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魔力の相性。

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 魔法で強引に侯爵家の扉を破壊しました。
 これまでは、ただ静かに耐え忍ぶだけだった人生……。
 隣に王子がいるというだけで、これほどまでに心強いだなんて。

 まるで、ヒーローにでもなったような気持ちでした。

 執事や傭兵たちを吹き飛ばし、奥へ奥へと進んでいきます。

「リラ様! 上です!」

 ウィン様が、頭上に向かって光の魔法を唱えました。
 私もすかさず、同じように唱えます。

 降ってきたのは、毒の槍でした。
 光に照らされ、溶けていきます。

「……なかなかやるわね」

 出てきました。ハレス様です。
 ハレス様は侯爵家の地下で、奴隷たちから生命の力を吸い上げ魔力に変えているという、とんでもない人間なのです。
 だからこそ、外ではなく、自身の有利な場所で戦うことを好みます。

「覚悟なさい。ここは私の庭なのよ。――魔法使いが何人束になって襲い掛かってこようと、全て追い払ってみせるわ」

 ハレス様が、次から次へと毒の矢を放ってきます。

「ウィン様。後衛をお任せしてもよろしいでしょうか」
「わかりました!」

 ウィン様の光の魔法で、毒を溶かしてもらいます。
 その間に、私は光の剣を作りあげました。

「な、なによ……。なんなのよ! その力は!」
 
 光を集め、剣にするというのは、非常に高い魔力を要する技です。
 しかし私は、すでにそれを会得していました。
 有事のために……。
 大切何かを守るために……。

 今が、この力を使う時なのです。

 私は剣を構え、ハレス様に突進しました。

 そして――。

「いぎゃああああああ!!!!」

 ハレス様を、光の剣で貫いたのです。
 物理的な傷はつきませんが――。
 負の魔力には、大きなダメーズを与えることができます。

 ハレス様は、ばったりとその場に倒れ、痙攣し始めました。

「い、あぁああっ……」
「ハレス様……。私はこれより、この国の悪を全て成敗いたします。全て終わった時、まだハレス様がこの国にいるようであれば――。さらなる制裁を加える必要があるでしょう」

 涙を流しながら、ハレス様は必死で何度も頷きました。

「ウィン様。ありがとうございます。一人では絶対に成し得ないことでした」
「……」
「……ウィン様?」
「あなたと魔力を合わせた時、不思議な力が宿ったことを感じました」
「不思議な力……ですか?」
「そうです。いつも以上に、体の奥底から魔力が湧き出てくるような……」

 どうやら、相性が良いというのは、本当だったようです。
 この勢いで……。次は公爵家へと向かうことにします。

 婚約破棄で、女性の心に深い傷を負わせた罪を、必ず晴らしてみせるのです。
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