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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
強者の蹂躙
しおりを挟む「・・・うぎゅ・・あぶァ」
グリグリと銀髪の青年のつま先が腹部を突き破らんとねじ込まれる。その度に俺の口から呻きが漏れる。俺は助けを乞うように、目の前の青年を見る。それに対し、
「ちっ。 男のくせに命乞いとは情けねえなぁ。お前、恥ずかしくねえのか?」
銀髪の青年は舌打ちをし、足を振り上げて再び俺の腹部へとつま先を突き刺した。
「おぶぅびぇっ!?」
反射的に胃液を含めた消化しきれてない食べ物がドロドロとした状態で外へと吐き出された。
「汚たねえなぁ」
銀髪の青年は苛立ちの篭もった声で告げ、何度も何度も蹴りを腹部に放ってくる。その度に胃液等が床へと撒き散らされる。
「ぶぉびぇ!?」
「さっきから気持ち悪い声上げてんじゃねえ。俺が聞きてえのはこの女の居場所だ。お前と遊んでるほど暇じゃねえんだよ!!」
その一言と共に強烈な蹴りが顔面に放たれた。それに伴い、壁が破壊され、俺は仰向けで廊下へと投げ出される。あまりにも強烈な一撃に、俺の視界が歪む。
「その面をグチャグチャにされたくなきゃ、さっさと答えろ。まわりくどい答えは要らねえ、YESかNOだ」
銀髪の青年が最後の忠告を告げる。これを拒否したら最後、俺はグチャグチャの肉塊にされる。元が人なのかわからないほどの肉塊に。
「・・・ひゅぃ」
俺の口から漏れたのは肯定でも否定でもなく、空気音。浮き輪に空く穴を塞いでいた栓が抜けたような音。全く情けなくて惨めな間の抜けた音だ。
「で? この女のこと知ってるか?」
銀髪の青年は、シエラの似顔絵が描かれた紙切れを突きつけて再度問い掛けてくる。答えなくては死が待つ。嘘をついた所で直ぐにバレるに決まっている。俺は昔から嘘が苦手だから。なら、俺がとる行動は一つ。
自分だけが助かる最低最悪の行為。きっと誰もが嫌悪し、侮蔑するだろう行為。でも、これしか方法はない。この場を切り抜ける唯一の方法。
「知ってるなら、首を縦に振れ」
その言葉に、俺は首を縦に振った。
これが、俺に出来る唯一の手段『他人を売る』。
「ハッ。あっさり売るんだな、【導き手】--いや、
アクツ・エイタ」
銀髪の青年が告げた一言。
「・・ぉれの・・・まえ」
教えたはずの名前。一言も俺の名前を言ってない。なのに、何故こいつは俺の名前を知っている? それに、なんだその・・・俺がシエラを売る事が分かっていたかのような言い方は。最初から、俺はこいつの手のひらで踊らされていた?
「んじゃ、軽い暇つぶしも終わった事だし、さっさと終わらせるかぁ」
銀髪の青年はそう言って、こちらへと手をかざした。すると、俺の全身を囲うように立方体の透明な壁が作り出された。突然の出来事に混乱する俺の耳に聞こえた一言、
「【虚空断繋創】」
という謎の呪文。そして、
「【虚空断ぶァ!?」
かざしていた手を握--
『そいつを殺るのは我だ、雑魚』
銀髪の青年の腹部を背後から腕で貫く聞き覚えのある男の声がした。
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