親友をいたずらで殺した令嬢に、罪をなすりつけられ国外追放された私は……復讐を誓う。

冬吹せいら

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濡れ衣

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病院に運ばれてすぐ、マースの死亡が確認された。

もはや、涙を流す時間すら、与えられない、あっという間の出来事だった。

その場にいた、ユレースと私。さらに、ユレースのメイドたちが呼び出され、小さな部屋で、尋問を受けている。

「……ニーザがやりました」
「は……?」

ユレースが、私を睨みながら、そう言った。

「わ、私も見ました。ニーザが犯人です!」
「私も!」

続くように、複数人のメイドが、そんなことを言う。

「……マースの遺体を調べれば、わかることです。彼女は毒物で殺された。そして、その毒物を仕組んだのは、ユレースですよ」

尋問を担当する男は、困ったように、頭を掻いた。

「マースは、信仰上の理由で、遺体を調べることはできない。……あの場にいた人間の発言でしか、物事は進まないだろう」

なんてことだ……。

「ニーザは、日ごろから悪い魔法を研究している、魔女なんです!」

いきなりユレースが、立ち上がり、そう宣言した。

「私、見ましたわ! ニーザがこっそり、マースの紅茶に、毒魔法を仕込んだんです!」
「適当なこと言わないで。私は毒魔法なんて――」
「いいえ! 私も見ました!」
「わ、私も!」
「……静かに」

男の一声で、メイドたちが、騒ぐことを辞めた。

……ここで、ユレースの味方をしなければ、自分の仕事がなくなることを、理解しているのだろう。メイドたちは、必死だった。

「ニーザ。残念だが、君の意見が通ることはないだろう。メイドと、ユレースの発言意外に、信用できる情報が無いからね……。マースを殺した罪を、償ってもらうことになるだろう」
「こんなおかしな話がありますか? 私とマースは、親友なのですよ?」
「それはどうとでも言えるさ。……女は怖いからね」

分かったようなことを……。

男の不敵な笑みに、不快感を強く覚えた。

「尋問は終了だ。ニーザには、牢獄に入ってもらう」
「待ってください! まだ話は――」
「この犯罪者! せいぜい反省することね!」
「ユレース! あなた、後悔するわよ!? 人を殺めて、何の反省もしないで!」

私を無視して、ユレースと、取り巻きのメイドたちが、去って行った。

……大変なことになった。このままいけば、私はきっと、この国にはいられなくなるだろう。

家族にも、婚約者にも、被害が及んでしまう……。

「さぁニーザ。お前はこっちだ」

今は……。逆らっても、立場が悪くなる一方だ。
ここは一旦、悔しいけれど、流れを受け入れるしかないだろう。

男に従って、私はおとなしく、牢獄に入った。
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