あなたが剣神になれたのは私のおかげなのに、全く気付いてないんですね。

冬吹せいら

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親友

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ようやく落ち着いたリアーナに、私は手紙の件を話すことにした。

「そんな……。アンバネラが?」
「そうなの……」
「……ベネットは、行くの?葬式に」
「……どうしたらいいか、わからないの」

ミゲルのことは……。恨んでいないと言えば、嘘になる。
私の人生に傷をつけたことは間違いない。
だけど、今こうして、戻って来られて……。

逆に、そのまま結婚していたら、私はきっと、すごく不幸な人生を送ることになっていただろう。
わがままなミゲル様に振り回され、結婚したからには、子供も設けないといけなくて……。
だけど、手紙に書いてあった、ミゲル様の最期は……。私の知らない、兄としての勇敢なミゲル様だった。

私の態度が悪かったから、彼の良い部分を、あまり知ることができなかった可能性だってある。

それに、二人の妹。フレイアとレオノン。彼女たちのことは、とても心配だった。
レオノンに至っては、言葉が話せなくなったなんて……。あんなに元気だった子が。

……僅かな傷。これを無視して、ここで平和な生活を送ることもできる。

だけど、そのままにしておいたら、またいつか広がるんじゃないかという、怖さもあって。

「ごめんなさい。ベネットが大変な時に、私まで、変な問題を持ち込んでしまって」
「そんなことない。相談してくれて……。嬉しかった」
「……相談、なのかな。私はね? 親友が幸せに過ごしている顔を、一番に見たいのかもしれないと思ったの。だから、相談って言うよりも……。お願い? ブライリー様を、幸せにしてあげて?」
「……リアーナ」

今度は私の方から、リアーナに抱き着いてしまった。

「ベネット。これからは、あなたが遠慮せず。ブライリー様の隣に立つの。良い?」
「でも私は、男爵令嬢で」
「関係ない。あなたという一人の女性を、ブライリー様が、愛したのだから……」
「……ありがとう」

……ブライリー様の、隣に立つ。
そんなこと、私にできるのか、わからないけれど。

リアーナの気持ちを裏切るわけにはいかない。期待に応えないと。

「……私、行くよ。葬式に」
「うん……。ベネットなら、そう言うと思った」

全部やり切って、それからでないと……。ブライリー様の隣に立つ資格も、無いんじゃないかと思えたのだ。

中途半端な気持ちは、全部捨てないといけない。

「頑張れ。ベネット」

私は本当に、良い親友を持ったと思う。

……さて。
久しぶりの、荷作りをしなければ。
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