転生した俺、弱虫勇者の保護者(えいゆう)になりました

雪鵠夕璃

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第一章:神聖リディシア王国襲撃編

神使徒の力 ①

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…まじでなんでこうなった!? 俺はただよく分からん白い輪っかをお姫様に返しただけだ。なのに、契約?お姫様の主?【アグラスド・ヴェイン】? 情報が多すぎて俺の頭がパンクするぞ、クソ!!

『どうした?早く真実を言え。考える時間は充分に与えたはずだ』

…いや、まだ2分も経ってないです。

こいつは5分も待てないのか?よくそれで神の使徒とか名乗ってんな。神の使徒なら五分くらい我慢しろよ。こちとら、か弱き人間様だぞ。てか、お姫様は何してんだよ。お姫様が使役してるんだろ、この【アグラスド・ヴェイン】とかいう神の使徒様は。

『早く言え、人間』

めっちゃ急かして来るじゃん。なんなの?今、必死に考えてるだろ!俺は『障壁プロテクトなんて知らない』って言ったのに、お前が信じないから!本当に神の使徒かよ。無能すぎません? ただの人間の言ってることが『嘘か真か』分からないなんて。もう神の使徒やめた方がいいよ、この無能さん。お、なんか無能って分かったら怖くなくなってきたわ。

「そのぉ、一つだけアンタに聞いていいか?」

『ん? それは我の質問を答えるのに必要な事か?』

「あ、あぁ。とても必要なことだ」

少しでも話を引き伸ばす。そして、考える時間を増やす。

「アンタが神の使徒っていう証拠を見せてくれないか?」

『ほぅ。我を疑うか?人間』

微かに怒りを露わにした【アグラスド・ヴェイン】。俺はそれに怯えて足が震え始めるが、目にも見えない声だけ聞こえる存在に臆することなんてない。これはただの声。姿が見えなきゃ怖くなんてない。そうだ。怖くない。大丈夫、大丈夫。

「まぁな。亜久津家の家訓は『信じる前にまず疑え』だからよ」

この家訓は、母さんが詐欺で騙された事で、父が作った亜久津家のルールだ。他の人からすれば変かもしれないが、俺はむしろその家訓に何度も助けられてきた。というかそのおかげで、生まれてこの方、1度も騙されたことがない。仲良くもというか見たことも無い女生徒に告白された時も、クラスメイトに遊びに誘われた時も、最初は疑い、そして回避してきた。代わりに、何故か、友達が減ったが…

『まぁ、いいだろう。で、どうしたら我を神の使徒だと信じる?』

「んなの決まってるだろ。姿を見せろ」

『・・・は?』

「そこで呆けるか? そもそもさ、誰かと話す時に姿を見せないのって神の使徒以前に生き物としてどうなの? アンタが見下す人間様でも出来ることだぞ」

どうしよう。なんかテンパりすぎて煽りまくってるよね!? これ、殺されね?死んだよね?絶対死亡エンドじゃん!

『・・・アクツ・エイタ』

呆けていた【アグラスド・ヴェイン】が俺の名前を呼んだ。

あー、これは、『この世とお別れする準備は出来たか』って言われるんすね。そして食われて人生終了ですね。分かるとも。それしか思いつかねえもん!

『・・・貴様--そんなに我に喰われたいか?』

ほらー!予想通りの展開だよ!まじ最悪。

「はァ?喰われたいとか、馬鹿じゃねえの?てかよ、喰うなら姿見せろや、エセ使徒様よ」

止まらない煽り。誰かこの状況をどうにかしてください。とりあえず俺の口を押さえてください。誰か!じゃないと死ぬ。俺の人生がほんとに終わってしまう。 

『ククク...。いいだろう、お望み通り喰らってやる』

【アグラスド・ヴェイン】は微かに笑った。そして、俺の視界を白い光が染めた。否、この部屋全てを白が覆った。汚れ1つない綺麗な白。そこに次に塗られたのは丸い紅2つ。それはまるで瞳に似ていた。その丸い紅2つを中心にどんどんと色が足されていく。やがて、その色達は1つの人型シルエットを形作った。

そして、そこに現れたのは--

『人間、後悔はないな?』

細マッチョの背中から真っ黒な翼を生やし、
紅玉の瞳をした一人の男が宙に浮いていた。
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