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工場制圧
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武器工場で働く奴隷はみんな、敵意、反抗心を喪失する魔法をかけられている。
第一令嬢のセーリアは黒魔道士で……。こういった魔法を使い、奴隷を洗脳しているのだ。
「洗脳を解くのは、この工場を制圧してからにしましょう。そうしないと、混乱が起こるので」
「そうだね……。それにしても、見張りが全然いなくて、拍子抜けしちゃう」
「きっと、完璧にコントロールできている自信があるんじゃないでしょうか」
「……醜い思想だわ」
まずは、外をうろついている兵士を、クレスの魔法で凍らせる。それから中に侵入して、工場のコアを私の魔法で破壊。稼働をストップさせ、王宮に戻り大戦に備えるであろう兵士の武器の供給を止める。
「……行きましょう」
「……うん」
クレスが、目に見える範囲の兵士を、一瞬で凍らせた。すごい……。
「行ってください!聖女様!」
見惚れてる暇はない。私は工場のコアを探す。
「侵入者発見!侵入者発見!ただちに臨戦態勢を――」
クレスが、連絡係を凍らせたことで、兵士たちに混乱が走る。奴隷たちは、騒ぎに気が付かず、ただ動作を続けていた。酷い……。ここまで意思を奪われているなんて。
早く救わないと。コアはどこ?
私は倒れている兵士を捕まえ、話を聞くことにした。
「あなた!コアの位置を教えなさい!」
「……誰が!」
「……命は奪いたくありません。お願いですから。あなたにも、家族がいるでしょう?」
「……」
「答えて!」
「……あの扉の向こうだ」
「ありがとう!」
急いで兵士が指差したドアの方へ向かう。
「クレス!こっちにコアが!」
「待ていお前らぁ!こいつがどうなっても良いのか!?」
兵士が子供の頭に銃を向けている。しかし、そんなことは予測済み。クレスの魔法で兵士を凍らせ、人質を解放することに成功した。
「やった!」
「聖女様!こちらは僕に任せてください!早くコアに!」
「わかった!」
立ちはだかる兵士。飛んでくる弾丸を、風で吹き飛ばす。そして、いよいよドアの前にたどり着いた。破壊魔法で粉々に砕き、中に入る。
そこには、オレンジ色の大きな球体が浮かんでいた。間違いない。これがコアだ!
「待てい!」
私のいる一階。吹き抜けになっている二階から、一斉に兵士が飛び出して、私に銃を向けてきた。
「貴様はローナだな?使えない聖女め……。腹いせに革命とは、良い度胸だ!」
「……死にたくない方は、銃を下げ、身を隠してください。十秒だけ待ちます」
笑い声が響いた。どうしてこの国の兵士は……。こうも頭が悪いの?粉々になったドアが見えないの?
結局、十秒待っても、誰一人銃を下げなかった。
「行くぞてめぇらぁ!!!打てええええ!!!!!」
――遅い。
銃声よりも早く、私の風が、コアもろとも、兵士たちを吹き飛ばした。
壁にめり込んだ者。風圧で存在そのものが消し飛んだ者。
……誰も殺したくないのに。
「聖女様!外は制圧しました!」
ちょうどクレスが入って来たところで、コアが粉々に砕け散った。
「……うぅ」
「聖女様?」
私はその場に倒れこんでしまった。その体を、クレスが支えてくれた。
「どうしました?聖女様」
「私は……、人殺しとして、また忌み嫌われるのかしら」
「……そんなことありません。きっと民は、奴隷たちは……。あなたに拍手を送ります」
「本当?本当なのね?クレス」
「もちろん。そして、この僕が……。隣で一番大きな拍手を送りますから!」
「……ありがとう」
私はクレスの胸元に顔を埋め、少しだけ泣いた。
第一令嬢のセーリアは黒魔道士で……。こういった魔法を使い、奴隷を洗脳しているのだ。
「洗脳を解くのは、この工場を制圧してからにしましょう。そうしないと、混乱が起こるので」
「そうだね……。それにしても、見張りが全然いなくて、拍子抜けしちゃう」
「きっと、完璧にコントロールできている自信があるんじゃないでしょうか」
「……醜い思想だわ」
まずは、外をうろついている兵士を、クレスの魔法で凍らせる。それから中に侵入して、工場のコアを私の魔法で破壊。稼働をストップさせ、王宮に戻り大戦に備えるであろう兵士の武器の供給を止める。
「……行きましょう」
「……うん」
クレスが、目に見える範囲の兵士を、一瞬で凍らせた。すごい……。
「行ってください!聖女様!」
見惚れてる暇はない。私は工場のコアを探す。
「侵入者発見!侵入者発見!ただちに臨戦態勢を――」
クレスが、連絡係を凍らせたことで、兵士たちに混乱が走る。奴隷たちは、騒ぎに気が付かず、ただ動作を続けていた。酷い……。ここまで意思を奪われているなんて。
早く救わないと。コアはどこ?
私は倒れている兵士を捕まえ、話を聞くことにした。
「あなた!コアの位置を教えなさい!」
「……誰が!」
「……命は奪いたくありません。お願いですから。あなたにも、家族がいるでしょう?」
「……」
「答えて!」
「……あの扉の向こうだ」
「ありがとう!」
急いで兵士が指差したドアの方へ向かう。
「クレス!こっちにコアが!」
「待ていお前らぁ!こいつがどうなっても良いのか!?」
兵士が子供の頭に銃を向けている。しかし、そんなことは予測済み。クレスの魔法で兵士を凍らせ、人質を解放することに成功した。
「やった!」
「聖女様!こちらは僕に任せてください!早くコアに!」
「わかった!」
立ちはだかる兵士。飛んでくる弾丸を、風で吹き飛ばす。そして、いよいよドアの前にたどり着いた。破壊魔法で粉々に砕き、中に入る。
そこには、オレンジ色の大きな球体が浮かんでいた。間違いない。これがコアだ!
「待てい!」
私のいる一階。吹き抜けになっている二階から、一斉に兵士が飛び出して、私に銃を向けてきた。
「貴様はローナだな?使えない聖女め……。腹いせに革命とは、良い度胸だ!」
「……死にたくない方は、銃を下げ、身を隠してください。十秒だけ待ちます」
笑い声が響いた。どうしてこの国の兵士は……。こうも頭が悪いの?粉々になったドアが見えないの?
結局、十秒待っても、誰一人銃を下げなかった。
「行くぞてめぇらぁ!!!打てええええ!!!!!」
――遅い。
銃声よりも早く、私の風が、コアもろとも、兵士たちを吹き飛ばした。
壁にめり込んだ者。風圧で存在そのものが消し飛んだ者。
……誰も殺したくないのに。
「聖女様!外は制圧しました!」
ちょうどクレスが入って来たところで、コアが粉々に砕け散った。
「……うぅ」
「聖女様?」
私はその場に倒れこんでしまった。その体を、クレスが支えてくれた。
「どうしました?聖女様」
「私は……、人殺しとして、また忌み嫌われるのかしら」
「……そんなことありません。きっと民は、奴隷たちは……。あなたに拍手を送ります」
「本当?本当なのね?クレス」
「もちろん。そして、この僕が……。隣で一番大きな拍手を送りますから!」
「……ありがとう」
私はクレスの胸元に顔を埋め、少しだけ泣いた。
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