魔王の息子に恋したので、私は悪役令嬢になって、この国を追放してもらおうと思います!

冬吹せいら

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審査

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「おはようございます。レンフィア様」
「ん……」

カーテンが開かれ、日光の眩しさを感じました。
いつもより大きなベッド。私は……。

……そうでした!ここは魔王の城です!

「おはようベリーヌ!」
「お、おはようございます……」
「うん……。やっぱり良いわね。ヴィルディ様と、少しでも同じ空気を吸いたいと思っていたの……。くんくん」
「あの。ヴィルディ様はここには」
「わかっています。でも、私のいたつまらない国よりは、よっぽどヴィルディ様に近づけている……。その事実だけで、胸が一杯なの」
「はぁ」

ベリーヌはどうやら理解していないみたいです。仕方ありませんね。愛の強度が違いますから。

「それで……。魔王は、私の生活態度を見ると言っていたけれど、具体的には、何をすれば?」
「主に三つです。が、その内二つは、もう済みました」
「え?そうなの?」
「一つは、レンフィア様の国の状況確認です。混乱しておりました。つまり、レンフィア様をスパイとして、こちらに送りこんだ可能性は低い。そう思われます」
「なるほど……」

混乱……。そういえば、そろそろ婚約者のジナルド様が、遠征から戻っているころかもしれませんね。一言くらい残しておくべきだったでしょうか。それよりも、ヴィルディ様の件で、頭が一杯だったのです。

「二つ目は、自爆です」
「じ、自爆?」
「はい。かなり昔の話になりますが、魔族と人間の関係が悪化した時、人間側が、聖女を魔族の敷地に送り込み、自らの心臓を突きさすことで、癒しの粉を辺り一面に飛び散らせるという……。とんでもない技を仕掛けてきたことがあるそうです」
「惨い話ね……」

聖女でなくても、白魔法をある程度極めた人間なら、同じことができるのかもしれません。白魔法のもたらす癒しは、魔族にとって、なによりの弱点なのです。

「さて、三つ目ですが……。これは、今から審査を行います」

べリーヌから、黒い服を手渡されました。

「これは……。魔女の正装?」
「その通りです。黒魔法を使えるとおっしゃっておりましたが、ヴィルディ様の横に立つ者として……。ふさわしい力をお持ちであるかどうか、それを確かめるのです」
「……良いじゃない。見せてあげるわ。私の力を」
「ですが、その前に朝食をどうぞ。食堂に用意してありますので」
「あっ、ええ。ありがとう」

人間なんかより、魔族の方が優しいかもしれません……。



朝食を食べ終え、私はべリーヌの案内で、荒野へと向かいました。服装もバッチリです。

「ここは見ての通り、何もありません。どれだけ強力な魔法を使おうと、大した被害にはならないでしょう」
「腕が鳴るわね。あれっ、でも、魔王は見てくれないの?」
「魔法の鏡でご覧になられております」
「どうして直接来ないのよ!自分の息子の嫁が決まるかもしれないのに」
「……魔王様が、このような荒野に突然現れたら、万が一人間に見つかったとき、面倒になりますからね」
「あぁなるほど……」

確かに。これから黒魔法をガンガンぶっ放すという時に、三メートル近い魔王がそこで突っ立っていたら、明らかに見過ごせない状況になってしまいます。すぐに大国が遠征部隊を寄越すでしょう。

「特にルールはありません。レンフィア様の得意な黒魔法を、思う存分使ってください」
「じゃあ……。手始めに……。怒りよ!我が矛先に闇の結託を示せ!アルカディミアブレイズ!!!」

私たちを取り囲むように、炎が辺り一面を焼き焦がしました。燃え盛る火の柱が、まるで大きな塔のように、いくつもそびえ立ち、自分で作っておいてなんですが、異常な光景を作り出しています。

そこから飛び散る火の粉が、私やべリーヌにかからないように、魔法を反射するバリアを張りました。

「……ふぅ。どうかしら。ベリッ」

べリーヌが、その場で蹲っています。そうでした。魔族は火属性が苦手なのです。尻尾がかわいそうなくらいへたってしまっています。

「べリーヌ。すいません。水にするべきでしたね。魔族は火の魔法を扱える者が少ないと思って、それが使えることをアピ―ルしたくてつい……」
「……うぅ」

どうやら相当参っている様子です。とりあえず背中を撫でて上げると、少しして、ようやくこちらを向いてくれました。しかし、その瞳には、まだ動揺が見られます。

「こんなの、聞いていないです……」
「えぇ……。他の属性を選ぶべきだったわね」
「違います。属性の問題ではありません」
「え?」
「……このような強力な黒魔法は、見たことがないと申しているのです」
「……マジ?」

どうやら私、結構すごいことを、やってしまったみたいです。
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