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番外編
執着男と、ロックオンされた女
しおりを挟む身請けの話があった翌日、風花がぼんやりと外の景色を眺めていると、どたどたと慌ただしい足音と共に女楼主がやって来た。
「フーカ、お迎えが来たから表に来な。オーランド卿が迎えにいらしてる。話は済んでるから、さっさとおし!」
約束通りエドワードが迎えに来たようだ。風花は少ない荷物をまとめると表玄関へと向かった。
「エド様」
「フーカ、迎えに来たぞ」
風花が現れると、仮面を着けたエドワードに抱き寄せられた。
その場には、女楼主の他にカミーラや他の娼婦たちが風花の門出を祝いに集まっている。
「フーカ、幸せにおなり」
カミーラの言葉に風花はうるっとした。
何の前触れもなく異世界に飛ばされ、人攫いにあって娼館に売られ。本当に怒涛の一月だった。それでも、結果的にエドワードと出会えたのだから、結果オーライなのかも知れない。
「みんなありがとう。楼主様、おせわになりました」
深々と頭を下げて別れの挨拶を済ませ、風花はエドワードと手をたずさえ合って娼館を後にした。
*
二人はエドワードの自宅まで馬車で向かう予定だったが、途中どこかで昼食をとることにしたので庶民街に差し掛かったところで馬車から降りた。
大通りには出店が立ち並び、ちょうど昼時とあって通りは人で賑わっていた。
焼とうもろこしや串肉など、食欲をそそる匂いがそこかしこから漂っている。風花が目を輝かせてキョロキョロしていると、エドワードは風花が目に留めたものを次々と買っていった。そして気がついたらかなりの量になってしまっていた。
ちょうど木陰に誰も座っていないベンチがあったので、二人はそこに腰かけて昼食にする。エドワードが飲み物を買ってくる間、風花は購入した食べ物の包みを解いていく。
「フーカ、飲み物を買ってきたぞ」
「ありがとう、エド様。いっぱい歩いたから、喉がカラカラ」
なんと渡されたのはビールだった。しかもキンキンに冷えていて、喉越しもまろやかでとても飲みやすい。エドワードも隣で器用に仮面をずらして飲んでいる。
「はぁー、美味しい。こっちの世界にもビールがあるんですね」
「……こっちの世界?」
「あれ、まだお伝えしていませんでしたっけ?実は私、異世界から来たんです」
「…………」
そう言った途端、エドワードが無言になってしまった。風花は“あら?”と思ったけれど、空腹に負けて串肉を頬張った。これは何の肉なんだろう。
もぐもぐと食べている横で、エドワードはだんまりを決め込んで食事には手をつけないでいる。
「……あの、エド様?」
「フーカ、帰るぞ」
「えっ?」
まだ食べ始めたばかりだというのに、エドワードは広げた食事をサッと袋にしまうと、風花の手をとって歩き出した。
何が何だかわからないまま、風花はエドワードに連れられて再び馬車に乗ると彼の屋敷へと向かった。
車内では終始無言で、張り詰めた空気が漂っている。
(私が異世界人と知って、怒っているのかも知れない……)
このまま捨てられたらどうしよう、と考えていたら涙が出そうになったので、慌てて上を向いて瞬きで散らした。
馬車が止まると、先にエドワードが外に出た。そして彼のエスコートで風花が馬車から下りる。
すると、木材と煉瓦が融合した素敵な家が目の前にあった。
彼に引っ張られるようにして家の中に入り、勢いよくドアが閉まった。そして次の瞬間、彼に抱きしめられていた。風花は一体何が起きたのかわからず、あたふたする。
「あ、あのっ、エド様?」
「フーカが異世界人だと知っているのは、俺の他に誰がいる?」
思ってもいなかった質問だった。いつの間にか仮面は外されていて、彼の真剣な眼差しに見つめられている。
風花は盗賊にさらわれた時も、娼館にいた時も、自分が異世界人であることを誰にも言わなかった。恐ろしい盗賊たちとはまともな会話は出来なかったし、娼館に売られた時は驚きとショックでそれどころではなかった。
風花がエドワードだけだと伝えると、彼は目に見えてホッとした様子を見せた。
「フーカ、君のように異世界から来る者のことを、こちらの世界では“渡り人”と呼ぶんだ。渡り人は見つかり次第すぐさま国王に報告しなければならないんだ。おそらく君を攫った盗賊たちは君が渡り人だと気づかなかったんだろう」
エドワードの話では、本来私は国の保護下に置かれて城で暮らすらしい。
それはつまり、風花が異世界人であることが表沙汰になったら、エドワードと一緒に暮らすことは出来なくなることを意味していた。
「誰にも渡さない……フーカは俺のものだ!絶対に離さない!!」
射抜くような眼差しに、風花はこくこくと何度も首肯した。風花だってエドワードと離れたくなどない。やっと幸せになれるかも知れないのだ。彼の手を離したくなかった。
エドワードに抱き寄せられ、確かめるように撫でられる度、ぞくぞくと戦慄きが身体に走る。
後頭部を抑えられ、強引に上を向かされると同時に口づけが降ってきた。
肉厚の舌が滑り込み、口内を舐め回す。
歯列や上顎、舌の付け根までをも犯され、最後に濡れた唇をペロリと舐められた。
「ま、まって……まだ、お風呂に」
「駄目だ我慢できない。今ここでフーカを抱く」
切羽詰まった様子のエドワードは前をくつろげると、既に臨戦状態になっている彼のモノを取り出した。そして、風花の片足を持ち上げ下着をむしり取ると強引に押し入ってきた。
まだ解されていない膣内は狭く、ミシミシと音がしそうな強さで押し込まれた。
風花は必死に彼のものを受け入れようと、浅い呼吸を繰り返し口をはくはくとさせた。
どんどん突き進んでくるそれに、身体が喜びでビクビクと震える。
「んんーー……!」
ズンッと最奥を穿たれた風花は、目を見開いて大きく背中を反らせた。それと同時に反対の脚も持ち上げられ、バランスを崩しそうになった風花は、慌ててエドワードの首にしがみついた。
「あっ! 激しいっ! んやぁ! おなか……、こわれちゃ……う、んぁぁ!」
抱っこされた体勢でどちゅっどちゅっと激しく穿たれ、風花はエドワードにしがみつくことしか出来なかった。
「フーカ、どこにも行くなっ……誰にも渡さない!!」
ガツガツを腰を突き上げられ、風花は大きく背中を反らせて膣内をビクビクと痙攣させた。
同時に膣内で彼のものが弾けるように震えて、熱い飛沫がビュルビュルと注ぎ込まれる。
「はあ、はあ、はあ、はあ……フーカ、フーカ……行ってしまわないでくれ」
そう言って、エドワードは風香を抱きしめたまま、ずるずると床に座り込んだ。
彼の切実な願いに応えたくて、風花はぎゅっと彼を抱きしめ返す。
「……はい。どっか行けって言われたって離れませんからね」
二人は、ふふふと笑って見つめ合った。
執着男にロックオンされた女の未来、これ如何に。
【完】
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