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迷子の迷子のDK譚
最初のボスを倒せたくらいで強くなったと勘違いするのは傲慢
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「もう村に帰りたいです」
「ダメです。時間の無駄遣いは許しません」
あの村から離れて、三日目に突入した俺たちは、未だに森の中を進んでいた。
エル曰く、迷ってはいないとのことだが……正直、あんまりコイツをアテにしたくない。
「あ、出番ですよ!お得意のハエトリくんです!」
「別に得意ってわけじゃあ……ねぇよ!」
先に貰っていた方の一般的な剣で、ハエトリ君の頭を斬り飛ばす。
最初は斬ることにも苦労していたが、今ではもう勝負にもならない。
「今日は竜種に遭わずに済むといいですね!」
「こう、なんか、感知能力とか、つけてくれないの?」
「甘えですか?甘えましたね?では、私的制裁のお時間です!」
「無くていいですごめんなさい」
竜種というのは、そのままドラゴン系のモンスターのことだ。
村にまでやってくることはないらしいが、この森には最大で20mにも達する巨大なドラゴンがいる。
縄張りを荒らさない限りは温厚らしいが、ちょっと足を踏み入れただけで十分マジギレ案件らしいという、実に短気なドラゴンだった。
この森には、やはり虫や植物のようなモンスターが多い。
それに次いで、獣のようなモンスターが多いか。
「ほらほら、すぐ隣に『森男』さんです!」
「えぇい、クソ!少しはお前も戦えよ!」
「女の子を前線に立たせるとか、正気ですか!?」
「散ッッッ々制裁加えてくる奴は女の子とは言わねぇよバカヤロウッ!」
バキッ。
「ほらやった!今やった!」
「野郎扱いが気に入らなかったので」
こんな調子の俺たちに、森男……まぁ、簡単に言うと人型をした人食い植物なわけだが、若干引いてる気がする。
知能は人間には遠く及ばないはずなんだが、それでもドン引きするぐらいという事か。
病んできた。
「さぁ、教えたとおりにやってくださいな!」
「分かった分かった!すぅー……『火竜斬』!」
俺がそう叫びながら剣を振ると、その刃が紅く輝き、炎に包まれる。
森男はそれを避けることも、防ぐこともままならず、肩から下腹部までを両断。
呻くことすらも出来ず、傷口から燃え上がった森男は、数分と経たずに黒炭へと変質してしまった。
「うーん、ユーマくんって魔法の飲み込み早いですね。ムカつくくらいに」
「恐悦至極だよっと。さっさと使えるようにならないと、こっちだって必死なんだから」
俺は少しでも戦えるようにと、エルに魔法について教えてもらっている。
エルに魔法を使わせようとするとクソほど渋い顔をして結局使ってくれないが、教えを乞うとイキイキとして教えてくれる。
どうも、俺が自分から強くなろうとするのはとにかく嬉しいらしい。
今しがた使った技は、その応用。
森男は俺よりも太い胴回りだが、肉や骨ではなく生木がよじり合わさったような硬さだ。
真っ当に斬ろうとしても俺の腕とこの剣では無理だが、高熱で焼き切ってしまえばこんな調子というわけだ。
「もっと早くに教えていればよかったですね。あのムカデも、今のユーマくんなら楽勝ですよ!」
「それはねぇよ。……でも、魔王とやらは、まだまだこれじゃあ足りないくらい強いんだもんな」
真正面からのタイマンなら、あのムカデすら倒せると豪語するエル。
そして、そんなエルが俺をこの世界に連れてきてまで倒させようとする魔王。
俺はいつになったらうちに帰れるのだろうか……。
「あ、見てください!」
「んあぁあ?」
ふと見上げると、そこには先ほど話題に上がった竜種がいた。
「先日と同一個体でしょうか。一口で食べられちゃいそうですね!」
「そうだなぁ。ところでエル、なんでこいつはこっちをガン見してるんだ?」
「さぁて何故でしょう?縄張り荒らしたから目を付けられているのでは?」
「そっかぁ。うーん、ここも縄張りかぁ」
「それじゃあ、いきますよぉ?せーのっ」
『ギャアアアアアアアアアアッッッ!!』
拝啓、お父さんとお母さん。
僕は、今日も命からがら逃げているわけでして。
以前の僕よりも、幾分体が強くなったと思われ。
体育の成績も、4以上は堅いと思われ。
でも、このままでは僕は星になってしまいそうです。
「索敵しっかりしやがれよオオオッ!!」
「私のせいにばっかりしないでくださーい!」
お父さん、お母さん。
これがゲームだったなら、敵は少しずつ強くなりますよね?
でも、現実はこんなにも過酷でした。
お願いですから、今すぐに軍隊を連れて僕を助けに来てください。
特撮映画に出てきそうなモンスターに追われながら、俺は病んだ。
「ダメです。時間の無駄遣いは許しません」
あの村から離れて、三日目に突入した俺たちは、未だに森の中を進んでいた。
エル曰く、迷ってはいないとのことだが……正直、あんまりコイツをアテにしたくない。
「あ、出番ですよ!お得意のハエトリくんです!」
「別に得意ってわけじゃあ……ねぇよ!」
先に貰っていた方の一般的な剣で、ハエトリ君の頭を斬り飛ばす。
最初は斬ることにも苦労していたが、今ではもう勝負にもならない。
「今日は竜種に遭わずに済むといいですね!」
「こう、なんか、感知能力とか、つけてくれないの?」
「甘えですか?甘えましたね?では、私的制裁のお時間です!」
「無くていいですごめんなさい」
竜種というのは、そのままドラゴン系のモンスターのことだ。
村にまでやってくることはないらしいが、この森には最大で20mにも達する巨大なドラゴンがいる。
縄張りを荒らさない限りは温厚らしいが、ちょっと足を踏み入れただけで十分マジギレ案件らしいという、実に短気なドラゴンだった。
この森には、やはり虫や植物のようなモンスターが多い。
それに次いで、獣のようなモンスターが多いか。
「ほらほら、すぐ隣に『森男』さんです!」
「えぇい、クソ!少しはお前も戦えよ!」
「女の子を前線に立たせるとか、正気ですか!?」
「散ッッッ々制裁加えてくる奴は女の子とは言わねぇよバカヤロウッ!」
バキッ。
「ほらやった!今やった!」
「野郎扱いが気に入らなかったので」
こんな調子の俺たちに、森男……まぁ、簡単に言うと人型をした人食い植物なわけだが、若干引いてる気がする。
知能は人間には遠く及ばないはずなんだが、それでもドン引きするぐらいという事か。
病んできた。
「さぁ、教えたとおりにやってくださいな!」
「分かった分かった!すぅー……『火竜斬』!」
俺がそう叫びながら剣を振ると、その刃が紅く輝き、炎に包まれる。
森男はそれを避けることも、防ぐこともままならず、肩から下腹部までを両断。
呻くことすらも出来ず、傷口から燃え上がった森男は、数分と経たずに黒炭へと変質してしまった。
「うーん、ユーマくんって魔法の飲み込み早いですね。ムカつくくらいに」
「恐悦至極だよっと。さっさと使えるようにならないと、こっちだって必死なんだから」
俺は少しでも戦えるようにと、エルに魔法について教えてもらっている。
エルに魔法を使わせようとするとクソほど渋い顔をして結局使ってくれないが、教えを乞うとイキイキとして教えてくれる。
どうも、俺が自分から強くなろうとするのはとにかく嬉しいらしい。
今しがた使った技は、その応用。
森男は俺よりも太い胴回りだが、肉や骨ではなく生木がよじり合わさったような硬さだ。
真っ当に斬ろうとしても俺の腕とこの剣では無理だが、高熱で焼き切ってしまえばこんな調子というわけだ。
「もっと早くに教えていればよかったですね。あのムカデも、今のユーマくんなら楽勝ですよ!」
「それはねぇよ。……でも、魔王とやらは、まだまだこれじゃあ足りないくらい強いんだもんな」
真正面からのタイマンなら、あのムカデすら倒せると豪語するエル。
そして、そんなエルが俺をこの世界に連れてきてまで倒させようとする魔王。
俺はいつになったらうちに帰れるのだろうか……。
「あ、見てください!」
「んあぁあ?」
ふと見上げると、そこには先ほど話題に上がった竜種がいた。
「先日と同一個体でしょうか。一口で食べられちゃいそうですね!」
「そうだなぁ。ところでエル、なんでこいつはこっちをガン見してるんだ?」
「さぁて何故でしょう?縄張り荒らしたから目を付けられているのでは?」
「そっかぁ。うーん、ここも縄張りかぁ」
「それじゃあ、いきますよぉ?せーのっ」
『ギャアアアアアアアアアアッッッ!!』
拝啓、お父さんとお母さん。
僕は、今日も命からがら逃げているわけでして。
以前の僕よりも、幾分体が強くなったと思われ。
体育の成績も、4以上は堅いと思われ。
でも、このままでは僕は星になってしまいそうです。
「索敵しっかりしやがれよオオオッ!!」
「私のせいにばっかりしないでくださーい!」
お父さん、お母さん。
これがゲームだったなら、敵は少しずつ強くなりますよね?
でも、現実はこんなにも過酷でした。
お願いですから、今すぐに軍隊を連れて僕を助けに来てください。
特撮映画に出てきそうなモンスターに追われながら、俺は病んだ。
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