78 / 117
第一章:神聖リディシア王国襲撃編
禁忌種悪魔と呼ばれる者たち⑤
しおりを挟む
「・・・ぁ」
脱力感が身体に伝わり、どこか間の抜けた声が漏れた。自身の胸に突き刺さる女性の細い右腕。何故か痛みはなくて、ただただ脱力感を感じるだけ。心の中にあった何かが抜けていく感覚。例えるなら体を支えるために必要な全身の骨が抜け落ちたかのような。このまま右腕を抜かれたら、私は地面に倒れて起き上がれないだろう。それも当然で、胸を突き刺されているのだ。これで死ななかったら、ただの化け物か、もしくは奇跡。
「そろそろ摘出出来そうか? 【冥姫】」
「あと少し…っと言いたい所なんだけど、おかしいわね」
「おかしい?」
【冥姫】が疑問を抱く。その反応に【刻夭】も疑問を抱く。
「えぇ、おかしいの。彼女から【蒼聖英雄】の力を感じるのに何処にも見当たらない」
「はぁ? なに馬鹿なことを。ふざけるのも大概にしてくださいよ」
馬鹿馬鹿しいと【刻夭】は呆れたように言う。しかし、その発言に何も返してこない【冥姫】の様子に嘘じゃないのではないかと不安になる【刻夭】。
『ふっ。滑稽だな、悪魔共』
そんな彼らを嘲笑うかのように声が響いてきた。全員が視線を声のした方へと向けると、そこには、
『【蒼聖英雄】を貴様ら如きが奪えると思ったのか?』
桜髪の少年、否。審判神エルケイスがいた。彼は右手に白い輝きを放つ剣と、左手に一冊の分厚い本を持っている。
「はァ? クソガキがなんのようだよ?」
【鬼克】はエルケイスの元に歩み寄り、頭を掴んだ。その瞬間、
『【触れるな】』
エルケイスの頭を掴んでいた片腕が宙を舞った。人間とは違う黒い血がビシャッと床に撒き散らされる。
『ちっ。相変わらず貴様らの血は汚いな』
とても不快な顔をして告げる。彼の瞳と言動には、【鬼克】達を心の底から嫌悪しているのが聞かなくても分かる。
「・・・んめぇ!俺の右腕をぉぉぉぉ!!」
【鬼克】が怒りを露わにする。それに連れて、ほっそりとしていた体が豹変していく。ベキボキと音を上げる度に、筋肉が膨れ上がり、額から角が生えていく。さらに歯が鋭い牙へと変わり、爪が鉤爪と化す。そして、全ての変化を終えた頃には、ほっそりとした貧弱そうな男ではなく、一体の鬼がそこにいた。
『その姿になれば僕に勝てると思ったか?』
「はっ! 当たり前だろうが!後で命乞いしても遅いぜ。ヒャハハ・・・ぁえ?」
狂った殺戮者の笑い声をあげる【鬼克】が何が起こったのか分からない反応をする。それはその場にいたエルケイスとゼノ以外の全員が同じだった。
『くくく、はははは!! さすがは我が主!』
「・・・ぅぐ」
【戎空】を踏みつけながら、ゼノは自分が仕えるエルケイスを称賛する。
『何が起こったか、分からないだろうな。まぁ、もう死ぬ貴様に教えた所で意味無いか』
エルケイスは本を開き、
『【神界裁書】ページ6』
ページ数を読み上げる。するとひとりでに指定されたページまで捲られていく。そして、
『【醜悪者に死を】』
そう一言発した瞬間、ギチギチと音が鳴り響く。その音は【鬼克】から発せられ、
「・・・ぁぎゃ」
ブシャッと黒血を撒き散らしながら体がズタズタに切り裂かれた。
脱力感が身体に伝わり、どこか間の抜けた声が漏れた。自身の胸に突き刺さる女性の細い右腕。何故か痛みはなくて、ただただ脱力感を感じるだけ。心の中にあった何かが抜けていく感覚。例えるなら体を支えるために必要な全身の骨が抜け落ちたかのような。このまま右腕を抜かれたら、私は地面に倒れて起き上がれないだろう。それも当然で、胸を突き刺されているのだ。これで死ななかったら、ただの化け物か、もしくは奇跡。
「そろそろ摘出出来そうか? 【冥姫】」
「あと少し…っと言いたい所なんだけど、おかしいわね」
「おかしい?」
【冥姫】が疑問を抱く。その反応に【刻夭】も疑問を抱く。
「えぇ、おかしいの。彼女から【蒼聖英雄】の力を感じるのに何処にも見当たらない」
「はぁ? なに馬鹿なことを。ふざけるのも大概にしてくださいよ」
馬鹿馬鹿しいと【刻夭】は呆れたように言う。しかし、その発言に何も返してこない【冥姫】の様子に嘘じゃないのではないかと不安になる【刻夭】。
『ふっ。滑稽だな、悪魔共』
そんな彼らを嘲笑うかのように声が響いてきた。全員が視線を声のした方へと向けると、そこには、
『【蒼聖英雄】を貴様ら如きが奪えると思ったのか?』
桜髪の少年、否。審判神エルケイスがいた。彼は右手に白い輝きを放つ剣と、左手に一冊の分厚い本を持っている。
「はァ? クソガキがなんのようだよ?」
【鬼克】はエルケイスの元に歩み寄り、頭を掴んだ。その瞬間、
『【触れるな】』
エルケイスの頭を掴んでいた片腕が宙を舞った。人間とは違う黒い血がビシャッと床に撒き散らされる。
『ちっ。相変わらず貴様らの血は汚いな』
とても不快な顔をして告げる。彼の瞳と言動には、【鬼克】達を心の底から嫌悪しているのが聞かなくても分かる。
「・・・んめぇ!俺の右腕をぉぉぉぉ!!」
【鬼克】が怒りを露わにする。それに連れて、ほっそりとしていた体が豹変していく。ベキボキと音を上げる度に、筋肉が膨れ上がり、額から角が生えていく。さらに歯が鋭い牙へと変わり、爪が鉤爪と化す。そして、全ての変化を終えた頃には、ほっそりとした貧弱そうな男ではなく、一体の鬼がそこにいた。
『その姿になれば僕に勝てると思ったか?』
「はっ! 当たり前だろうが!後で命乞いしても遅いぜ。ヒャハハ・・・ぁえ?」
狂った殺戮者の笑い声をあげる【鬼克】が何が起こったのか分からない反応をする。それはその場にいたエルケイスとゼノ以外の全員が同じだった。
『くくく、はははは!! さすがは我が主!』
「・・・ぅぐ」
【戎空】を踏みつけながら、ゼノは自分が仕えるエルケイスを称賛する。
『何が起こったか、分からないだろうな。まぁ、もう死ぬ貴様に教えた所で意味無いか』
エルケイスは本を開き、
『【神界裁書】ページ6』
ページ数を読み上げる。するとひとりでに指定されたページまで捲られていく。そして、
『【醜悪者に死を】』
そう一言発した瞬間、ギチギチと音が鳴り響く。その音は【鬼克】から発せられ、
「・・・ぁぎゃ」
ブシャッと黒血を撒き散らしながら体がズタズタに切り裂かれた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~
かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。
そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。
しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!
命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。
そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。
――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
テンプレ最強勇者に転生したら魔女が妻になった
紡識かなめ
ファンタジー
七つの大陸、それぞれを支配する“七大魔女”──
魔力あふれる世界《アルセ=セフィリア》は、魔女たちによる統治と恐怖に覆われていた。
だが、その支配に終止符を打つべく、一人の男が立ち上がる。
名はルーク・アルヴェイン。伝説の勇者の血を引く名家の出身でありながら、前世はただの社畜。
高い魔力と最強の肉体、そして“魔女の核を斬ることのできる唯一の剣”を手に、彼は世界を平和にするという使命にすべてを捧げていた。
──しかし、最初に討伐した《闇の魔女・ミレイア》はこう言った。
「あなたの妻になります。魔女の掟ですから」
倒された魔女は魔力を失い、ただの美少女に。
しかもそのまま押しかけ同居!? 正妻宣言!? 風呂場に侵入!?
さらには王女や別の魔女まで現れて、なぜか勇者をめぐる恋のバトルロイヤルが始まってしまう!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる