転生した俺、弱虫勇者の保護者(えいゆう)になりました

雪鵠夕璃

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第一章:神聖リディシア王国襲撃編

神の提案

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 黒血をぶちまけてバラバラの肉塊とかした【鬼克】。禁忌種悪魔の一人を赤子をひねる様にあっさりと殺した。これが神。この世を生み出した世界神に創られし神々の1人。人や悪魔なんて指先一つで殺せる存在。気分で世界を滅ぼせる存在。そんな存在が戦場に現れた。私たち、人側の味方として。

『勘違いするな。僕は人でもましてや悪魔の味方でもない。貴様に宿る【蒼聖英雄ティアール・メノ】は【十二神ユノ・ザード】の神力を注ぎ込むことで創造された代物だ。それが汚らわしい悪魔共の手に渡るのが気に食わないから、貴様を守ったのに過ぎない』

本を閉じたエルケイスは私を見てそう答える。その瞳には揺らぎがなく、嘘の感情は1ミリも存在しなかった。今更だが、私の中にそのナントカという力が宿っていたなんて知りもしなかった。余りに現実味がなくて信じ難いが、あの悪魔達がこんな一般市民の私を襲ってきた事を考えると、なんとなく絶対に嘘とは言えない。

『・・・所で、まだ【蒼聖英雄ティアール・メノ】が目覚めてないようだな。前の所有者と違って使い物にならないとは理解していたが、これ程とはな』

「・・・っ!?」

落胆の感情ではない。エルケイスの言葉は、最初から分かっていた、という感情が込められている。最初から私に期待なんてしていない。ただ、たまたまこの力が私に宿ってしまったから仕方なく。本当は嫌だけど仕方なく。エルケイスはそういう事を言っているのだ。

『ちっ。貴様を見ているとイライラする。泣けば誰かが助けてくれる。理不尽な運命に抗わない。クソみたいな運命を受け入れる。そんな貴様は、あまりにも不快だ』

悪魔達に向けるのと同じ嫌悪の瞳で、エルケイスは私を見やる。そんな彼の言葉に、私は何も言えなかった。小さな子供みたいに違うと泣きわめくのは簡単だ。でも、それで解決するような話じゃない。自分の無力さを知る事は、生きるために必須な事だ。逃げ続けてもいつかはその壁にぶち当たる。

『ここで何も言い返さない辺り、ただの臆病者ではないらしい。ふむ、そうだな。貴様がその力に目覚める為の手助けをしてやろう』

エルケイスはそう言うと、【冥姫ヴィへラド】に指先を向け、クイッと人差し指を動かした。その指の動きは『こちらへ来い』と命令しているようなもの。ただ、呼ばれて来るようなバカではない。なぜなら、相手は味方じゃない。敵だ。しかし、そんな常識は神の前には意味が無い。

「うっ・・・あぁっ!?」

グワンと思い切り引き寄せられた【冥姫ヴィへラド】からそんな声が漏れた。おそらく抵抗はしたのだろう。しかし、神には全てが無駄足掻きだ。

『さて、お前への試練だ。こいつと全力で殺し合え』

「・・・え?」

エルケイスは【冥姫ヴィへラド】を顎で指し、私に向かってそう告げた。
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