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放課後、祐がバスに乗ると吏都が先に乗っていて「たす君!」と祐に手を振った。祐は吏都の隣に立つと手すりを掴んだ。
「何食うか決めた?」
「うん。尋那のバイト先の喫茶店の珈琲が美味しいんだって!ケーキもお勧めって言ってたんだ!」
「ふーん。」
「たす君甘いの好きでしょ?」
「お前、甘いの得意じゃないだろ?」
「あれ?覚えててくれたんだ?そこのお店のバスクチーズケーキがさっぱりしてて美味しいんだって!」
喫茶店の最寄りのバス停で降りて店の前にたどり着く。吏都は店のドアを開けて中に入るが、祐はドアの前で立ち止まっている。「どうしたの?早く!」と吏都が祐の腕を引っ張り中へ誘導する。「待てって!」と祐は中に入るのを躊躇しているが、強引に吏都に引っ張られて店内に入った。するとカウンターに居た店主が2人に気付き声を掛ける。
「いらっしゃいませ。2名様ですか?」
「はい。」
「祐?」
「‥。」
「あれ?おじさん?」
「2人で来るなんて珍しいな。」
「おじさん、この店知ってたんだね!」
「ああ。店主とは腐れ縁でね。」
「幼馴染みなんですよ。久しぶりだね、祐。」
「‥お久しぶりです。」
「席に案内するよ。テーブルでいいかな?志治が近くに居るとゆっくり話が出来ないでしょ?」
「おい!俺はそんなにデリカシーに欠けてるか?」
「尋那さん、ご案内お願いします。」
「無視すんな!」
「あっ、吏都来てくれたんだ!」
「うん!美味しい物には目がないので。」
「ふふ。こちらにどうぞ。」
他のテーブル席を片付けていた尋那がカウンターに戻ってくると吏都と和気あいあいと話をしている。その後ろで祐は気まずそうに立っていると祐の様子に気付いた尋那が話を切り上げカウンターから1番遠い席へ案内した。メニューをテーブルの真ん中に置くとお冷やを取りに戻って行った。
「何にする?」
「‥ウィンナー珈琲。」
「じゃあ私はブレンド。ケーキは?」
「リンゴのキャラメルケーキ。」
「美味しそう!私はバスクチーズケーキにしよう。」
「お決まりですか?」
尋那がお冷やを持ってくると、吏都が注文をした。その様子を志治がチラチラとカウンターから眺めている。
「気になる?あっ!食べない方がいい物あったか?」
「いや、大丈夫だ。普段は色々規制されて我慢してるんだ。外でくらい見て見ぬふりをしてやらんとな。アイツもやっと前向きになれたんだ。自分で加減は出来るだろう。」
「そうか。祐が此処に来るの何年ぶりだろう?まだこの店にスイーツを置く前だった気がするな。」
「小学生だったか?俺以外とこの店に来るようになるとはな。」
「はは。女の子と2人で来れる歳になったのか。大きくなったね。」
「‥早く堂々と恋愛させてやりたいよ。」
「祐はずっと頑張っているんだ。大丈夫だよ。」
「そうだな。‥さあ、張り込み行ってくるか。」
「今から仕事?ご苦労様。珈琲のテイクアウトどうする?」
「頼む。それから祐のテーブルの分も一緒に会計してくれ。」
「お父さん、カッコいい。」
「うるせぇ!お父さんって言うな。」
志治が2人に見つからないようにこそこそと会計を済ませてテイクアウトの珈琲を受けとると店を出て行った。店主はてきぱきと2人の注文を用意していく。それを尋那が2人の元へ運んできた。
「お待たせしました。」
「ありがとう尋那。うわぁ、美味しそう!」
「ごゆっくりお召し上がり下さい。」
尋那は2人に会釈をすると自分の持ち場へ戻って行った。「食べよう!」と吏都の号令で2人で珈琲を飲んだ。祐がウィンナー珈琲を飲んでテーブルに置くと吏都が祐を見てクスクス笑っている。「何だよ?」と不思議そうに聞くと「クリームついてるよ。」と吏都が笑った。テーブルの窓越しに映る自分の顔を見ると、鼻の下に白い髭のようなクリームがついていた。「笑うなよ!」と祐は恥ずかしそうに手で口を拭おうとすると、吏都は「ダメ!」と祐の口元に持っていった手を握って阻止すると紙ナプキンで祐の口元を拭いた。吏都が「取れたよ。」と祐に笑顔を向けるが祐との距離が近くなっていたことに気付き、急に恥ずかしくなり慌てて椅子に座り「ナプキン置いておくね。」とはぐらかした。2人は気まずい空気を払拭しようとケーキに口を運ぶ。「美味しい!」「うま。」2人で同時に同じ感想を発していた。
「ねぇ、チーズケーキとキャラメルのケーキ1口交換しよ?」
「は?」
「お願い!たす君のケーキも気になるの!」
「‥分かったよ、はい。」
祐がケーキの乗った皿を差し出すと吏都が「ありがとう。」と満面の笑みを見せる。幸せそうにケーキを食べる吏都を見ると自然と祐の顔が綻んだ。「たす君も食べてみて!」と吏都が自分のケーキを差し出す。吏都の食べかけを食べる行為を想像するだけで恥ずかしくて顔が熱くなるのが自分で分かる。「俺はいいよ。」と赤らめた顔を見られないように祐は窓の方を向いた。すると吏都が急に「ヤバい!」と慌てた声を出したせいで、祐は「は?」と吏都の方を振り返った。その瞬間、吏都が1口分フォークに刺してあった自分のケーキを祐の口に入れた。「ヤバいくらい美味しいでしょ?」と吏都が微笑んで尋ねてくるが、吏都から食べさせられたのが恥ずかしくて味も分からないまま飲み込んだ。祐は「強引だな!」と何とか言葉を紡ぎ平然を装った。吏都は「美味しい物は分かち合いたいもん!」とくしゃりと笑った。そんな2人の楽しそうな様子を尋那はカウンターから眺めていた。
「楽しそうですね。」
「珍しいですね。尋那さんがお客様に関心持つのは。」
「いえ、あの女の子私の友達で。‥私が連れてきてあげたかったから。」
「そうでしたか。」
「すいません、変なこと言って!忘れてください。」
「いえ。‥来月は新作のケーキを入荷する予定です。その時はお友達と来てください。尋那さんが第1号で食べて頂けるように手配しておきますから。」
「ありがとうございます。」
少し寂しそうに本音を漏らす尋那に店主がそれとなく励ました。祐と吏都がケーキを食べ終わると吏都が「ご馳走さまでした。帰ろうか。」と席を立つ。祐も「おう。」席を立つと2人て会計に向かった。祐が財布を出すと割り勘にしようと吏都も財布を出して提案した。祐が「いらない。今日はあの時の借りを返すつもりだったし。」と吏都に財布をしまわせようとするが「付き合ってってお願いしただけだから。」と吏都は引かず財布を開いた。店主が「志治からお代頂いたから。」と2人に伝えると、「えー!おじさんに気を遣わせちゃったな。」と吏都が申し訳なさそうな顔をしている。「祐の楽しそうな姿を見て喜んでいたし、素直にご馳走になったらいいんですよ。」と店主が吏都を諭した。「たす君、おじさんにご馳走さまでしたって伝えてね!」と念を押されると祐は「うん。」と頷いた。しかし、祐は先程吏都が財布を開いた時にチラリと見えたドナーカードが気になって頭の中が困惑していた。
「美味しかったです。また来ます。」
「ぜひ、お待ちしています。来月には新作のケーキの入荷予定です。入荷したらまたいらしてください。尋那さんに伝えておきますので。」
「えっ!楽しみです!尋那がバイトお休みの日に一緒に来ようね!」
「うん。」
「祐もまたいつでも来てね。志治が居たら席が離れた所へ案内するから。」
「ありがとうございます。」
「ご馳走さまでした。」
「またのお越しをお待ちしています。」
店を出ると吏都が「珈琲もケーキも美味しかったね!」「まさかおじさんの友達のお店だったとは!」「尋那の白シャツに黒のエプロン姿カッコ良かったな!」等と1人で喋っている。祐は「うん。」と空返事しか出てこない。しかし、吏都がドナーカードを持っている事が気になって重い口を開いた。
「‥なぁ、さっき見えたんだけど、お前ドナーカード持ってんの?」
「え?あ、うん。」
「何で?」
「何で?うーん‥私に出来る事で誰かが助かったら嬉しいから?」
「‥。」
「ほら、提供する時って私は死んじゃってるでしょ?私の体に残ってても無意味なのに、誰かの一部になれたらその人の時間は動き出すんだよ。何かいいなって。」
「‥凄いな、お前。」
「え?そうかな?」
吏都は、はにかんだ笑みを見せた。
「病院で‥悪かったな。」
「え?」
「むしゃくしゃしてひどい事言ったろう。」
「ううん。私こそ叩いちゃってごめん。」
「‥めっちゃ痛かった。」
「だからごめんって!」
祐が病院で険悪になった事を謝ると吏都も謝った。わだかまりが解けると吏都は笑みを浮かべて「早く帰ろう、明日香さんが心配するよ。近道通ろっか!」と祐の腕を引っ張り来た道とは違う人通りの少ない道に歩みを進めた。すると2人の前に蜂谷が現れ、驚いた吏都と祐は足を止めた。
「へぇ。病院でそんな事あったんだ。」
「蜂谷っ!?」
「こんにちは、吏都ちゃん。」
「っ!?」
「何で此処にいんだよ?」
「ちょっと話があってさ。」
「話なら明日学校で聞くから。」
「嫌だな。吏都ちゃんに聞いてほしいんだよね。」
「私?」
「祐の事知りたくなぁい?」
「え?」
吏都の体がビクリと震えると祐が庇うように吏都の前に立ちはだかるが、蜂谷は吏都の顔を覗き込み不敵な笑みを見せた。
「何食うか決めた?」
「うん。尋那のバイト先の喫茶店の珈琲が美味しいんだって!ケーキもお勧めって言ってたんだ!」
「ふーん。」
「たす君甘いの好きでしょ?」
「お前、甘いの得意じゃないだろ?」
「あれ?覚えててくれたんだ?そこのお店のバスクチーズケーキがさっぱりしてて美味しいんだって!」
喫茶店の最寄りのバス停で降りて店の前にたどり着く。吏都は店のドアを開けて中に入るが、祐はドアの前で立ち止まっている。「どうしたの?早く!」と吏都が祐の腕を引っ張り中へ誘導する。「待てって!」と祐は中に入るのを躊躇しているが、強引に吏都に引っ張られて店内に入った。するとカウンターに居た店主が2人に気付き声を掛ける。
「いらっしゃいませ。2名様ですか?」
「はい。」
「祐?」
「‥。」
「あれ?おじさん?」
「2人で来るなんて珍しいな。」
「おじさん、この店知ってたんだね!」
「ああ。店主とは腐れ縁でね。」
「幼馴染みなんですよ。久しぶりだね、祐。」
「‥お久しぶりです。」
「席に案内するよ。テーブルでいいかな?志治が近くに居るとゆっくり話が出来ないでしょ?」
「おい!俺はそんなにデリカシーに欠けてるか?」
「尋那さん、ご案内お願いします。」
「無視すんな!」
「あっ、吏都来てくれたんだ!」
「うん!美味しい物には目がないので。」
「ふふ。こちらにどうぞ。」
他のテーブル席を片付けていた尋那がカウンターに戻ってくると吏都と和気あいあいと話をしている。その後ろで祐は気まずそうに立っていると祐の様子に気付いた尋那が話を切り上げカウンターから1番遠い席へ案内した。メニューをテーブルの真ん中に置くとお冷やを取りに戻って行った。
「何にする?」
「‥ウィンナー珈琲。」
「じゃあ私はブレンド。ケーキは?」
「リンゴのキャラメルケーキ。」
「美味しそう!私はバスクチーズケーキにしよう。」
「お決まりですか?」
尋那がお冷やを持ってくると、吏都が注文をした。その様子を志治がチラチラとカウンターから眺めている。
「気になる?あっ!食べない方がいい物あったか?」
「いや、大丈夫だ。普段は色々規制されて我慢してるんだ。外でくらい見て見ぬふりをしてやらんとな。アイツもやっと前向きになれたんだ。自分で加減は出来るだろう。」
「そうか。祐が此処に来るの何年ぶりだろう?まだこの店にスイーツを置く前だった気がするな。」
「小学生だったか?俺以外とこの店に来るようになるとはな。」
「はは。女の子と2人で来れる歳になったのか。大きくなったね。」
「‥早く堂々と恋愛させてやりたいよ。」
「祐はずっと頑張っているんだ。大丈夫だよ。」
「そうだな。‥さあ、張り込み行ってくるか。」
「今から仕事?ご苦労様。珈琲のテイクアウトどうする?」
「頼む。それから祐のテーブルの分も一緒に会計してくれ。」
「お父さん、カッコいい。」
「うるせぇ!お父さんって言うな。」
志治が2人に見つからないようにこそこそと会計を済ませてテイクアウトの珈琲を受けとると店を出て行った。店主はてきぱきと2人の注文を用意していく。それを尋那が2人の元へ運んできた。
「お待たせしました。」
「ありがとう尋那。うわぁ、美味しそう!」
「ごゆっくりお召し上がり下さい。」
尋那は2人に会釈をすると自分の持ち場へ戻って行った。「食べよう!」と吏都の号令で2人で珈琲を飲んだ。祐がウィンナー珈琲を飲んでテーブルに置くと吏都が祐を見てクスクス笑っている。「何だよ?」と不思議そうに聞くと「クリームついてるよ。」と吏都が笑った。テーブルの窓越しに映る自分の顔を見ると、鼻の下に白い髭のようなクリームがついていた。「笑うなよ!」と祐は恥ずかしそうに手で口を拭おうとすると、吏都は「ダメ!」と祐の口元に持っていった手を握って阻止すると紙ナプキンで祐の口元を拭いた。吏都が「取れたよ。」と祐に笑顔を向けるが祐との距離が近くなっていたことに気付き、急に恥ずかしくなり慌てて椅子に座り「ナプキン置いておくね。」とはぐらかした。2人は気まずい空気を払拭しようとケーキに口を運ぶ。「美味しい!」「うま。」2人で同時に同じ感想を発していた。
「ねぇ、チーズケーキとキャラメルのケーキ1口交換しよ?」
「は?」
「お願い!たす君のケーキも気になるの!」
「‥分かったよ、はい。」
祐がケーキの乗った皿を差し出すと吏都が「ありがとう。」と満面の笑みを見せる。幸せそうにケーキを食べる吏都を見ると自然と祐の顔が綻んだ。「たす君も食べてみて!」と吏都が自分のケーキを差し出す。吏都の食べかけを食べる行為を想像するだけで恥ずかしくて顔が熱くなるのが自分で分かる。「俺はいいよ。」と赤らめた顔を見られないように祐は窓の方を向いた。すると吏都が急に「ヤバい!」と慌てた声を出したせいで、祐は「は?」と吏都の方を振り返った。その瞬間、吏都が1口分フォークに刺してあった自分のケーキを祐の口に入れた。「ヤバいくらい美味しいでしょ?」と吏都が微笑んで尋ねてくるが、吏都から食べさせられたのが恥ずかしくて味も分からないまま飲み込んだ。祐は「強引だな!」と何とか言葉を紡ぎ平然を装った。吏都は「美味しい物は分かち合いたいもん!」とくしゃりと笑った。そんな2人の楽しそうな様子を尋那はカウンターから眺めていた。
「楽しそうですね。」
「珍しいですね。尋那さんがお客様に関心持つのは。」
「いえ、あの女の子私の友達で。‥私が連れてきてあげたかったから。」
「そうでしたか。」
「すいません、変なこと言って!忘れてください。」
「いえ。‥来月は新作のケーキを入荷する予定です。その時はお友達と来てください。尋那さんが第1号で食べて頂けるように手配しておきますから。」
「ありがとうございます。」
少し寂しそうに本音を漏らす尋那に店主がそれとなく励ました。祐と吏都がケーキを食べ終わると吏都が「ご馳走さまでした。帰ろうか。」と席を立つ。祐も「おう。」席を立つと2人て会計に向かった。祐が財布を出すと割り勘にしようと吏都も財布を出して提案した。祐が「いらない。今日はあの時の借りを返すつもりだったし。」と吏都に財布をしまわせようとするが「付き合ってってお願いしただけだから。」と吏都は引かず財布を開いた。店主が「志治からお代頂いたから。」と2人に伝えると、「えー!おじさんに気を遣わせちゃったな。」と吏都が申し訳なさそうな顔をしている。「祐の楽しそうな姿を見て喜んでいたし、素直にご馳走になったらいいんですよ。」と店主が吏都を諭した。「たす君、おじさんにご馳走さまでしたって伝えてね!」と念を押されると祐は「うん。」と頷いた。しかし、祐は先程吏都が財布を開いた時にチラリと見えたドナーカードが気になって頭の中が困惑していた。
「美味しかったです。また来ます。」
「ぜひ、お待ちしています。来月には新作のケーキの入荷予定です。入荷したらまたいらしてください。尋那さんに伝えておきますので。」
「えっ!楽しみです!尋那がバイトお休みの日に一緒に来ようね!」
「うん。」
「祐もまたいつでも来てね。志治が居たら席が離れた所へ案内するから。」
「ありがとうございます。」
「ご馳走さまでした。」
「またのお越しをお待ちしています。」
店を出ると吏都が「珈琲もケーキも美味しかったね!」「まさかおじさんの友達のお店だったとは!」「尋那の白シャツに黒のエプロン姿カッコ良かったな!」等と1人で喋っている。祐は「うん。」と空返事しか出てこない。しかし、吏都がドナーカードを持っている事が気になって重い口を開いた。
「‥なぁ、さっき見えたんだけど、お前ドナーカード持ってんの?」
「え?あ、うん。」
「何で?」
「何で?うーん‥私に出来る事で誰かが助かったら嬉しいから?」
「‥。」
「ほら、提供する時って私は死んじゃってるでしょ?私の体に残ってても無意味なのに、誰かの一部になれたらその人の時間は動き出すんだよ。何かいいなって。」
「‥凄いな、お前。」
「え?そうかな?」
吏都は、はにかんだ笑みを見せた。
「病院で‥悪かったな。」
「え?」
「むしゃくしゃしてひどい事言ったろう。」
「ううん。私こそ叩いちゃってごめん。」
「‥めっちゃ痛かった。」
「だからごめんって!」
祐が病院で険悪になった事を謝ると吏都も謝った。わだかまりが解けると吏都は笑みを浮かべて「早く帰ろう、明日香さんが心配するよ。近道通ろっか!」と祐の腕を引っ張り来た道とは違う人通りの少ない道に歩みを進めた。すると2人の前に蜂谷が現れ、驚いた吏都と祐は足を止めた。
「へぇ。病院でそんな事あったんだ。」
「蜂谷っ!?」
「こんにちは、吏都ちゃん。」
「っ!?」
「何で此処にいんだよ?」
「ちょっと話があってさ。」
「話なら明日学校で聞くから。」
「嫌だな。吏都ちゃんに聞いてほしいんだよね。」
「私?」
「祐の事知りたくなぁい?」
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