58 / 117
第一章:神聖リディシア王国襲撃編
襲撃
しおりを挟むリンゲルの魔法により、先代導き手と勇者の過去に飛び、そこで彼女らの結末を見た俺は、無数の文字が彫られた壁に背中を預けて、身を縮めていた。
「どうだい? 導き手を降りないと言ったことに後悔はあるかい? 今ならまだ、その言葉を撤回できるよ」
身を縮める俺に、リンゲルがそう尋ねてくる。確かにアレを見て、導き手をやろうなんて思う人はいない。でも・・・俺は死ねない。他の導き手と違い、俺は死なせてもらえない。というのも、□□□という聖霊がいるからだ。どうやら、導き手事に能力は違うらしい。雪鵠來薇は戦闘メインの聖霊を有していた。ただ、そこで疑問が浮び上がる。なぜ、俺は7体の聖霊を有しているのか。なんとなく心当たりがあるのはひとつだけ。
『貴様のせいで、【召喚指輪】が三つ効果を失った』
エルケイスが俺に告げた言葉だ。俺が有り得ると思うのはそれだけだ。というのも、情報が少なすぎる。だから、確証はない。
「は、は・・・。降りられるなら、降りたいさ。でも、それが不可能って分かっちまった以上、【導き手】をやるしかねえだろ」
俺は震える体を誤魔化して答える。
「そのセリフを引き攣った表情で言われると、不安でいっぱいですが・・・まぁ、いいです。そろそろ玉座の間へ戻りましょうか」
「あ、あぁ。分かった」
俺はまだ恐怖に震える体を起こし、リンゲルと共に部屋を出ようとする。
その時だ。
リンゲルの様子が変わった。別に見た目が変わったとかでさない。まるで、何かを警戒しているみたいに。 俺はそれが気になり、
「おい、どうし--」
声をかけたのと同時に、目の前のリンゲルが真横へと吹き飛んだ。自ら吹き飛んだのではなく、誰かの手により吹き飛ばされた。なぜ、一般人の俺が、そんな考えを即座に頭に浮かべたのか。
それは簡単だ。
リンゲルがさっきまでいた場所。
そこに1人の男が立っていたからだ。
「・・・っ」
俺の前に立つ男はどう見ても同じ人間には見えなかった。いや、違う。同じ人間だと思いたくない。あまりにも異質だ。
見た目そのものは俺と同じで人間。艶のある銀色の髪に俺よりも黒い瞳。ラノベやアニメに出てきそうな典型的な厨二病の特徴(偏見)をバッチしとらえている。服装は高校の制服に近い見た目。右手首に銀のリング、首には十字架のネックレスを身につけている。
「・・・ふぅ」
男は小さく息を吐いた後、俺の方を見る。そして、口元に笑みを刻み、
「なぁ、お前」
ドスの効いた声が発せられる。
「お前だよ、お・ま・え」
返事をしない俺に、銀髪の青年はこちらを指さして言葉を発する。
「はぁ。だんまりかよ」
銀髪の青年は溜息をつき、俺の髪を掴む。そして引き寄せる。髪がちぎれるんじゃないかという痛みに思わず苦鳴が漏れる。その声に、
「んだよ。声出せるんじゃねえか」
苛立ちの声を聞き、続けて--俺の体に浮遊感と激痛。息が止まるかと思うくらいの強烈な衝撃に、呼吸が乱れる。どうやら、壁に背中を打ち付けたらしい。
「・・・かはっ、ゴボッ・・・ガハッ!?」
咳き込む俺の腹部に突き刺さる強烈な蹴りの一撃。
「ひぐぅ・・・ぁあがっ」
あまりの痛みに俺の口から漏れるのは呻きだけ。そんな俺に構わず、
「お前に聞きてえ事がある」
銀髪の青年は、
「この女がどこにいるか、知ってるか?」
懐から取り出された紙切れ--シエラの似顔絵が描かれた紙切れを見せて、尋ねてきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~
かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。
そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。
しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!
命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。
そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。
――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
テンプレ最強勇者に転生したら魔女が妻になった
紡識かなめ
ファンタジー
七つの大陸、それぞれを支配する“七大魔女”──
魔力あふれる世界《アルセ=セフィリア》は、魔女たちによる統治と恐怖に覆われていた。
だが、その支配に終止符を打つべく、一人の男が立ち上がる。
名はルーク・アルヴェイン。伝説の勇者の血を引く名家の出身でありながら、前世はただの社畜。
高い魔力と最強の肉体、そして“魔女の核を斬ることのできる唯一の剣”を手に、彼は世界を平和にするという使命にすべてを捧げていた。
──しかし、最初に討伐した《闇の魔女・ミレイア》はこう言った。
「あなたの妻になります。魔女の掟ですから」
倒された魔女は魔力を失い、ただの美少女に。
しかもそのまま押しかけ同居!? 正妻宣言!? 風呂場に侵入!?
さらには王女や別の魔女まで現れて、なぜか勇者をめぐる恋のバトルロイヤルが始まってしまう!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる