゼスは悪人顔でリズを見降ろした。
 手にはナイフを持っている。

「もしかして、そのナイフで私の手足を縛っている縄を切ってくださるつもりですか?」
「馬鹿言わないで。あなたに恐怖を与えるためのナイフよ」
「どうして私が恐怖を与えられなければならないのですか?」
「……私を侮辱したからよ」

 ミゼスはナイフをリズの首元に近づけた。
 息を荒くして、リズを睨みつけている。

「侮辱などしたつもりはありませんが?」
「あぁそう。どうやら酷い目に遭いたいみたいね」

 震えているのは、ミゼスの方である。
 奴隷を痛めつけるときも、使用人を虐めるときも、彼女は素手で行っていた。
 相手に致命傷を与える勇気が無いからだ。

「あなた、絶望的な状況なのよ? 倉庫の周りも男たちが囲んでいる。そして、手足を縛られていて……。私はあなたを恨んでいる。命を大事にしたいのなら、私に謝罪をしなさい。性奴隷で勘弁してあげるわ」
「まぁ。性奴隷? だったらお姉様の方がお似合いかもしれません。私よりも裕福な体をしていますから」
「なんですって!?」

 ナイフを振り上げたミゼスを、男が慌てて止めた。

「ご令嬢。商品に傷をつけてもらっちゃあ困るぜ……?」
「……わかってるわよ」

 ミゼスからすれば、男たちがリズを殴打して屈服させることを期待していたので、拍子抜けだった。
 しかし、どちらにせよ、リズが酷い目に遭ってくれるのであれば、それでいい。
 
「さぁ謝罪しなさい。そして、姉である私のことを尊敬するの。わかった?」
「すいません。恐怖で上手く舌が回らないもので」
「……っ!」

 ミゼスが怒りを堪えながら、男たちに詰め寄った。

「一発殴らせてちょうだい! 商品の価値が下がる分のお金は保証するわ!」
「はぁ……。ったく。しゃあないですね……。一発だけですよ?」
「……えぇ」

 ゆっくりと振り返り……。
 リズをニヤケ顔で見降ろす。
 じりじりと詰め寄っていく。
 足音が響いた。

「……覚悟しなさい!」

 拳を振り上げた、その時。

「うわぁああああ!!!」

 外から、男の叫び声が聞こえた。
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