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大学生

第25話

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 着替えを終え再び駐車場に戻ると、女子のくせに俺より先に二人は待っていた。
 普通はこういう時って女子の方が遅くて男子は長い時間待たされるはず。……まぁ、こういうシチュエーション今日が初めてだから、テレビで得た情報を元に考えているのだが。
 それはともかく二人は俺より早く来て大丈夫なのだろうか?……化粧とか髪型とかその他諸々の身だしなみ!

 「ごめん、待たせたな」

 「ううん、私たちも今来たところ」

 六花が横にいる亜美に向かってそうだよねと言わんばかりにアイコンタクトを送る。
 その亜美はアイコンタクトを受け、うんうんと俺に頷いて見せた。
 ――……あれ?普通立場が逆じゃない?
 俺が普通待つ側(テレビドラマからの情報より)で六花たちが遅れてくる側だよね?
 なんか……こうして考えると申し訳ない気持ちになる。俺、女子じゃないのに遅れて来るなんて非常識にも程があるよね。もし付き合ってたらこれでケンカになるんじゃないかな。…………やっぱり恋愛は嫌いだ!
 そんなことを頭で考えているのを六花たちは当然知らず、どこに行くか二人で楽しく話し合っていた。
 ――って、六花と亜美そんなに仲良かったか?さっきまで仲悪かっただろ!
 更衣室で何があったか知らないが、二人が仲良くなることはいいことなのかもしれない。……多分ね……。
 
 「じゃあ、そこに行こうよ!」

 「うん!じゃあ、決まりね!」

 どうやら行き先が決まったようだ。
 二人してウキウキわくわくのような表情をしている。
 ――……ちなみに俺の意見は?
 そう心の中だけではなく、口に出して言いたかったが……言えないよね!
 もう気がつけば二人に手を引っ張られてたし。
 まぁ、どこでもいいか!
 俺はそのまま二人のあとをついて行くことにした。
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