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侯爵令嬢への制裁
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「唐突な申し出で申し訳ないのですが、お兄様とリラ様は非常にお似合いだと思います」
「えっ……」
王宮の敵も一掃し、今はユリア様と食堂で紅茶を飲んでいます。
突然の話題に、私はカップを落としそうになり、慌ててもう片方の手で受け止めました。
「リラ様の魔法の腕は確かです。お兄様はかつて、おっしゃっていました。魔力の強い者同士は惹かれ合い、その愛の強さによって、さらに魔法に磨きがかかるのだと」
「そうおっしゃられましても……。私は今回の件が終われば、別の国に行く予定ですので」
「えぇ!? それはありえません。私たちの命を――国を救ってくださった方に、なんの施しもしないだなんてことは、絶対に許されることではないのです」
身を乗り出して、言われてしまいました……。
であれば、少しだけこの国で過ごすのも良いでしょう。
しかし、王子とお似合いと言われてしまうと、荷が重いというか……。
「リラ様。ユリア様。すぐに中心街にお集まり願います」
「わかりました」
執事の方が現れて、そのようなことを申しました。
「中心街、ですか?」
「はい。……おそらく侯爵令嬢への制裁が下されるのでしょう」
「なるほど……」
ユリア様が、いきなり私の手を握ってきました。
「何があるかわかりません。こうして手を繋ぐことが、きっと大事だと思います」
聞けば、ユリア様はまだ十二歳なのだそうです。
その手が震えています。まだ襲われた時のショックが残っているのでしょう。
震えを抑えこむように、私は手を握り返しました。
◇
「これより! 侯爵令嬢カロイ・マーセルに制裁を下す!」
黒い服を着た男性が叫ぶと……。
ボロボロの服に着せ替えられたカロイ様が、姿を現しました。
「聞いてないわよ! 王子が魔法を使えるだなんて!」
カロイ様が叫びますが、首に巻かれた縄を引っ張り上げられ、物理的に黙らされています。
何とも惨い光景ですが……。市民の怒りを考えれば当然のことでしょう。
一人の女性が、カロイ様の元へ近づいていきました。
「カロイ様。……いえ、カロイ。私のことを覚えていますか?」
見ればその女性は、私が昨日の昼間に助けた女性でした。
憎しみに満ち溢れた表情で、カロイ様を見降ろしています。
「散々私を殴ったり、蹴りつけたり……。昨日のことですから、忘れていませんよね?」
「……知らないわ。そんなこと」
「とぼけるな!」
「ぐふっ!」
女性がカロイ様の腹に蹴りを入れたことで、集まった市民から歓声が上がりました。
「ユリア様……。私はこの光景を見ていられません」
「え? どうしてですか?」
ユリア様は、私の発言の意味が分からない様子でした。
しかし、私の顔が青ざめているのを見て、その場を去ることを提案してくれたのです。
「……やっぱり、お兄様と同じです」
ユリア様に手を惹かれ……。
騒ぎが聞こえない、小さな公園へとやってきました。
「あっ……」
そこに、ウィン様がいらっしゃったのです。
「えっ……」
王宮の敵も一掃し、今はユリア様と食堂で紅茶を飲んでいます。
突然の話題に、私はカップを落としそうになり、慌ててもう片方の手で受け止めました。
「リラ様の魔法の腕は確かです。お兄様はかつて、おっしゃっていました。魔力の強い者同士は惹かれ合い、その愛の強さによって、さらに魔法に磨きがかかるのだと」
「そうおっしゃられましても……。私は今回の件が終われば、別の国に行く予定ですので」
「えぇ!? それはありえません。私たちの命を――国を救ってくださった方に、なんの施しもしないだなんてことは、絶対に許されることではないのです」
身を乗り出して、言われてしまいました……。
であれば、少しだけこの国で過ごすのも良いでしょう。
しかし、王子とお似合いと言われてしまうと、荷が重いというか……。
「リラ様。ユリア様。すぐに中心街にお集まり願います」
「わかりました」
執事の方が現れて、そのようなことを申しました。
「中心街、ですか?」
「はい。……おそらく侯爵令嬢への制裁が下されるのでしょう」
「なるほど……」
ユリア様が、いきなり私の手を握ってきました。
「何があるかわかりません。こうして手を繋ぐことが、きっと大事だと思います」
聞けば、ユリア様はまだ十二歳なのだそうです。
その手が震えています。まだ襲われた時のショックが残っているのでしょう。
震えを抑えこむように、私は手を握り返しました。
◇
「これより! 侯爵令嬢カロイ・マーセルに制裁を下す!」
黒い服を着た男性が叫ぶと……。
ボロボロの服に着せ替えられたカロイ様が、姿を現しました。
「聞いてないわよ! 王子が魔法を使えるだなんて!」
カロイ様が叫びますが、首に巻かれた縄を引っ張り上げられ、物理的に黙らされています。
何とも惨い光景ですが……。市民の怒りを考えれば当然のことでしょう。
一人の女性が、カロイ様の元へ近づいていきました。
「カロイ様。……いえ、カロイ。私のことを覚えていますか?」
見ればその女性は、私が昨日の昼間に助けた女性でした。
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「散々私を殴ったり、蹴りつけたり……。昨日のことですから、忘れていませんよね?」
「……知らないわ。そんなこと」
「とぼけるな!」
「ぐふっ!」
女性がカロイ様の腹に蹴りを入れたことで、集まった市民から歓声が上がりました。
「ユリア様……。私はこの光景を見ていられません」
「え? どうしてですか?」
ユリア様は、私の発言の意味が分からない様子でした。
しかし、私の顔が青ざめているのを見て、その場を去ることを提案してくれたのです。
「……やっぱり、お兄様と同じです」
ユリア様に手を惹かれ……。
騒ぎが聞こえない、小さな公園へとやってきました。
「あっ……」
そこに、ウィン様がいらっしゃったのです。
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