幸福と悪夢と2人の花嫁

KEN

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最終話 ハッピーエンド

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最終話

2人の花嫁

家に帰ると予算と戦いながら結婚式場の手配や来客者のリスト  引き出物などで喧嘩をしながらも楽しく決めて行った
結婚式
6月23日 木曜日 大安
時間 13:00
場所 神戸キリスト教会
披露宴会場 神戸プリンセスホテル
出席者 38名
引き出物 ブライダルギフト10800円
で決定した
5月下旬に案内状を出した
6月に入り今日は衣装合わせの日だ
玲香も美鈴も朝からソワソワして落ち着かない様子だ
結婚衣装のレンタル店に入った俺達は凄い数のウエディングドレスに驚いた
俺はグレーの燕尾服と白のスラックスとグレーの革靴で決まった
問題はウエディングドレスだ
美鈴は肩から胸上まで開いたウエディングドレスが良いと言う
玲香はシンプルでも白い薔薇の花があしらわれたウエディングドレスが良いと言う
お互い一歩も引かない
俺は未来の旦那として一喝した
ウエディングドレスは玲香が決めたもの
お色直しのドレスは美鈴が決めたもの
それで良いな
健一 カッコいい
と美鈴
健一君 男らしい
と玲香
俺に惚れ直したように見つめている
その視線に俺は照れ笑いをした
結婚式の一週間前の夜
健一 
健一君
と俺を手招きする彼女
お腹触ってと言う
俺は言われるままにお腹に手を当てた
すると
トン トン
と手に当たる感触がする
ねぇ 赤ちゃんが蹴ってるでしょ
玲香が微笑む
元気 いっぱいだよ
美鈴が微笑む
うん うん
と頷きながら俺だけが感動の涙を流していた
結婚式の3日前
美鈴と玲香はエステに午前中に予約を入れていた
健一 帰って来たら惚れ直すよ
と美鈴
健一君行ってきますね
と玲香は言ってタクシーに乗って行った
俺は有給をもらい披露宴の最終打ち合わせをしに電車でホテルに向かった
結婚式の最終打ち合わせは1時間程で終わった
注文していた結婚指輪を引き取りに神戸三ノ宮駅で降りた
偶然 駅前で廣瀬さんを見つけた
廣瀬さんの隣には彼氏と思われる歳上の男性がいた
廣瀬さんは彼氏と腕を組み幸せいっぱいの笑顔で歩いている
幸せそうに彼氏と歩く廣瀬さんの姿を見て安心をした
宝石店で結婚指輪を受け取ると家路についた
家に帰るとエステから戻った美鈴と玲香が出迎えてくれた
ただいまぁ
と言うと
おかえり どう 綺麗になったでしょ
と美鈴が言う
おかえりなさい
と玲香は微笑んいる
エステに行く前より見違える程美しくなっている
日本の美容技術の高さには驚いた
結婚式当日
彼女達は結婚式の準備のため11時前に家を出た
俺は12時前に鍵をかけ家を後にする
神戸キリスト教会の控え室で俺は着替えると花嫁の様子を見に隣の控え室を覗いた
そこにはマリア様のようにまばゆいばかりの花嫁の姿があった
彼女達は俺に気付き振り向くとウエディングドレスの裾を持ち
グルっと回り会釈をした
とても綺麗だよ
と言うと
ニコっと笑って見せた
13時
チャペルで結婚式が開演された
玲香と美鈴はお父さんと腕を組みバージンロードをゆっくり歩いて来る
お父さんの目には涙が滲んでいた
やがて花嫁は俺の横に並ぶ
事前に美鈴の名前を付け加えるように神父には伝えていた
神父が
新郎の俺に
新郎 健一 、あなたはここにいる玲香と美鈴を病める時も、健やかなる時も、
富める時も、貧しき時も、
妻として愛し、敬い、
慈しむ事を誓いますか?
俺は
ハイ
と答える
次に玲香と美鈴に
新婦 玲香と美鈴、あなたはここにいる健一を病める時も、健やかなる時も、
富める時も、貧しき時も、
夫として愛し、敬い、
慈しむ事を誓いますか?
と問う
玲香と美鈴は
ハイ
と恥じらいながら答える
次に結婚指輪の交換がされた
次に誓いのキスである
俺は彼女のベールを上げると
嬉し涙が溢れる彼女の唇に優しくキスをした
すると彼女が俺に抱きつき大声で泣いた
神父も微笑んで俺達を見ている
祝福に包まれた披露宴がつつがなく行われた
結婚式から4カ月後長女 美喜が生まれた
翌年 次女 愛音が生まれた
俺達は5人家族になったのだ
今でも 美鈴と玲香が喧嘩をする
すると決まって 美喜と愛音が
ケラケラ笑う
ママ面白いねぇ
と俺は言う
美喜と愛音には2人のママがいる事を知っているのだろう

                                                                      完

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