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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
神使徒の力 ②
しおりを挟む『どうした、人間? 我の姿に恐れを抱いたか?』
目の前の男は俺を見て、そう告げる。
…なんだろう、予想と違って反応に困った。剣竜って言うもんだから、剣を生やしたドラゴンとか、剣のように鋭い角を生やしたドラゴンの姿を想像してたんだが、まさか人の姿だとは。
「いや、ドラゴンの姿で現れるものかと思ってさ」
『フッ。貴様は阿呆か? こんな狭い所で竜化すれば、城が崩れるだろう』
…ごもっともです。まさか、正論を言われるとは。確かにそうだけども。なんか腹立つ。
『そもそも、貴様に竜の姿なぞ見せるものか。人間《ヒト》一人喰らうくらいこの姿で充分だ』
【アグラスド・ヴェイン】は嘲笑を浮かべ余裕そうに告げる。確かに俺一人、喰らうくらい余裕だろう。なんせ、なんの力もない無力な一般市民様だからな!
「ふ、ふーん。俺に逆らうってのか?こいつの主様によ!」
俺は、立ち尽くすお姫様の手を掴み、こちらに引き寄せて、【アグラスド・ヴェイン】に脅しをかける。だが--
『・・・つまらぬな』
神使徒から返ってきたのは予想外の言葉だった。怒るわけでなく、泣き喚くことでもなく、呆れの一言。俺の行動にガッカリした反応を【アグラスド・ヴェイン】はした。
「い、いいか?俺がこいつの主ってことは、お前は俺の僕ってことだ!それがどういう意味か分かるよな?」
こんなチンピラみたいな脅しをまさか自分がする時が来るなんて…。 てか、テンパりすぎてなんでこんなことしてんだ、俺は!
『貴様は愚かで醜い人間だな、アクツ・エイタ』
「愚かで醜くても死にたくねえんだよ!無力で無知な俺が命乞いして何が悪い!」
売り言葉に買い言葉とはよく言ったものだが、相手は選ぶべきだと俺は学んだ。こんな奴に勝てるわけないし、てか命乞いが醜いのは当たり前だろう。
『我が喰らう価値もない。愚かな貴様には屍がお似合いだ』
【アグラスド・ヴェイン】はそう告げ、右の掌を俺に向けた。
「お、脅しのつもりか!?」
無意識にお姫様を盾にした瞬間、
『本当に醜いな、アクツ・エイタ』
憐れむような一言と共に俺とお姫様の視界を黒い炎が覆った。
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