一人の子供が聖女になり、聖女を引退するまでの物語。

冬吹せいら

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攻撃

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大量の兵器。
そして、最上級魔族を連れて――。

私たちは、王宮を訪れた。

「な、何事じゃあ!?」

わざわざ降りてきて、様子を見に来たアーデンが、尻もちをついた。
しかし、すぐに立て直し、大声で兵を呼び出す。

「おおい! 兵器を持ってこい! 奴隷如きがぁ! 所詮は張りぼてであろう!」

すぐに、アーデンの呼び出した兵器が、ズラズラと並び始めたので。
私は、祈りを解いた。

すると、みるみるうちに兵器はサビ始め、酷いものはそのまま崩壊してしまった。
兵たちの装備も、同じように一気に劣化していく。

「……覚悟しなさい!」
「ひ、ひぃい!」
「よっしゃみんな! 一気にやっちまおう!」
「え?」

ベレンの合図で、大砲が動き出した。
そして――。王宮に向けて、特大の砲弾が撃ち込まれる。

「ま、待ってベレン! これは威嚇のための兵器で」
「みんな! 武器はもった? 一気に畳みかけるわよ!」
「アリッサ!?」

どうして? みんな言うことを聞いてくれない。
もしかして、憎悪が理性を?

「……お姉ちゃん。もしかして、勘違いしてる?」
「え?」

私たち以外の全員が、武器を持って兵に殴りかかり、兵器を使って、王宮をどんどん破壊していく。
最上級の魔族は、王宮ではなく、城下町へ向かった。
空から大きな火を放っている。
そんな――。無実の民にまで?

私は慌てて、サモナーのユーリカに声をかけた。

「ユーリカ! 民は関係ないわ! すぐに魔族を止めないと!」
「……ちょっと、黙っててよ」
「え?」

まるで、敵を見るかのような目を、私に向けてくる。
昨日まで、あんなに仲良く笑い合っていたのに。

「いやあああ!! 離してぇ!」

王宮の中から……。私の祈りが解け、元の不細工に戻ってしまったミシェーラが、姿を現した。
怪力のスキルを持つ、ベントラに、羽交い絞めにされている。

「おい……。傲慢な姫様よぉ。散々僕らを、酷い目に遭わせてくれたよなぁ?」

まるで、悪魔でも乗り移ったかのような口調のベレン。
一体何が……。

戸惑っていると、ベレンが思いっきり、ミシェーラの頬をひっぱたいた。

「痛い! なにすんのよ!」
「お前がしてきたことだろうが。違うか?」
「あなたたち……。こんなことして、タダで済むと思ってるの!?」
「体だけは立派だよなぁホントに。僕たちの国の兵のおもちゃくらいには、なれるかも」
「何を――」
「どーん!」
「ぶふぅあっ!!!」

いきなりアリッサが、ミシェーラの顔面を殴りつけた。

待って……。
何かがおかしい。

「おいアリッサ。そんなに思いっきり殴ったら、こいつ死んじゃうぞ?」
「別に良いでしょ。どれだけ体が良くたって、顔がダメなら捨てられちゃうわ。せめて故郷で死ねた方が……。私は良いと思うけど」
「それもそうだな。うん。じゃあベントラ。やっちゃって?」
「うん」
「なっ――」

ベントラが、ミシェーラの顔面を挟み込み……。
そのまま思いっきり、まるで拍手するかのように、ミシェーラの頭部を押しつぶした。

「あ、ああぁ……」

私は、とうとう立っていられなくなった。
目の前で起きている状況が、理解できない。

「そんな……。ミシェーラ……」

アーデンが、気絶するように、その場に倒れてしまった。。
そんなアーデンの上に、王宮の一部が、崩れ落ちてきて――下敷きに。

「……」

マリッカは、私と違って、その目をしっかりと、王宮に向けている。

しばらく茫然としていると……。馬の足音が聞こえた。

「……終わったか」

やってきたのは――。

――ボボリバエルの王子、バレット様だった。
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