転生したらシンデレラの義理の姉でした!? ~悪役令嬢まっしぐらです~

日向雪

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【五十一話】ところで犯人は?

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「いい、セイがシンデレラに惚れているかいないかは別にして……」

「……そのネタしつこいな。惚れていて欲しいのかよ」





 私はクスクスと笑う。

 ごめんごめん。

 結構反応が大きめだから面白くて。





「だって、女でも惚れてしまうあの美貌よ? 惚れない男がいるのかなって思っちゃうじゃない」

「容貌で惚れるのは、容貌を重視する傾向にある人間だろ」





 ふーん。

 重視ね。

 セイは重視しないタイプなのね?





 まあ、その辺の比重は人によるわよね?

 そもそも人間の本能に組み込まれている訳だから、本人の責任じゃない。





 男は、若くて可愛い女の方が自分の遺伝子を残しやすいと考える。

 女は、経済力のある男の方が、安心して子供が育てられると思うものだ。





 その部分を、否定したって始まらない。

 生物として本能に抗するのは自然ではない事なのだから。





 その先に待っているのは、苦しみなのだから。





 こういうことを考え出すと、人間て切ないなと思ってしまう。





 つまりセイは、本能に忠実に生きていないタイプという事になる。

ある意味、ルーファスもそうなる。





 周りにそんな男の子、というか男の人ばっかりじゃ、心配になるじゃない?

 幸せなのかな? と心配になるのよ?







「お前、失礼なこと、考えてるだろ?」





 ギクギクギク。

 鋭いから困るわよね(笑)





「別に? 全然? ちっとも?」

「言い方、ムカつくな」





 さあ、そろそろ本題に入りましょうか?

 ウォーミングアップは終わりよ。





「で、どこまで掴んでるのよ?」

「何のコトだが?」

「誰が第二王子殿下の婚約者の命を狙ってるのよ? 知ってるとこまで吐きなさい」

「偉そうだな、お前」

「偉そうなのよ、公爵令嬢に身に付いた特技ね?」

「不要な特技ダネ」





 結構便利なのよ?

 身分を振りかざすと、従ってくれる人はいるもの。





 まあ、同時に恨みも買うけどね?

 しかたないじゃない?

 諸刃の剣ってやつよ。





 そもそもよ。

 私の命を狙って得をする人はだれ?

 という話よね。





 モンテ・クリスト伯の師匠、ファリア神父が言ってたもの。

 ファリア神父ってさ、非常に学が高いというか。





 獄中で月日をしっかり数えたり、壁を掘ってみたり、つまりは絶望に蝕まれず、賢明に生きる事が出来る神父さんな訳よ。





 素敵ね。

 かなり尊敬出来るわ。





 そのファリア神父が言ったものよ?

『おかしな事が起きた時は、それによって特をする人間を考えよ』





 公爵令嬢を殺したところで、公爵令嬢には成り代われないわよね。

 でも第二王子殿下の婚約者は、いなくなれば成り代われるわ。





 問題は時間が前後している事だけど。

 つまり、王子様の婚約者として公式発表される前に命が狙われたという事。







 これはどう考えれば良いのかしら?

 私が知らなかっただけで、水面下では知られていた?





 普通に考えれば陛下と皇后陛下、第一王子殿下、そして私の父であるカールトン公爵は知っていた筈よね?





 公式発表の予定はダンスパーティーのある一ヶ月後だった。

 しかしは、知らぬは本人のみとい可能性は多分にある。







 当たり前だが、公式発表の予定の前に、然るべき人には略式発表というか、非公式に伝えられていた。





 この範囲が知りたいわよね?

 まさか内々の内々、お互いの両親だけって事はない気がするわ。







 そこは第二王子様といえ王族。事前に色々と根回しがされていた筈よ。

 特にあのルーファスの性格。





 危ない橋は渡らなそうなのよ。

 つまりそれなりに盤石な体勢だった。





 うーん。

 けど、治癒魔法の存在を知っていた面々は、反対していたのよね?





 側に置いておきたいという考えであれば、隣国の姫とか絶対避けたい筈。

 というか自分のところに欲しい。





 喉から手が出る程欲しいのか。

じゃあ、四親等以上の血が離れた、年頃の娘がいる王族?





 具体的に言うと、王弟殿下の御息女、王妹殿下の御息女、が従姉妹に当たる。





 そして臣籍降下先の第一第二第三公爵家。

 私は王族系譜を頭の中で注意深く捲っていく。





 しかしながら、王妹殿下はご結婚をせず、離宮で王太后様とお暮らしだ。

 もちろん人知れず非公式に産んでいる可能性はあるが……。

 しかし、そこは考えても詮無い事。





 正式に第二王子様とどうこうというのは相当に難しい。

 考えた所で、公式じゃない以上、正式に追うことが出来ない。

 確実性もなくなって来る。







 そして王弟殿下の御息女は幼少の折りになくなられているのだ。

とても可愛らしいお姫様だったと聞く。







 うーん。

 影さん!

 こういう洗い出しは何度もやっているんでしょう?

 教えてよ?





 私はセイの方をじーと見つめる。

 また、キモチワルイって言われそうよ?



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