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1年目夏
51 私と期末テストと勉強会(1)
しおりを挟む「来週から期末テストが始まる。」
7月になり、夏休みももう目前と迫った中、朝のHRで担任から宣告される。
「このテストで赤点とったやつ、夏休み補習あるからな。大会あるやつも関係ねーから。」
その言葉に私の斜め前にいる颯太が項垂れる様子が見えた。私の目の前にいる里奈も下を向いてわなわな震えている。
「じゃ、勉強頑張れよ。」
そう言って担任は教室から出て行く。
その瞬間クラスが騒がしくなる。
「やばーい!どうしよこはるん!?」
「頑張って勉強するしかないよ。」
前回のテストで里奈は、10科目中5科目赤点を取っていた。どうしてそんな赤点を取れるのか私もわからない。
そこにフラフラと颯太もやってきて、床に崩れるように座った。
「どうしよ……、おれ補習になったらレギュラー外される……。」
「あぁ、前回は補習なかったからね。」
隣の席の木村くんが、絶望する颯太を少し心配そうに見ている。
「こはるん達はいいよね。赤点ないし。」
「私達も勉強しなきゃ赤点とっちゃうよね、木村くん?」
「うん、そうだよ。今回はちょっと範囲が広いからね。」
今回は1学期やった範囲が全てのテストだから、私達も授業を聞くだけじゃ良い点数は取れない。
里奈と颯太は大丈夫かな……。
「颯太は前回赤点何個だったの?」
「……3個。」
「すごい!里奈より少ないじゃん!」
「ちょっとこはるん私を馬鹿にしてるでしょ!」
颯太はスポーツ推薦だったけど、里奈はよく入試受かったなって思う。
本人曰く一夜漬けでほぼ暗記だったって言うけど、それなら前回の中間の時も頑張ってほしかった。
「ねええ、こはるんお願い教えてよ!」
「いいけど、私も苦手な教科はあるよ?」
「おい里奈ずるいぞ!小春俺もお願い!大会近いんだよ!」
中学の頃から変わらない2人に笑みが溢れる。
少しは成長して欲しいとは思うけど、頼られるのは嫌いじゃない。
「今日から部活ないし、放課後教室でちょっと勉強する?」
「それいいね!おやつ買ってくればよかった!」
「勉強会だからね、里奈?」
こんな調子で大丈夫なのかな。
「それ僕も一緒に参加していいかな?家じゃどうも集中できない事多くて。」
「もちろん!」
木村くんも一緒に参加する事になった放課後の勉強会。
そして、もう1人。
「小春ちゃん、僕に内緒でみんなで何するつもり?」
「も、もちろん誘おうとしてたよ!」
猫宮くんに後ろから抱きつかれて、首元に顔を埋められる。
最近スキンシップが激しくなってきた気がする。
「おはよう猫宮くん。猫宮くんは勉強しなくても問題ないんじゃない?」
「そんな事ないよ木村くん。僕だって気を抜くと赤点とっちゃうかも。」
「木村くんなんでそんな普通なの。」
何事もないように私に抱きついたままの猫宮くんと話す木村くん。
柔軟性が高すぎるよ。
「もう、こはるんから離れてよ!暑苦しい!」
「僕はもうひとときも小春ちゃんから離れたくないんだ。」
「あーもう、そう言うのは他所でやってくれよ!」
颯太や里奈の反応が普通だと思うんだけど、木村くんだけじゃなくてこの2人以外のクラスメイトもこの状況を受け入れて何も言わなくっていた。
「猫宮くん、恥ずかしくて汗出るから……。」
「んー、じゃあこの良い香りは小春ちゃんの汗の匂い?」
「ねえそれはキモい!」
みんなの前で抱きつかれたら恥ずかしくて汗も出てくる。
最近猫宮くんがもしかしたらとても変態なんじゃないかって思ってきた。
相変わらずかっこよくて優しくて素敵なんだけど、ちょっと変っていうか。愛が重いっていうか。
「僕は小春ちゃんのなら汗も舐めることができるよ。」
「そんな事しなくていいから、離れて?お願い?」
「小春ちゃんにお願いされたら仕方ないなぁ。」
流石に汗は舐められたくない。
私は諭すように猫宮くんをゆっくり剥がす。
楽しそうに笑いながら離れる猫宮くんは、私の反応を見て楽しんでそうだった。
「小春ちゃんが残るなら僕も残る。」
「じゃあ、ちゃんと私達に勉強教えてよね!」
「君達教えてもすぐ忘れそうだしなあ。」
君達とは里奈と颯太の事。
猫宮くんはこの2人には対応が少し雑な気がする。
「猫宮くんはどの教科が得意なの?」
「英語以外は普通かな。日本語でも精一杯なのに、新しい言葉を覚えるのって大変だから。」
「じゃあ、もし猫宮くんが英語で詰まったら僕に聞いてよ。英語は少し得意だから。」
「ありがとう、木村くん。」
前から思ってたけど、猫宮くんと木村くんは仲がいいと言うか馬が合う?
他の人と比べて猫宮くんは木村くんには心を許している気がする。
「里奈はほぼ全ての教科がだめで、颯太は、数学と英語と生物。」
「ちょっと!英語と数学だけは赤点ギリギリだから!」
来週のテストに間に合うのかな?
私は不安を抱えながら放課後の勉強会の予定を考えた。
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