赤の章~緋色の騎士~

虹あさぎ

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第一章

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***

 琉璃はベッドに座り直して、大人しくさっきの彼女が戻ってくるのを待っていた。しかし、一向に戻ってくる気配はない。そのうちに少しずつ気持ちが落ち着いてきた。

 仕方ない。今、私にできる事は自分なりに現状を把握することだけだ。

 琉璃はそう自分に言い聞かせ、心を奮い立たせると両足に力を込めてフカフカの絨毯をしっかりと踏みしめ、ベッドに深く沈み込んでいたお尻を少し勢いをつけて浮かせると立ち上がった。昔から覚悟さえ決まれば切り替えが早い、それが琉璃の長所だった。

 ゆっくりとベッドの側に設置されている姿見の前に立つ。

 ちょっとだけ疲れた顔をしているが、そこにはいつもの琉璃の顔が映っている。

(良かった。私の見た目はちゃんと元のままだ)

 外見が変わるはずなんてないと思ってはいたものの、身体の軽さや感覚が違う、言葉も通じない。そんな中でその可能性もあるのではという、不安は少なからずあった。

 だからこそ琉璃はベッドの側に姿見があることが少し前からわかってはいながら、あえて見る事を避けていたのだった。
 
 安心した途端、姿見の横の 豪奢ごうしゃなクローゼットへと目線が移った。

「え、なにこれ」

 思わず声が漏れる。

(装飾がすごい)

 それは歴史の教科書にのっていた、ロココ調と記されていたものと感じが似ていた。そっと両開きの取手に手をかける。

(お、重い……)

 予想以上に重い扉を開くと、そこにはドレスが数着かけてあった。とりあえず一着取り出してから、眺めて見る。

 こちらもまたズシリと重い。そのドレスは色こそ淡い青で大人しげで綺麗なものの、そこに施されたたくさんの装飾の数々、その一つ一つの飾りは眩いほどに光を反射して煌めいていた。

(まっ、眩しい)

 そして、銀の糸でこれまた複雑な刺繍がされている裾はズルズルと引きずって歩かなければならないくらいに長かった。

(えっ。まさか、わたしこれを着るんじゃないよね?)
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